第二十三話「狩人の家で」
狩人ジャックスとの出会い。
狩人の話によると、嵐が近いらしいので、泊めて貰うことになった。
少し、風が荒々しくなってきたから、丁度いい。
ジャックスさんの家は先程の道から少し戻り、草木の入り組んだところに、
隠れている。
つまり、隠れ家みたいな物だ。
入り込んでいるといったとおり、構造は複雑、
草木が!茂って!進みにくい!
まあ、あの人は悠々と進んでいったが
あたかも最初からできたいみたいに。
苦戦しながらも、なんとか草木を抜ける。
前方には立派な木造の家が立っていた。
柱も遠くから見る限り、しっかりしていて頑丈そうだ。
あ、雨が降ってきた。
嵐の前触れと言うことか。
「雨が降り出した、さぁ入れ」
おっと、呼ばれた。
急ぐとしよう、荷物が濡れると困る。
食料も入ってるし、そもそもこの鞄は革だ。
拭くのがダルい。
家の中に入った。
中は大きく広く、シンプルな作り。
床に絨毯と暖かそうな暖炉、何個かの机と椅子が置いてある。
そして、壁には様々な武器が飾られている。
実に実用的だ。
狩人らしく、狩猟に便利な武器がいくつも置いてある。
代え用、予備だろう。
「そこの椅子で休憩すると良い」
「ありがたい」
俺は、右側の椅子に腰掛け、ジャックスさんはその反対側に腰掛ける。
どちらも暖炉に近く暖かい。
ちなみに、外では雨が激しくなっていた。
「さて…お前さん、旅人だろ?どこ行くつもりだい」
普通の会話だ。
質問されて俺が答える、俺が質問し、ジャックスさんが答える。
質問形式か?
「風の国ヘ行く予定です」
「なるほど……自由の国か、あそこは空気が良い」
「例えば、どのような?」
「新鮮な空気に包まれ、安らぎに取り囲まれる感じだな」
なるほど、新鮮か…。
どの風もそれぞれが心地よいのだろう
風の国、または自由の国。
すべてが優しく自由であり、神秘的、
まるで風が流れるかのように心地よい感覚を覚える。
その風に触れれば気高く、同時に安らぎが得られるとか……。
(しかし、その一方、その風の逆鱗に触れれば、たちまち空気は一変する…)
まぁ、まさに神の怒りといったところか。
それはどの属性でも同じだろう。
「ジャックスさんは、風の国に行ったことは?」
「あぁ、狩猟した生物の買い取りに訪ねた事がある、契約も早く済んだし、仕事も捗った、」
ふーむ、風の国は狩猟と職も幅広い可能性……。
それに、契約も細かくはない。
内面、交渉や相談事も他の国とは違い自由と言われるだけあって、
優しいな。
「…時間掛からなかったんですか?」
「あぁ、他の国や街だと、少し長くなるが、風の国は簡単に済ませる、その分後から多少の支障が出る」
ジャックスさんは立ち上がり、家の横側へと向う。
そして、棚にあった、飲み物を取り出した、その間も会話は続く。
「……あまり、慎重ではないと?」
「そういう言い方もできる」
なるほどな。
風の国、自由。
つまり、人にとっての自由の時間が制限されない。
強制されない。
ここは良いのだ。
しかし、自由を求める辺を、大事な場面を行き当たり…簡単に済ませてしまう。
その場しのぎになったとしても、
あとから簡単に済ませたボロが出る。
なので、その分後からダメージを食らってしまう。
時間差攻撃とも言える。
少ないからいいが、意図してない時突然来るのはビックリする。
すぐには対処できないだろう。
(自由だが、その分国に甘い)
まぁ、どこかしらは問題があるという事だ。
どれだけ優れていてもな。
もちろん、この俺にだって弱点、問題点がある。
そこは自分も分かっている。
「しかし、国自体もそれを分かっていて、対処を施している」
そこだ。
自分から問題に気づき、それをどう対処していくか。
どう見直すか。
この行動によって、これからの行き先は変わっていくだろう。
とてもためになる、うん。
「風の国は、そこができているからこそ、自由で要られるのだろう、難所だがそれを切り抜けている」
「こういうの、やろうと思っても、難しいですからね」
「そうだ」
他の国でもこういう問題点は同じようにあるだろう。
しかし、それを治すのは難しい。
簡単ではないのだ。
しかし、風の国は置き前に文化と自由の精神で、
ダメージを負いながらも、それを解決していく。
そのおかげで、今の国が成り立っていると言うわけだな。
(話していると、ますます気になってきた)
「おっと、もう暗くなってしまった」
ジャックスさんの声に気づき、窓から外を見る。
外はもうすでに暗くなっていた。
それに雨も激しいし、風も吹いている。
本格的な嵐が来たか……。
「今日は飯がないから、パンとスープで我慢できるか?」
「そのくらい余裕です」
「根性あるな、若者も、こういうのが増えるといいのだが」
最近の若者はだらしない印象を受けているようだ。
一応、頑張っているはずだが。
まぁ、生きている時代が違う、感覚が根本的に違うのだろう。
「じゃあ、先風呂入ってくるから、お前さんは飯を食っておけ」
「食べさせて貰います」
その後ジャックスさんは先に風呂に行った。
これで…一人だ!
