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空中要塞グレイシアス   作者: ホワイトボックス
第三章 風の国編
29/93

第二十七話「夜にしか開かない店」

 兵士の捜索から逃げ切り、無事赤い屋根の家に到着したロベルト。

 道中、ピエロの仲間であろうイケメンと一悶着あったが、なんとか目的地には到着に成功した。




‐‐‐




 家の中へと入った。

 中はオシャレな内装に少し落ち着けるような木の模様。

 天井から光をテラス、シャンデリラ。

 明るい。

 周りに置かれる、木の机にイス、そしてカウンター。

 


 そこはまさにカフェ……いや、バーと言って良いだろう。

 しかしどこかファンタジーな感じも漂っている。


 まさか、あの女から紹介された家はこんな、バーみたいな所だったとは。

 うーん、いったこと無いからな……。


 「フフ、人とは珍しい……ようこそ、表裏を宿す我が店へ」


 声、カウンターの方から声がした。

 見てみると、そこには人が立っていた

 黒いスーツ型の服に、白いネクタイ

 いかにも、THE・バーテンダーという服装をしている。

 そしてメガネ

 グラスを拭いている。


 「あなたは?」

 「私はあまり素性を明かさないのです、代わりにマスターとでも呼んでください」


 なるほど、俺と同じか。

 俺も軽々と相手に情報や素性は明かさない。

 しかし、名前を明かさないとは。

 まぁ、敵に名前を教えないのと同じことか。


 それにしても、ここの家の雰囲気は良い。

 いや、店でいいか。

 静かでなんというか、息がしやすい空間だ。

 今は人がいないからか、濃い空気だ。


 「席はこちらです」

 「あぁ、はい」


 俺はマスターに案内されカウンターの席へと座る。

 背もたれが無い分、座りやすい。


 「何かお飲みに?」


 飲み物か。

 まぁ、まずはドリンクでも頼むか。

 この静かな雰囲気に身を乗せながら休息を挟みたい。


 「ドリンクを一杯」

 「承知しました、アルコールはどのくらいで?」


 この世界、アルコールの要素あるのか。

 酒とかなら分かるが、アルコールという言葉があるのは驚き。

 まぁ、最初だし、少なめにするか。


 「……では、少なめで」

 「承知しました」


 そう言うとマスターなる男はドリンクを作る用意に入る。

 先程まで拭いていたグラスを置き。

 カウンターの中から、新たにグラスを取り出し後ろの机に置く。


 後ろに飾られていた、ボトルを取り出し、持つ。

 そしてどこからか生み出した、もう一つのボトルに注ぐ。

 ………生み出した?


 そしてシェーカーだろうか、それを振り出す。

 いくぶんか振ったあと、それをグラスの中へと注ぐ。

 そしてそこへレモンのような何かを中に入れる。

 いれると言っても、中に鎮めるのではなく、

グラスの横にそっと。


 「完成しました」

 「ありがとうございます」


 どうやら、完成したようだ。

 さて飲むぞ。


 

 バーに来たのは初めてだ。

 これは前世でもこの世界でも初。

 それに酒もだ。

 今から俺はアルコールが入った酒、ドリンクを飲む。

 どんな味なのだろうか。


 まずは一口。


 風味豊か、冷たくて甘い。

 成る程、こんな感じか。

 あまりよく知らないが、アルコールによって多少は違うのかな?

 

 酒の具合だが。

 酔わない、まぁ、一口だけじゃ酔わないか、流石に。

 セリータさんじゃないんだし。


 「お客さん、見た所、若い方ようで」

 「まぁ……二十代ではないので」


 バーはこういうふうにマスターと会話するのだろうか。

 静かな時間に響く2つの声。


 「お客さん、ここは見ての通りのバー、しかし夜しか開きません」


 これはあの女から、聞いた。

 朝は開かないらしい、夜だけのお店なのか。


 「この店は普通の人は入れません、それも情報を開示してない、知られていない店なので」

 「………!?」


 一瞬吹きそうになり、えずいた。

 何、入れない?

 それに情報を開示してない……それに知られていない。

 もしやここに来た俺は、不正なのか?


 「つまり、あなたはどうやってここに、来れたか……」


 まずい、疑われているのか!


