第二十九話「聖水、そして今後の作戦」
「協力とは……具体的にどうします?」
フィオナの協力をなんとか会得し、雑談を終わらせた。
そのあと、俺達は協力の具体的な内容について話していた。
「空中要塞に行くための協力、魔力面などが主、それに空中要塞には飛行船が必須となる」
空中要塞は名の通り空に浮かぶ伝説の城。
なので、人類は飛行船を作り、突撃していったのである。
俺もそれを行う。
「この国の風があれば、天候も分かる、魔力面もなんとか出来るかもしれない」
「私たちの国は風に詳しいし、空に慣れているからね」
空に行くからこそ、風の国はとても重要な役割だ。
これがなければ確実に失敗する。
そういうレベルである。
「……そこまでは分かったけど、実際協力を得られるの? 風神に」
ルティシエが横から一言。
俺は風神について詳しく知らない、知っているのは強さのみ。
もし交渉という名の協力がうまくいかず、戦いになれば、
勝つ可能性は全くと行って、ない。
それに厳しいとの噂も聞いたことがある。
事実かどうかは知らんが。
「なんとかして、風神に協力を得る、認めてもらう、でなければ俺の旅はここで終わる、妹を救うために俺は風神へと向う」
「必死だね、断られたりしたらどうするの?」
妹を助けるためには、このくらいは必要だ。
成功はさせるつもりである。
それに準備も出来ている。
強さは家族にに鍛えてもらったため、成長が見られる。
それに、風神の居場所もわかっている。
それは風の神殿。
俺が屋根で寝転がっていたところ。
「その時は説得をする、質問だ」
「結構ガツガツ行くんだね、君」
このくらいの覚悟と熱意がなければなおさら説得は無理だ。
多分だが、神は人間の中でも特に覚悟と熱意がある強い者を好む。
それこそ、見ていて楽しくなる人物を………。
「というか、その前に俺は仕事で風の神殿に向かわなければならない」
グラスさんから頼まれた聖閤堂で作り上げた神聖な雫。
風と土の聖水を神殿に捧げるのが俺の第二の目的だ。
「へぇ~聖水! どんなの気になるねぇ、それ、一度見せてくれよ!」
大事なものだが、まぁいいだろう。
落とさないように注意しとけば、持たせても安心だろう。
さて…………。
(ん?)
ん、…何かおかしいぞ……。
なんだ? この違和感。
俺は聖水を探して………。
「どうしました?」
マスターの声も届かず、ロベルトは辺を見回し。
どこか探しているような仕草をしている。
あれ? ない?
俺は聖水が2つ入った鞄を探す。
まず、床、なにもない。
荷物は床においたはず……。
あ、…体につけているのか?
いや、全然なかったわ。
右左ポケット……ない。
胸のポケットは! というか、鞄がポケットに入るわけ無いか。
だとしたらどこに?
俺の持っていた鞄はどこに消えた?
「はっ!?」
「っ……いきなりどうしたの?」
気づいた。
とても大事なことに、今更気づいた、いや、…忘れていた!
なぜこんな重要な事を……。
俺は精神的には気づかなかった。
しかし……肉体、精神の、俺の感覚は気づいていた。
俺の感覚が全力でそれを肯定している。
(あのイケメンと戦闘中にどこかに落としたんだったァァァ!!!)
失敗!
ロベルト、今世紀最大の失敗!
このようなマヌケで馬鹿げた話があるというのか!
不甲斐ないッ、実にマヌケッ!
