第二十六話「不穏な影」
午後10時
風の神殿屋根
俺はそこから周りを観察……いや、警戒していた。
理由は簡単、兵士に自分の存在が見つからないか、ということだ。
俺は現在兵士から追われる身であり、逃亡者である。
まぁ、ただ単に尋問から逃げて、追われているだけだが?
それはそうと、何故わざわざ、俺が顔を乗り出してまで、辺を見回しているかと言うと、赤い屋根の家を探しているのだ。
先程、謎の女から、自分の救いの道である逃げ場所を教えてもらった。
『そこに向かい、二人に協力を得ればいいよ』
とのことである。
(本当か、どうかは怪しいところだが)
ロベルトは周りをくまなく見渡す。
何分見ていると、奥の方に赤い建物が見えた。
(もしかしたらあれだろうか)
前方に赤い屋根の家を発見した。
結構遠いが、走れば行ける距離だ。
居場所は確認できた。
あとは、兵士にバレないよう、移動できたら良いが。
とりあえず、まずはあそこに向うところから始めよう。
現在、この神殿周囲を徘徊している兵士は二人。
そして、風の神殿の入口を守る兵士は二人。
ここを越え、赤い屋根の家の方向へ続く路地に入らなければならない。
二人の兵士がそれぞれ神殿外周をそれぞれ左右に徘徊し、ちょうどすれ違う。
そういう感じだ。
まぁ、ゲームのNPCではないから、不規則な動きもすることはある。
ここを上手く切り抜ける。
「今なら……」
兵士二人が、神殿の横に行きこちら側からは見えなくなった。
今がチャンス。
おっと、荷物を忘れないように……。
ロベルトは神殿の屋根の上から、下に風魔法で、少し強めの風圧を発生させる。
音が少し大きいが大丈夫か?
ちなみに、風圧を発生させる魔法を『風圧』という。
ロベルトは風圧を発生させた、場所に飛び降りる。
落下中にもう一度風圧を発射し速度を減速することで、いい感じに音もなく降りれる。
降り立った。
辺りに人は………いない!
今なら行ける、ここからならバレないだろう。
(路地裏から入れば、辿り着くはず)
ロベルトは走り出し、路地裏へと向う。
流石に路地裏には兵士どもはいないはずだ。
それに今は夜、兵士共があまりいない絶頂の機会!
(この気は逃さないッ!!)
ロベルトはバレないよう、なるべく足音を立てないように走った。
音を完全に消すのは、プロの技。
路地裏に無事逃れられた。
路地裏はいくつもの道に分かれており、それぞれに通じる建物が立つ。
路地裏からじゃぁ、この国の全体は見えない。
つまり、あの赤い屋根の家も先程見た感覚だけで探さなければならない。
「迷うな……早い所を行きたいところだが……」
夜は暗い。
星空があったとしても、この路地はとても暗い。
しかし、かと言って炎魔法で明かりをつければ目立つ。建物で隠れて見えないにしても、その炎は空、全体に広がる。
この国には防衛台、高い所から警備する、塔があるはずだ。
不自然な場所からで炎の光が灯っていれば、おかしいこと間違いなしだ。
それにより、警備塔から警報音がなり兵士全体に伝わる。
そのまま、この路地を包囲して、隅々まで調べるのだろう。
そうなったら一環の終わり。
隠れていてもいずれ見つかる。
爆発で飛んでも、目立ちすぐに逃亡戦の幕開け。
建物に不法侵入すれば、その住居者に警報を鳴らされる。
このことが起こりうる可能性が高い。
なので、俺は暗い中目を凝らし、かつ急ぎながら路地を進んでいるのだ。
‐‐‐
だいぶ進んだと思う。
自分的にも、直感で中盤。
しかし、それと同時に問題が発生。
それは迷う、分からなくなる。
この路地裏、建物は少し違う形をしているが造形は大体同じ、変わらない道に路地の形。
全て同じように見えて、混乱する。
それにこの暗い中、同じという事は、自分が進んでいるか、どうか分からなくもなる。そこが難関。
今のところは兵士に鉢合わせていない……か。
やはり、こんな真夜中、このようなところを警備していないか。
むしろ、ここにいるのは罪人や脱獄囚のみ、と考えていいだろう。
(今じゃ、俺もそれに入るけど)
実際俺は逃亡犯。
