第二十四話「風の国」
風の国
自由の国、文化が幅広く規則が緩く、優しい。
その分犯罪は多い。
犯罪が多いため、この国は他の国よりも兵士や騎士、魔法使いが強い。
正確には技術が他よりも高い。
基本的には自由だが、ここは犯罪などに関しては、
風の国自体の優しさとは変わり、その行動分の処罰を与える。
つまり、犯罪関しては厳しい。(どの国でも同じ…闇以外は)
風の恩恵により、ここら周辺は魔法が使いやすい。
魔力の消費が少なくなり、魔法が使えやすくなる。
風の国―城門
そこには二人の兵士がこの国へ入るための警備をしている。
怪しいものには事情聴取と取り調べを行う。
自由と言っても、ここは厳重。
―兵士視点―
私は、この国で城門の警備をやらせてもらっている、兵士だ。
今日も門の警備、のどかで平和だ。
しかし、それと同時に、退屈感が湧いてくるのである。
私はここの警備を実に五年もやっている。
見慣れた景色、変わらない日常、淡々とこなす変らない作業。
そうだ、退屈だ。
私は刺激を求めている。
何か、思いもよらぬ出来事が起こってほしいと、内心思っている。
なんでも良いから、起こって欲しい。
パニックでも良い。
しかし、実際はそう簡単に起こるはずもない。
無情なものよ………。
………そういえば、さっきから何か音が聞こえる…。
爆発音か? 音的に………。
一体誰が、遠くでやっているのだ。
うるさくて、迷惑だ。
それに……何か、どんどん音が大きくなっていく……。
程々にしてくれればいいが。
「何だあれ……おい! お前も見てみろよ!!」
「……何だ?」
仕事の同僚兵士が俺を呼んだ。
姿を見る限り、珍しく慌てふためいている感じだ。
そんなに焦って、どうした?
どこを指している。
前方か?
前に何があるというのだ。
私は前を見た。
前には、いや、奥の方で、微かにだが煙が舞っている。
……火事か?
いや、大きい……それに動いている。
…………
近づいている?
な、何だ?
あれは、煙が、どんどん近づいてくる。
それに、先程から鳴っている、音と重なっている。
あの爆発音が鳴るたびに、あの煙が、こっちへ向かっている。
何なんだ!? 何が!?
もしや、モンスターか!?
もし魔物なら、あの激しさ、規模からして……ドラゴンの可能性………。
ま、まずいぞぉ!!!
すぐに警戒準備。
いつでも戦闘が出来るように準備だ!
何か……何かがこちらへ向かって来ている!
それも猛スピード! 早い!!
そして、ふとここで人影が見えた。
(!? 人! いやそんなはずはない、気のせいだ……)
こんな煙の中、人がいるわけがない。
もしいたとしても、すでに爆発で体が飛び散っているはずだ!
「クソっ! 何が起こっているんだ! お前はわかるか!」
「分からん、しかし何か危険なモノに違いない! 警戒だ!」
くそっ、ここは私達二人で止めるしか無い。
ね、念の為、警報を鳴らすとしよう。
この国の大切な民を守るため!
私は早速、国中に届く、警報を鳴らした。
よし、これで中に伝わったはずだ。
あとは、私達がここで抑えるだけ!
騎士団の人や、他の兵士の準備……そして今は祭りの真っ最中。
最低でも動員に10分は掛かる。
その間は私達がここを食い止める。
はぁ、近づいていく……もう100メートルも無いはずだ。
怖いが、ここで止めなければ。
「準備は……出来てるか?」
「あぁ……死ぬなよ?」
「承知だ」
そして謎のモノ、漂う煙が最大限に飛んできて、
門にぶつかりそうになった、
その時!