 「違います、ここはあの女が教えてくれて」

 「ほぅ、『あの女』とは?」

 

 いうべきか?

 あの女についての情報。

 しかし、危険だ。

 いや、言うか、もう聞かれてしまったし、どうにでもなれ!


 「白に緑を基調とした服に、どこか神秘的な女のことです。」

 「ふむ………あぁ、彼女のことでしょう、ならば理解できます」


 ふぅ、なんとか終えた。

 どうやら、知り合いだったようだ、理解はしてくれたしな。

 これで話しやすくなった、緊張が解けて。


 「これで四人目……」

 「どういうことですか?」

 「あぁ、この店への来ぼう者です、彼女が教えることにより、この店にたどり着くのです」

 「……そうですか」


 いや、あの女なにもんだ?

 神に近い、この店にツテがある、それも重要な。

 やはり、彼女はこう言うところにも知名度があるのか。

 はたまたこちら側の人なのか。

 いや、天使なのか。


 分からないが一応は置いておこう。

 ロベルトは、グラスの中を全て飲み、休息を取る。

 ここは多分安居だろうから。


 「ふむ、凪、伝え通りという訳ですか………」


 その間、マスターたるものは何かを呟いていた。

 それは何か、不思議に、わかったかのような。


 

 ロベルトがバーで少しの間くつろいでいると、左側で音がした。

 音の形的に、扉が開く音。


 ロベルトは、顔を火足に向ける。

 そこには女性がいた。

 薄緑色の2つに分かれた長髪に白い服。

 よくみたら髪に少し白い模様が入ってる。

 なんか、尖ってる、針みたいな……?

 指などにつけられた金の指輪。

 そして、人間のものとは違う耳につけられたイヤリング。

 耳から察するにエルフだ。


 どこか、疲れが気味に歩いている。


 すると、そのエルフは俺の存在に気づいたらしく、俺を見る。

 最初は気になる程度な感じで見ていたが、徐々に顔の雰囲気が代わり、真剣な感じになった。

 それに俺の方向へと近づいてくる。


 そしてどんどんと近づき、俺の眼の前に立ちはだかる。

 青色の眼差し向けて、見てくる。

 なんだか、怖い、とりあえず、身構えるか。

 マスターもそのエルフを見る。

 

 この3人の変な状況。

 しかし誰も無言、言葉を漏らさず、静か。


 (ちょっと気まずい)


 少しの間、3人の奇妙な雰囲気が続くなか、エルフが何やら、疑問気な表情を浮かべる。

 どこかおかしそうな。

 まるで、解けない問題を考えている学生のような感じだ。

 な、なに?


 そしてついに言葉を発する。


 「アンタ、名前は?」


 おっと、シンプルに名前を聞かれた。

 やっと話してくれた、というか話せたのかこのエルフ。

 しかしどこか疑問気、疑心暗鬼な。

 このエルフは一体………。


 「……ロベルト」

 「いつからこの国に?」


 『国』

 それを聞いてどうする。

 このエルフのメリットは?

 まぁ、はなすが………。


 「今日来たばかりだが……」


 それを言う、再び黙りだす。

 それに少し上を向き、また考えている様子。

 ちなみにマスターはやることが無いのでグラスを拭いている。


 「不思議……まぁ、いいか」


 そう言って、カウンターに座る。

 そしてこのエルフはマスターに酒を注文する。

 注文の品はシャンパン。

 というか不思議どういう事だ?


 「不思議とは、どういう事だ? 理由が分からないが」

 「……あなたの力が感じられないのよ」


 腕に顔を置き、もたれ掛かり横に向きそう話す。

 俺は心の中でもため息を出す。

 

 また、力か。

 みんな俺にそれを聞くのか。

 何回だ? そう聞かれたの、もう3人くらいには聞かれている。

 それほど重要なのか?

 それとも俺が異常なのか?

 

 「またそれか……一体どういう事だ?」


 一度教えてほしい。

 力が感じられない? 俺のが?