それも爆発による危険をもたらした、極悪人。
兵士たちも俺を頬って置ける訳にはいかない。
むしろ拘束が必要なくらいだ。
(まぁ……それでも、俺は逃げるが……己の身が一番だし)
そう兵士共に言われたとしても、やっぱり自分が大事。
自分の体が動けなくなったら、それは嫌だし、不快だ。
どれだけ、悪い事をしたとしても、俺は自主はしない男である。
(まぁ……反省はする、けど)
心の中で少し疑問下に答える。
本当に反省しているのだろうか。
それにしても、同じ道だ。
ずっと続いているような感覚になる。
もしかして、ずっとグルグル回っているだけだったりして……。
と、ここで。
前方に何かを見つけた。
新しい進展、何か何かとよく見てみると……。
「うわっ!」
大きい声を出して驚いてしまった。
ロベルトはこの道でなんとも恐ろしい物を見てしまった。
それは、あまりにも酷く、惨い死に方をしている。
ロベルトが見たのは血を流し酷く抉られている人の死体だったのだ。
それも古くはない。
実に、死んでから長い間立っていないような死体だったのだ。
一刻もここを離れたい。
この死体に関わりたくない。
そう思ったが、簡単には体は動かない、動揺が激しいのである。
「うっ」
まずい、凄い匂いだ。
右手で口と鼻を防ぐ、しかしそれでも臭ってくる激臭。
とてつもない異臭……それにこの世界で初めての人の死体………堪えるな……。
魔物は何度も見てるから平気だが。
人の死体は結構……グロい。
同族だからなのか。
(それにしても、このえぐられ方、誰かがやらないとこうはならない)
つまり、殺人か。
なんとも恐ろしいものだ。
アトリス王国では、とても平和で犯罪など全くといってなかったが。
しかし、国が変われば、こうも犯罪率は変わるのか。
平和ではないと言っても、この国はほとんど隣国だ。
それでもこの差である。
(中途半端な覚悟じゃ、国は旅できないな)
まぁ、俺には妹を絶対救うという、熱い漢の決心がある。
覚悟は出来ている。
その時、前方から音がした。
「……! 誰だ!」
前方から何かの足音。
足音的にこれは人の音。
となると、この惨い現場に俺以外の人がいるとすれば、それは一人。
この人を惨たらしく殺した、犯人……張本人しか考えられない!!
「……へぇー、気づけるんだ」
「何者だ」
声がした。
やはり人だ、犯人だ。
その顔見せてみろ、俺が裁きを下してや……
「君……不思議だね」
男はとても良い美声でそういった。
男からは、見えないが見えるオーラが溢れている。
こいつ、こいつこいつこいつッ……!
黒いローブ型のコート、それに茶色のマフラー。
手に持つ変な色した特徴的な鎌。
そして丁度良く整った顔つきに、濃いピンク色のメ、メンズパーマ……。
(よくに言う………イケメン………!)
「君は何者なのかな?」
「!……旅人ってところだが」
「旅人か、普通の一般人とは違うようだ、格好からして」
「……誰かは知らんが、一つ聞きたい。お前がこの人を殺したのか?」
このイケメンは見たことがない。
この国の兵士、ではなさそうだ。
「ん〜そうだよ。僕の計画には邪魔な要素だったからね」
……あぁ、こいつ、あの舐めたピエロと似ている。
ということは同じ敵の幹部。
ならば、石を知っているかもしれない。
あまり話したくはないが、情報収集だ。
ここは石のことを喋ってみよう。
「お前、オレンジ色に輝く石を知っていたりはするか?」
「オレンジ? あぁ〜知っているさ。僕が探している物だからね」
うむ、確信したぞ。
幹部の仲間、まちがいない。
だが相手はまだ謎だらけ。
ピエロとは違うが、謎なのは一緒。
一応ここは様子を見るか。
「この人のことは知っていたのか?」
「知らないね、計画の邪魔だったから、殺したまでだよ」
「そうか、なら何故こんな殺し方をしたんだ?」
そこだけが問題だ。
普通こんな……惨たらしく殺したりするのは効率的ではない。
もっと、簡単に、やるなら首を跳ねるくらいが一番良い。
「それは、そうだね。魂を刈り取ったからだね」
「……どういう事だ?」
魂を刈り取る?