急に煙が、止まったのだ。
本当にぶつかる寸前に。
止まったのだ! そのせいか、止まった瞬間にあたりに衝撃波が生じる。
その威力は壁を壊すほどではないが、人を転ばせるほどの……。
「うわっ!」
当然、私はその衝撃波に耐えられる間もなく。
私達は体制を崩し、地面に転がる。
その間、止まった煙は城門のすぐ目の間でゆっくりと佇んでいる。
煙は徐々に収まっていくが、煙が臭く、匂いは広がる。
モンスターがあの煙の中に……。
か、構えなければ!
そしてどんどん煙が、収まっていく。
そして徐々に徐々に煙の中が見えてくる。
煙の中には人がいた。
(!?)
人だと?
そんな馬鹿な……さっきのは見間違いではなかったというのか。
そういえば、モンスターどこだ?
いやそもそも、モンスターはいるのか。
いや、いるはずだ、でなければあんな爆発は起こせない。
しかし、モンスターはいない……。
ん……待てよ、まさか………さっきの一連の爆発。
もしや、この男がすべてやったという事なのか?
煙の中にいた男。
それは、若い男。
何やら、地面に膝を立て座っている。
そして、足は少し地面にめり込んでおり、地面は凹んでいる。
この地帯では珍しい服装をして、肩には剣を背負っている。
………冒険者か?
いや、剣を持っている。
あの爆発は、魔法使いにしかできないはずだ! 多分!!
あ、それよりも!
「お前! 何者だ!!!」
「旅の者です」
なに、こいつ意外とあっさり。
旅のものだと?
と言うことは、別の大陸、国から来たのか。
そうだ、そうだな、ここ5年間、こんな男見たこと無い。
「質問がある……」
爆発を起こしたであろう、男の前に立つ。
「これはお前が全てやったのか?」
「……はい」
何だと……。
このような、爆発をこの男が起こしたというのか?
それも、こんな若者が……。
「その前に一つ、いいですか?」
何だ、私の話を遮って、質問だと?
こいつ、少し図が高いな……。
まぁ、答えてやるか……。
「何だ?」
「トイレ行っていいですか?」
「は?」
トイレだとぉ?
こんな大惨事起こしておいて……。
こいつ……本当に図が高い……。
「はぁ……五時間我慢しているんです、そろそろ行かなければ、膀胱が限界突破してしまいます」
「……汚い奴め……」
仕方ない……。
ここで漏らされたら後々大変なことになる。
それよりもまず汚い。
「……トイレは門から入って、横側の道を歩け、歩いていると前方に、木の建物がある、そこがトイレだ」
ついつい、教えてしまった。
その話を聞いたあと、すぐさまトイレに直行しようとした、
男の肩を掴み動きを止める。
「済ました後、ここへ戻ってこいよ?」
「行けたら戻ります」
そう言って、男はトイレにダッシュで向かっていった。
全く、最近の若者は大人に敬語と言うものが使えないのか。
教育がなっておらん。
「あの男、見ないやつだな」
「ここらへんでは見かけない、自らが旅の者と言っていた……警戒はしてよいだろう」
得体の知れない、素性のわからない男だ。
それにあんな方法で国に向かってきたのだ。
とても怪しい。
これは、戻ってきたら取り調べを行うとしよう。
手始めに、風の神殿に引き渡すのがいいだろうか。
‐‐‐
風の国―トイレ
俺の名前はロベルト・クリフ
現在、トイレの中で用を足しているところだ。
この男、ロベルト・クリフ。
彼は先程、城門前で大惨事に近い行動を起こした、謎の男張本人である。
ということなので。
現在反省タイムである。
やはり、爆発はまずかった。
やり過ぎでしまった、そう思う。
いや、普通に考えてあんな方法で向かう事がおかしい。
一度、考え直さないと。
よし、最終手段、本当にやばい!