俺はすぐさま立ち上がり、数々の物が置いてある所へ向う。
クソ怪しい顔しながら、どんどん近づいていく。
そしてついについた。
ここで、手を少し伸ばして、どれか一つ、俺の所有物にしてやる!
(流石に物は盗まないぞ?)
そんな盗賊のモドキのするような事、俺がするとでも。
俺は旅人、そして聖閤堂従業員。
前世で言う、立派な社会人。
ルールは守れ、そう言われたからな。
先程までの茶番が嘘だったかのように、クルッと180°回転。
そのまま食事に入る。
先図はこのコーヒーみたいな茶をいただく。
一口飲む。
(………苦い)
その後、風呂から上がったジャックスさんと食事を済ませ、
今日一日を終わらせた。
寝ている最中嵐がうるさくて、よく眠れなかった。
結構大きめの寝返りもしていた気がする……。
ちなみに寝床は暖炉の前である。
不快です。
朝
「……ん、…あぁ………朝か……」
眠りから覚めた。
しかし体が痛い、寝ている場所が暖炉の前だからな。
寝心地は悪かった。
体が痛いがゆっくりと起き上がり、
辺を見回してみる。
音はしない、二階からも…この家には誰もいないようだ。
ジャックスさんは外に行ったのだろう。
とりあえず、まずは動こう。
いつまでもこう寝転んでいるのは時間の無駄だ。
もっと、効率的に…。
ロベルトは立ち上がり、一通り、家を見回し歩いたあと、
玄関の扉へ向かい外へ出る。
外は綺麗な快晴だ。
(ここまで、綺麗になるとはな)
昨日までの激しいし嵐が嘘だったかのように思える。
そのくらい晴れている。
まぁ、昨日の嵐で、地面や草木は濡れ湿っているがな。
ロベルトはここで一旦背伸びをして体を伸ばす。
朝にやると決めた行動である。
少し、散歩でもして気を休ませるか。
こうやって、暇なときには何でも良いから歩く。
これが俺にとっては良い。
それだけで気持ち良い。
なんせ、気分を落ち着かせることが出来る。
俺は歩く、試しにこの家を一周軽く歩いてみた。
こう言うときに何か、ヒラメキそうだな。
ん?……あれはジャックスさんか?
ロベルトは気分を休ませ歩いていると、ジャックスを見つける。
何やら、そこに座り佇んでいる。
そして、集中している。
! しかも、あの狩猟銃を構えている
何か狙っているのか?
「…何してるんですか?」
「あぁ…ロベルトか、今は邪魔しないでくれ」
「……狙っている?」
「………」
ロベルトは、静かにジャックスの近くに座り、
前方を見る。
その間ジャックスは集中を怠らず、常に体を止めている。
かつ、一点に集中して。
静かな時間が流れ、空気は硬直する。
集中の先ある物は何か……。
「………ここだ」
ジャックスが長きに渡る沈黙のすえ、声を発言。
その瞬間、ジャックス自前の狩猟銃から球が発泡される。
激しい音を立てた。
小鳥はその音に驚き各各に散った。
「……確認しに行くぞ」
「…分かりました」
ロベルトとジャックスは放った球の方へ向かい歩く。
場面的にも何かを狙っていた。
的でもあるのだろうか。
歩く、着いた!