理由が分からない。
聞いたこともない。
疑問に浸っていると、男は手を前に上げ手のひらを掲げる。
そして次の瞬間、手のひらに青白い光の球体が浮かび上がる。
まるで炎が燃え上がる様に。
青い炎……あ。
映画でよく見る魂。
これは……。
「それは……魂………か?」
「そうだ、そこの人間の魂、これも後々必要になるから、こうやって回収しているんだよ」
そう言うと、魂はまたあの男の手の中に消えた。
収納の魔法か、何かか?
「何故魂を集める」
「君には言えないね」
やはり秘密事とか。
そういうのは聞き飽きた、やはり吐かせるしかないか。
「まぁ、魂と言っても。こんな醜い人間の魂じゃ、利用さえ難しいけど」
そういって、薄く笑う。
クスクスと、見てて腹が立ってきた。
あぁ、やはり。
こいつも同じく、クソだ。
ロベルトはその言葉を聞いたあと、少し考えをまとめ、決心した。
こいつも、あのピエロも根本は変わらない。
(なら、ぶっ倒す)
ロベルトは走り出し、この男に斬り掛かっていた。
それも、上級剣士ならではのスピード、早い!
「おっとぉ、僕は簡単には倒せないよ?」
「知るか。それよりお前はアイツと同じ同類、だから倒す」
剣と鎌、二人の男による武器。
ジリジリと武器による押し合いが始まる。
しかし、どちらとも五分五分と言ったところか、全くと行ってこの男を押すことはできない。
相性的にも悪い。
(っ! 顔だけではない! こいつ、強さも一流か)
男は鎌で剣を弾き、横に薙ぎ払う。
相手の武器は鎌、ちょうどよいバランス距離を取れる。
俺の剣では不利だ。
それより、よくあの大きさの鎌を軽く振ることができるな。
あの男の背丈以上だぞ?
「僕的には、撤退したいところなんだけどー」
「俺に負ければ、永眠切符をあげよう。そのほうがこちらも助かる」
「そっか、じゃもう少し休もうかな?」
生意気な!
剣で鎌を弾き攻撃、そこへ土魔法で岩を何発か腹に入れる!
これを喰らえばたちまち体がズタボロにえぐれる。
しかし、攻撃は避けられる。
間一髪の所で重心をずらし、ひらりと避けられた。
放たれた土魔法は後ろへと直撃し、音を立て煙が舞う。
衝撃音が大きい、被害も。
しくった。
音がなった、それに土魔法の衝撃で煙が舞い、建物に気づがついた。
このままでは、兵士共に見つかる、かと言って、この男を放おってはいけない。
そう思った瞬間、男は飛び上がり、左側の建物のテラスへと着地した。
この状態、まさに上から見下す男と下から見上げる者の絵図。
「さてと、君はこれに耐えられるかな?」
男がそう言った、次の瞬間。
男の姿が一瞬ブレ、次には居なくなっていた。
「なっ!? どこだ!」
「ここだよ」
声がした。
勢いよく後ろを振り向く。
そこには先程の男がまたもや、上から俺を見下ろしていた。
「な、何が……」
ロベルトはこの状況に困惑。
突然体がブレたかと思えば、姿は消え、後ろにいた。
(なんだ魔法か!? それとも幻術か!? 一体何が置きているんだ!)
対応できない、見えない。
ロベルトは、何が起こったかを分かっていなかった。
「ふふっ………」
「っ!?」
また消えた。
一体どこに!
俺は周りを見渡す。
しかし、まったく見つからない。
どこに居るんだ……!
(は……上!?)
今度は上に居た。
あれは移動なのか、さっきから何が起こっているんだ!
これはあのイケメンの能力なのか。
それとも自然現象なのか!
アイツの目……。
相手を挑発し、面白半分で子供と遊ぶかのような目。
こいつ、俺を舐めてやがる。
(状況が理解できない)
あの男はいまだ移動、いや消えている?