そんなときのために、派手な魔法は取っておくことにしょう。
「うん、そうしよう」
彼は今後の予定を考える。
(トイレは汲み取り式、座れる)
風の国にしか来てから、する事をまとめているのだ。
頼まれた雫……聖水の件と自己の協力の件。
この2つをどのようにして解決するか悩んでいた。
そう考えているうちに、彼はトイレが終わったようだ。
大体は考えていた方が多かったが。
「………逃げるか」
彼はトイレから出たあと、一目散に城門の方向から遠くへ離れる。
ちなみにトイレだが、彼は大きい方を足してた訳では無い。
小さい方だ。
何故って? ふっ………。
ふっふっ……ふっ………。
簡単な話だ………それは……。
小便器がないからだ。
‐‐‐
トイレから出た。
まず、何をするか。
風の国は俺に取っては未知数、多少の本の知識でしか知らない。つまり、初見だ。
主なところは知ってるが、細かいところは全く分からん。
まぁ、歩いて国を周れば良いだろう。
(それだと、ただの観光か)
観光だな。
観光……観光………。
「せっかくだしこの国を観光するか」
彼はこの国をもっと知るため、未知へと歩き出す。観光気分で。
どこかで、兵士たちがロベルトを手配している事を知らず。
ロベルトの風の国観光編
ロベルトは風の国へやって来た。
しかし来たばかりで、この国をよく知らない。
おまけに兵士たちに追われている身である。
ロベルトは兵士から逃れつつ、風の国を満喫するのだった。
ロベルトは兵士にバレないよう、路地裏を通って、国を探索していた。
家々の隙間を通ったり、
はたまた、家から家へと繋がる橋やロープを渡ったりした。
俺のやってたゲームにもこういう感じで家の屋根を渡る方法があったな。
あれがまさか、本当にできるとは思わなかった。
あと、ロープはバランス取れば楽勝。
この体のおかげだ。
街の中心より左側の市場に来た。
この国も市場は繁盛している。
兵士いるだろうけど、人も多いから、見つかりにくいだろう。
まぁ、この服が目立つがな。
結構珍しいしく見えるし、見た目によっちゃ高値で売れるかもしれない。
ここはアトリス違って、完全犯罪は禁止されていない。普通に犯罪がある。気をつけないとな。
俺はこの市場でなにが売っているかを、少し鑑賞した。
野菜はもちろん、小道具に骨董品などが置いてある。
そしてここがアトリス王国とは違う部分。
この国独自の売り出し品があるとの事だ。
ここ風の国では風の国に合致した装飾をしている物や、子供が好きそうな可愛いぬいぐるみ。
そして大人が使うであろう聖水などがそこにはあった。
風の国独自の文化や売り出し品があるのならば、
他の国にもあるはず、楽しみだ。
まぁ、今は買う余裕無いけど。
おっと、気づかれた、逃げよう。
「逃がしたか…」
「どこへいったかわかるか?」
「さぁ……まぁいい。とにかくは、あの男を神殿まで連行しなければ」
‐‐‐
時刻はすっかり夕方。
空は夕焼け色に移り変わり、太陽の日差しが国全土を熱く照らす。
オレンジ色が少しづつ薄くなっていき、暗くなっていく。
もうそろそろ夜になる。
人もだいぶ少なくなってきた。
このままでは兵士に見つかる可能性が高くなる。
どこかに行かなければ。
どこかに避難……隠居するか。
この国に来て早々にやらかしちまった。
そのことに今気づいた。
こんなはずでは、無かったのに。
焦凄い。
こんな時は妹、リシアを見て落ち着こう。
10秒間瞬き一つせず見つめる。
ふぅ………補給完了。
さて、今は路地裏。
そろそろ動きたいところだ。
どこへいくかによって、この先の未来が変わってくる。
それに俺はこんな所で無様に捕まりたくはない。
酒屋にいくか……。
いや、あそこは人が多すぎる。
俺じゃ馴染めない、すぐちょっかい欠かされる。廃墟か? いや魔物と朝まで死闘するのは御免だぜ。
もう、不法侵入でもするか?