とりあえず、先程頭の中で起きた情報を皆に教える。
「なんて、馬鹿な事してるのよ」
「意外と抜けている面があるようですね」
「その調子だと、風神との交渉面会は困難だね、成功は3割以下と言えるよ」
ボロクソに言いいおって。
だが、言われていることは事実に近い、いや大体合っている。
こんなことになるとは……。
「取りに……行くか?」
「いや、…今から言っても探せないし、兵士に見つかるかもだから、やめておいたほうが君のためだよ?」
それはごもっともだ。
あまくもに探しても、簡単には見つからない。
かと言って、朝は兵士が多くあまり目立つ行動はできない。
「仮に落とし物として、誰かが拾っても、兵士か、騎士団に行く可能性が高いよ」
「万事休す、ってところね、アンタどうするの?」
くそ、何か案を考えなければ。
今の状況から脱却する方法を。
何か良い得策を、考えなければ。
とりあえず、まずはデータという名の記憶機関を探ることにしよう。
探していれば、何か思いつくかもしれない。
「マスター、彼をここに止めてやってくれないか? 頼むよ」
「…まぁ……いいでしょう、部屋はルティシエ殿と同室ということで」
「ちょ、勝手に決めないで!」
ロベルトが脳の細胞をフル回転させている間、
他3人は仲良く雑談を楽しんでいた。
放おってはおけ。
(うーむ、何か良い案は……聖水を探す方法はあるか……)
どこかに落とした、イケメンとの戦いの最中どこかに。
しかし、暗い成果どこかはあんまり覚えていない。
朝行くとしても、迷う! 入り組んでいて分かりにくい。
もし、仮に行けたとしても、この国だ、盗まれているか、落とし物として、兵士に届けられているだろう。
どのみち詰み。
自分が言って隅々まで探すのは簡単ではない、
それに、途方もない時間も掛かってしまう。
それはなんとしても避けたい。
『聖なる雫』
それは人から見てもとても珍しい物品と言えるだろう。
そんなものなら、尚更早くしないと、奪われる。
それかオークションが始まる。
そして、この神聖な雫。
グラスさんから聞いたが、利用として使っても効果は高い。
なんたって上級レベルの回復量を誇る雫だそうだ。
(折れた骨が治るレベル)
こう言う普通の水に神聖な魔力が掛かることにより、
グン! とその物の価値は向上する。
まさに魔法の水。
(ん? 魔法? 魔力………強さ、イコール………力………)
何か、確信に至ったかもしれないロベルト。
頭の中で理解と整理を行い始める。
先程まで、目を瞑り眉間を寄せ悩んでいたロベルトだが、
何かに気づいた時、手を顎に当て、一点に集中する。
ロベルトの様子が変わったのに気づき雑談を辞める3人。
『何か思いついたのか?』そのような疑問を浮かべ答えを待つ。
「ルティシエ……」
最初の沈黙を破ったのは、他でもないロベルトだ。
「あ、あたし?」
フィオナに質問が来るかと思って気を抜いていたルティシエ。
少し焦っているようだ。
「お前とあった時、最初俺に何をしていたか、覚えてるか?」
ルティシエは最初、ロベルトにあった時に力の源を探知した。
時間的にルティシエには酒が回っているはず。
それに一度睡眠に落ちている。
これを覚えているか、どうか。
「あぁ、あんたの力の源を測ったわ、結果は異例の0………ほんと意味わからないわ」
普通ならあるはずの力の源が、ロベルトには感じられない。
いや、…存在しない。
「なら、それと同時に物に宿る、力、魔力を探知できるか?」
人の中、力の源を探知。
それは難しい事だろう。
しかし、このエルフはそれを物とも言わず使いこなせている。
つまり、そのくらい技術がある証拠。
なので、人よりも簡単そうな、物に宿る魔力など、
たやすく探知できるだろう、そういう話だ。
「成る程、そういうことでしたか」
「意外と簡単だったね」
感のいいお二人は、すでに気がついた模様。
そう、人を探知できるなら、無くした物に宿る魔力から、
探しだす事可能じゃね?
そういう事だ。
簡単に説明をする。
「つまり、あたしがあなたの持っていた聖水に宿る魔力から居場所を探せってこと?」
「そうだ」
あの聖水は結構魔力があると思うから、見つけやすいはず。
さぁ、…どうだ?
「はぁ……一応はやってみる、邪魔だからそこどいて」
指示どうり、場所を移動し、ルティシエが中心に立つ。
そして目を瞑る。
―ルティシエ視点―
感覚……聖水に宿る魔力を探知するのよ……。
ルティシエは今、聖水の魔力を探知中である。
魔力を探知するのは余裕なのだが、眼の前にいない物、離れている物を探知するのは難しい。
このように、目を瞑り、精神を説き明かし、集中する必要がある。
悟を開くっていうやつ。
ちなみに熟練している物だと、通常どうり、薄々感じれるようになる。
集中しなくても。
(この国……やっぱり、色々な所で魔力が飛び交っている……)
どこの国も魔力を使い魔法を使っているものは多い。
今は夜なので、少しは少ないが、それでも様々な所から感じる。
それに、後ろに3人いるから、少し分かりにくい。
ロベルト、それとマスターからは感じられないけど、あのくそ女神からは風の魔力が感じられるから、余計分かりにくい。
というか、いつの間にかあの男敬語じゃなくなってるし………。
(いけない……集中、集中………)
魔力は人や物などに宿り、川のようにその物体を流れている。
その流れを掴む、そして理解すれば相手の強さが大体はっきりする。
そこのところは力の源と同じ感覚である。
ちなみに力の源は総合力を表し。
魔力はその中の魔法量、魔法力を表している。
(あたしが探しているのは……聖水、つまり神秘の力……光)
聖水には名の通り、聖なる光の力が宿っている。
なのでそこから光を探せば良い。
この国でも、光魔法を使う者はあまりいないはずだから、
探すのは簡単なはず……。
(見つけた!)