とにかく、遊ばれている。
状況が理解できない俺は、不利。
どうする……。
男の方を見る。
いまだ消えたり、動いている。
それは、コチラから見れば、姿さえもブレるほどに。
(……ん、ブレる……?)
ブレる、ブレるか……。
カメラでなにか、取っている時、動けばブレる。
動くか……それは移動。
それもあのブレかた。
カメラではない、現実で少し動いたとしても、ブレはしない。
普通に動けばの話だ。
動く……歩く、移動……移動………。
(……移動…………! はっ!)
(スピード!!!)
スピードだ速さ! そうか!
あのブレかた異常だ。
カメラはともかく、現実では不可能な話。
しかし、それは普通に動いたらの話だ。
つまりは。
あの男が普通よりも遥かに速い速度で移動したらの話!
ヤツはとてつもない速さを駆使して。
あの建物を次々に移動している!
分かった、奴の能力……魔法は。
(高速で動く魔法、だ)
謎は解明した。
相手の力を見破った。
やはり俺は凄いな。
このくらい朝飯前なのだ。
(……さて、倒しに行くとしよう)
だが……。
(どう対処すればいいんだ、あれじゃぁ攻撃さえ難しい!)
分かったところで、意味ない!
行動できなきゃ意味がない!
対抗策がなきゃ意味がない!
「結構悩んでるみたいだけど」
「……明日の予定を考えている」
「おおー余裕だね、羨ましいな」
本当は嘘だ。
ヤツのあのスピードの対策方法を考えているに過ぎない。
ヤツはどうやってあのスピードを?
なにか、魔法アイテムでも使ったか?
それとも魔法、はたまた、己自身の力か……。
「よそ見しているそんな君には、これだ!」
「何!?」
その瞬間。
男の姿が再度ブレ、次の瞬間俺の周りを回っていた!
俺の周り、半径3メートルをぐるぐると回っている!
まさに、この俺を放置するかの如く。
この中では俺は本当の罪人になった気分がした!
まさかこんなことまで。
それにこのスピードにこの精密力の高さ!
イケメンも強さも、再度確信。
どちらも一級品!!!
「ぐっ……」
「完全に包囲した……君はここをどう切り抜けるつもりだい?」
ぐるぐると周囲を舞う男。
それもあまりのスピードか、どこもあの男の姿が見える。
生半可な突進、攻撃じゃ、返り討ちに合う。
それに、あのスピードを喰らえば、まともに立ってはいられない。
周囲はまるで渦巻く嵐の中
しかし規模は小さいが圧力が違う。
それもこのスピードで、何故風圧が全く無い!!
普通起きる、そのはず。
「考えているね、でも意外と簡単に抜けられるかもよ?」
「………」
俺を集中させない挑発か。
そんなもの、俺には効かない。
大抵のものは慣れ慣れだ、このくらい余裕。
しかし、この渦巻く獄中のような包囲網を抜けるには、
それを止めるくらいのダメージを与えなければ!
そのためには……。
「さぁ、君の答え、選択はどうだい?」
「……正直使いたくは無かった」
しかし、これを使えば突破は可能。
だが、後の処理と、それをした後が大変である。
これをすれば、俺はたちまち包囲されるだろう、またな。
だが、いつまでもグズグズしてられない。
決めるときだ。
それに俺は溜まってきていたしな。
「お前は、雑魚がたくさん相手になったときどうする?」
「一瞬で殺す、爽快感がたまらないんだよ、これはね」
「そうか、ならその方法をなんと呼ぶ?」
「うん……全体攻撃かな?」
全体攻撃、それだ。
この男の場合は殺し方は分からないが爽快はわかる。
雑魚敵を特大呪文で蹴散らすあの快漢すごいものだ。
一掃、圧倒感がある。
お前なんぞ敵ではない、邪魔だ。
こんな感じにも見える。
そしてもう一つ、
この全体攻撃を使うのが。
大きい敵、とても強い敵、クソ煽ってくるやつの鉄槌用。
そして、俺の場合だと未知の敵にも大してだ。
未知の敵は情報が全く分からない。
謎ばかりである。
強いか、弱いかもな。
なので、俺はこの未知から強いか、確かめるために全体攻撃をとりあえずは使う。
そう、全体攻撃の呪文でも、結構ポピュラーな方法。
爆発だ!!