 一体、他と俺のどこが違うのだ。


 「まさか、アンタは、力の源を知らないわけ?」

 「いや、別に……」


 それくらいは知っている。

 本でも読んだし、そう言う経験もある。

 現に俺はその力の源を探知して、敵が来ないか警戒している。

 まぁ、レーダーみたいなもんよ。

 人を探すときもそうだ。


 「人にはそれぞれ力の源があるでしょ? 貴方もそれは薄々と感じられるはず」

 「……そうだな」

 「でも、その力の源がアンタから感じられないわけ」


 なんだ?

 つまり、俺には皆みたいに力の源がないというわけか?

 ゼロというわけか?

 それとも偶然、俺の力が感じられないだけなのか?


 「普通はあるはず、でも貴方にはそれがない、おかしいのよ、貴方は普通じゃない」


 機械で言うと、

最初からついているはずの核の部分が俺には存在しない。

 大体そういうわけか。

 いや、まぁ、この世界のことや、力は、あんまり知らないが。

 父親にもそんなに教えてもらわなかったし。


 「貴方は何者?」  

 「俺は、まぁただの一般人だ」

 

 そう言うと、エルフは俺を少しの間、直視する。

 集中している。

 もう一度、力でも探知しているのだろうか。


 しかし、なにか諦めたか、マスターから渡されたドリンクを飲みだす。

 ドリンクは赤い色をしている。

 それも、アルコールは強いほうだろう。

 というか。


 「あんたは誰だ?」 


 聞いていなかった。

 聞かれるだけ、答えただけだからな。

 こっちからも聞く。

 じゃなければ、少し不遇。

 しかし帰ってきた声は予想と違った。


 「……言葉使いに気をつけなさい」

 「はぁ?」


 言葉使いに気をつけろ?

 俺が人間だからか? 相手がエルフだからか?

 それともこの店の常連だからか?


 「あたしはエルフ、人間より長い時を生きる生命、こう見えてもあなたよりはよっぽど年上なのよ」


 なんだ、年か。

 まぁ、エルフだからか、人間とは違う。

 生きる時間が違う、年をとっても一向に老けはしない。

 その点に関しては良いかも。


 「……あなたの名前はなんですか?」


 ここは、このエルフを敬って、敬語を使うとするか。

 そのほうが、相手の気分も落ち着くだろう。


 「………そうね」


 そう言うと、ドリンクを飲んだあと、静かに一言答える。


 「はぁ……やられたわ」


 ん? 何がだ?

 何がやられたって?

 それに、こころなしかダルそう、今にもぶっ倒れそうでフラフラと……。

 

 「ルティシエ」


 答え終わったあと、腕を机にくみ、そのまま、顔を腕の中へ沈める。

 それだけ言うと何も言わなくなった。

 ルティシエ、名前だろう。

 それよりも、

いきなり、静かになった、酔ったか?


 「おーい」


 声をかけてみたが、全く反応しない。

 試しに手も振ってみる、いや無意味か

 もしかして、寝たのか?

 酔って、寝ることはあるんだな、それも一発で。

 それだけアルコールが強かったか、このエルフが酒に弱いか。


 「無事……寝たようですね」


 マスターがグラスを全て拭き終え、腕を後ろにくみ話しかけて来た。

 少し微笑んでいる。

 でも、それにはどこか不気味さが滲み出ている。


 「一発で寝るとは、そこまで強いお酒だったのですか?」

 「睡眠薬です」


 ………は?

 睡眠薬です?

 な、バーに睡眠薬!?

 お酒の中に睡眠薬を忍ばせ、飲ませる!!?

 考えられない!?


 「ど、どういう事だ!」


 俺は席から立ち上がり、カウンターにいるマスターを見る。

 近くから見ると、マスターは背が高い

 180はあるだろう。


 「このあと、お越しになる人といつも喧嘩しますので、今回は防がせて貰いました」

 「ふ、防ぐ……どういう事だ?」


 このあと、来る客?

 誰だ、俺以外に選ばれた客か?

 そのための睡眠薬?

 しかし、このマスターがなぜ、睡眠薬なる物を持っている。

 

 なぜそのためにつかうのか、その用途は、それを考えながら待っていると、

突然この店の玄関が開かれた。

 それも大きく、大きな音、

この静かな空間をぶち壊すほどの声で発言した。



 「来たよ〜マスター!」


 

 玄関にいたのは、俺にこの店を教えたあの女だった。

 


 


 

 

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