いや、犯罪者にはなりたくないし、却下だ。
考えろ、人にバレずかつ静かな場所は…………。
‐‐‐‐
午後8時
あたりはすっかり暗くなった。
もう夜である。
兵士たちも、必要最低限の場所しか警備しておらず、数少ない。
流石に今はロベルトのことは探してはいないのである。
手配はしてあるが。
そんなロベルト・クリフ今彼は現在どこにいるのか。
彼はどこにいるのか。
それは…………。
「いい場所が見つかった」
風の神殿の屋根である。
彼はこの夜空のなか一人ポツンと神殿の屋根で空を眺めている。
今日の空は綺麗である。
星星が輝き、暗い空にいくつもの星が染み渡り、一つ一つ生きてるかのような感じだ。
要するに魅☆力☆的☆
そんなロベルトだが、屋根の三角部分に少しだけ土魔法で土台を作り、そこに寝転がっている。
壁は囲わん、屋根も無い。
平坦かつ簡単な寝床である。
寒くないの? そう思うかもしれんが、ここがロベルト。
炎魔法と水魔法をちょうどいい感じに調節して。自分に付与しているのだ。
(結構温かいよ)
なので体温は温かい。
常時、丁度いいストーブの前で寝られる感覚である。
ちなみにこれを使うと魔力が少しずつだが減っていくが、ここは風の国なので、常に消費魔法量が減り、そして給与される。
なので実質定休的に使えます。
ちなみに提供している魔法は夜遅くには使わうことは禁止されている。
という簡単なルールがあるのだが。
ロベルトは、そんなことなどは一切知らない。
なので魔法を提供しているモノに取っては迷惑極まりない。
まぁ、初めてだから仕方ないのである。みなさんもルールは守ろう。
(ふぅ、今日も一日が終わる)
風の国を満喫……探索しようと思った矢先、やらかして兵士に追われる羽目になるって、現在逃亡の身。
嫌なことが多いな。
不快になる、こんなの。
今もなお、神殿の屋根という変な所で寝てるしさ。
まぁ、その分今の綺麗な星空を見ていれば忘れてしまうが。
こういう幻想的な物を見て心を安らげれば、
その分心が綺麗になる。
嫌な気分が浄化される。
これは本当にいいぞぉ。
そしてそれと同時に、星空でやることといえば。
星の数を数えること。
実際は無駄なことであるが、ついついやってしまいたくなる。
今の俺の心は純粋な子供に戻った気分である。
「うわっ、涼しい」
今、一瞬だが後ろの方でなんか風が吹いたんだけど。
通り風か? 全く壁作ったほうが良かったか?
寒いな、布でもどこからかスッとけば良かった、そのほうが俺としても安心できるし。
まぁ、いいやそんなこと。
寝てしまえば忘れるさ。
そう行って、長きに渡る一日からロベルトは、目を閉じ、
休息へと入り込んだ。
「ねぇ、君」
「………ん?」
なんか声したような……。
いや、夢か、夢か?
「おーい」
「………」
「……………えいっ」
「さ、さぶっ!!」
ぐえっ、何ださぶっ!!!
すげぇ寒い!
なんか、今すごい涼しい風をもろに食らったぞ……なんで……。
一体何が…………。
(……ん?)
俺はその時ふと、地面を見ると、そこには緑色の、風を模様した羽が落ちていた。
(なんだ、これ……)
見たことがないな……なにか、鳥の羽か?
「起きた?」
「えっ?」
後ろから声がした、人の声だ。俺は瞬時に後ろに振り向く。
そこには、空中に浮く、緑と白の服を貴重とし、背中から何やら緑っぽい白い翼? が生えた女が居た。
その女は、どこか人を引き寄せる力をもっていそうな気がした。
かつ他とは違う存在に見えた。
それはまるで………神のような存在であった。
「あー腰痛い、そっち大丈夫か?」
「私は平気だ、心以外はな……」