爆発魔法を唱え、相手を巻き添えにして爆発させる。
今までにもやって来たはずだ。
「気をつけろ」
「何を?」
「バストラドム」
その瞬間、ロベルトの周りに光が集まり始める。
いや、光ではない!!
土と炎の集合魔法。
それらが一致し膨れ上がり破裂するとき、
辺りに甚大な被害を及ぼすだろう。
「な、君は、被害を物とも思わないのかい」
そして、2つの属性魔法の膨張が限界に達し、突破!
膨張膜は粉砕。
まるで風船が割れるかの事く溜まっていた魔法が放出。
それは凄まじい爆発と破壊力を引き起こし、辺を爆破させた。
周囲に煙が、漂う。
その煙と爆発の爆音は国全土とまではいかないが届いた。
ある人は爆破テロでも起こったのか?
またある人は、研究の失敗か、そう思った。
「ふぅ……」
ロベルトは爆発魔法バストラダムを使い立ちすくんでいた。
この爆発魔法、上級……魔法力を多く使うのだ。
ロベルトの中でこの爆発魔法は一番期待でき、魔法力が激しいのである。
「………君はこう言う事もできるらしいな」
しかし、この爆発魔法を近距離でいたにも関わらず。
このイケメンに傷をうまく与えられなった!!
「クソッ、どうやって」
「さぁ、おっと……兵士たちのお迎えが来たようだよ?」
なに!!?
ロベルトは後ろを見る、遠くで光が見える、あれは炎。
あの爆発音のせいか、流石に不自然だと思ったか。
それとも昼に使った、あの爆発と似ており、
俺の正体を突き止めたか。
とにかく逃げよう。
「逃げる……!?」
逃げようとしたが、
あの男はすでに居ない、どこへいったんだ、あの男は?
攻撃して、自分の強さを見せるだけで帰ったか。
勝ち逃げとは姑息なやつ。
そんなこと言ってる場合ではない。
さっさと逃げよう!!
俺は真夜中の路地裏を無謀にも走り続ける。
俺の中のスタミナが切れかかってるが、兵士たちは依然近い。
隠れるのも良いが、あの足音、相当な数がいる。
それに薄々感じる、強い力の気配。
将軍、兵士の中でも強い位のやつがいる可能性がある。
だから、俺は逃げる!
もうそろそろついてよいだろ!
完全に迷ってるな、これは!!
こんなことなら、探知の魔法を覚えて置くべきだった。
いつになったらつく!!
精神的にも疲れた。
今日は、寝ていない、疲労が溜まってきている。
このままでは……。
しかしついにその時が訪れる。
横側に一つだけ光の灯火が上がっていたのだ。
「あれか!」
まず確認。
赤い屋根の家、良し!
夜しか開かない家、良し!
あと、他とは違って少しみ立つ家の形、良し!
まずい、兵士共が近い。
ここは早い所、この家には入らなければ、捕まる!
それだけは御免、俺は拘束されたくはない。
自由を奪われたくはない。
ロベルトは扉のドアノブに手をかけ、ひく、
しかし扉は開かない。
「な、何故だ! 何故開かない、明かりはついているはず、おかしいぞ!」
いくら引いたりしても開かない。
まさか、騙されたのか? それともただ単に鍵がついて?
クソッ………。
俺としたことが、つまり罠にハマっていたというわけか。
まんまと、あの女も兵士もグルと言うわけだな。
節穴だったか、映る価値なし。
「さて、ここからどうするかぁっとお!?」
ロベルトは、先程の衝撃により体制を崩し扉にもたれかかる。
しかしなんと扉はそれにより開いた。
何故って? 『押戸』だから。
ロベルトはなんとか転ばないように体制を戻し、少し隙間の空いた扉を見る。
「開いた」
開かないと思っていたが、本当は開けれたのだ。
開いた、つまりやることは一つ。
「入ろう」
兵士に見つかる前にロベルトは家の中へと歩みを進めた。
バストラダム 上級呪文(5級)
爆発魔法。
広範囲爆発攻撃魔法。
魔力を、消費する。
周囲に被害が発生する。