ルティシエは聖水に宿る光の魔力を感じとった。
(2つ……話どうりね、でも……2つとも距離が離れているわ)
なんとか見つかったが、距離が離れている。
それも結構遠い。
(2つの聖水から、風、土の魔力も感じる……アイツの言ってた通り、専用の聖水なわけね)
2つ。
風の聖水と土の聖水をロベルトは持って来ていた。
なので、この2つをどうにか探したいところ。
問題は聖水の在り処がが2つとも違うところにあるということ。
風は南、土は北と対極である。
ふぅ、…一応は終わったわ。
手にいれるのは簡単かもしれないけど、この男は現在逃亡犯、
今のままじゃ、すぐに見つかって牢屋行き確定ね。
(あたしは関わらないほうが得策の予感がするわ)
ルティシエの探知が終わり、戻ってきた。
時間はそんなにかかってはいない。
「終わったわ、大体わかったところよ、感謝しなさい」
「助かる」
なんとかし、無事に終わったか。
これにより、聖水の場所も分かっただろう。
「それで、場所はどこだ?」
「風の方は風の神殿内部にあるわ、土の方は……ある、豊かな一軒家の中にあるわね」
風、土と両方これで分かった。
風は風の神殿、ここから南に降りて言ったところだ。
それに何時間前に屋根で寝ていたところ。
しかし、内部は謎だ。
俺はそもそも逃亡犯で入れないし、中には兵士が沢山いるはずだ。
少し厄介だ。
土の方は一軒家。
上手いこと、住宅に侵入し、中から聖水を奪い返すか……。
「ちなみにどちらも風と、土で場所が対極になっている、アンタは分かるわよね?」
「……あぁ」
神殿が南。
一軒家が土。
そういうわけか。
なるほど、やることは大体理解した。
言っても俺の目的だが。
「ちなみに、風は警備、土は人が持っているよ」
風神お墨付き、フィオナがそのような事発した。
なんだって?
警備に人?
「なぜ分かる?」
「彼女は先程、ルティシエ殿と一緒に魅力を探知していたのです」
マスターがそう答え、不敵な笑みを浮かべる。
一方フィオネは胸を張っている。
なんだ、そういうことだったのか。
「あと、土の聖水を持っている人、知り合いなんだよね〜実は」
「おぉ、それなら話が早い」
その人に直接聖水を返してくれないか?
そう頼めば済む。
「ちなみにその人は、私と同じ、女の子で僧侶をやっているんだよ」
「へぇー」
僧侶……か。
関わり自体は母さんがその職業だったな。
僧侶と言えば、回復魔法を唱えたり、味方をサポートする存在だ。
実に頼もしい。
それは、置いといて、
本当の問題は神殿だ。
『風の神殿』
風神はそこに佇んでいる。
そのため、神殿内の兵士の数は桁違いに多いだろう。
それに昼は一般人も出入りする。
そこのところは、神殿、というより博物館と言った所がいいか。
とにかく、そこに風の聖水がある。
つまり俺はそこへ侵入しないといけない。
自ら敵地へと飛び込みに行くのだ。
相当危険な侵入作戦だ。
やるなら、夜しかない。
「とりあえず、先にその女の子とところへ向かうことにしようよ」
「そのほうが、いいだろうな」
とりあえず、大体作戦は決まった。
いや、…神殿侵入作戦は全く決まっていないが。
そこは、侵入するときに考えるとしよう。
「遅いので、そろそろ睡眠を取ったほうがよろしいかと」
「早く寝るとするわ」
ん?
あーもうこんな時間か。
考え事のせいで、睡眠を忘れてしまった。
もう深夜だし。
「私とマスターは一階で寝るから、二人は二階で仲良くしていると良いよ」
「しないわよ!!」
また怒ってるよ。
全く、そういう要らんことを言わなければ。
……もしかしたら、ルティシエがフィオネを嫌ってるのって、
失言が多いのか?
いや、…普通に借金か………。
今日は、夜遅いので、さっさと寝ることにした。
ちゃんと2階には布団がある。
フカフカで気持ち良い。
まぁ、あってばかりの女と同室で寝ることになるとな。
それも他種族だ。
そして年齢の差が大きすぎる。
まぁ、そこのところは我慢するか。
そのほうが、身のため……………。