そこには大きな的が置いてある。
大きさ的に3メートルは下らない。
それにいくつも穴が空いてあり、上に番号が削られていた。
「ふむ…左か、少し銃身をずらすか…」
ジャックスさんは何やら、この結果から考えている。
俺に取っては分からないが、重要な事だろう。
ちなみに今回の結果は、
的の斜め左にクリーンヒット。穴が空いている。
中心からは少しずれている。
穴には番号が貼っている。
番号の通り、数字が増えるごとに中心へと近くなっている。
成長が伺える。
その後、練習場?みたいな場所から家へ帰り、食事を済ませた。
その後は正午になるまで魔導書を読んで過ごした。
途中ジャックスさんから遠距離を狙う的確な方法を教えてもらったりした。
「そろそろ時間なので、行きたいと思います」
「もう、そんな時間か」
正午に近い。
なので、そろそろ風の国へと向かうとしよう。
一泊止まったが、長いはできない。
俺は荷物を整え準備をする。
武器に…食料、ペンダントあるな…。
とにかく整った。
これで出発できる。
一日だけだ、なんかホテルに泊まった社会人の気分。
大人の感覚が味わえている。
ジャックさんと一緒に外へ出る。
「お邪魔してすみません、助かりました」
「いや、滅多にこうやって直接関わらないから、いい足しになったさ」
たしかに、
俺、こういう感じで直接的に関わりの無い人の家に泊まるのは初めてだ。
そこは新鮮だった。
それに遠距離の活用方法も知れた。
そこんところは良い経験を積んだことになるだろう。
「では、これで…」
「あぁ、気をつけろよ、ここら辺は足場が脆い、ちょっと滑っただけで、脚が持っていかれるか」
「充分承知済みです、ではまたいつかどこかで……」
最後の挨拶を済ませ、ジャックス、誇り高き狩人に背を向き、歩き出す。
気休めにはなったさ、俺の異様に高い感情と熱心をほぐすほどの休みに…。
俺は歩いていた、しかしもう一度頭だけ後ろを向く。
後ろでは、ジャックスがまだ送ってくれている。
あ、少し笑みが漏れた。
調整、冷静沈着……。
ロベルトは少しの笑みを浮かべた顔を無理やり変えながらも、歩みを進める。
一つの小さな出来事、エピソードは終わった。
次は風の国へ〜
俺は狩人と別れたあと、下山を再開した。
途中、足場が脆いとこもあった。
ヒョイとなった瞬間、崩れて崖そこまで真っ逆さまに落ちそうな、そんな感じの足場だった。
まぁ、その横に普通に平坦な道あったから、行かなかったけど。
個人的には渡らず済んだ。
俺は歩き続けた。
今、後半部分の最終に差し掛かっている。(地図情報)
今、歩いているこの森を抜ければ、広い野原に出る。
そこは崖であり、見渡しがよく、景色がとても良い。
そしてここが注目点。
この崖から前方に、風の国へ全域が見えるという事だ。
俺はそれを求め足を進める。
うむ…なんとも清々しい気持ちだ!
この先待ち受ける物を見るワクワク感がそこにある。
最高にたまらない。
そしてたいに森を抜け出した。
森を抜けるとそこには、快晴の空と見渡しの良い豊かな景色。
そして、風の国。
ついに俺はゴールへと、たどり着いたあとは王国へ行くのみ。
おぉ…風が俺を包み込むかのように吹いている。
まるで、風の神に祝福を受けてるかのような……。
気分が上がる。気分上々。
というか、ここから風の国まで結構あるな。
まだ歩かないと行けないのな、うーん、疲れた。
ここはちょっくら、馬車にでも乗りたい気分だ、全く。
(まぁ、この崖を降りない限り、無いと思うが……)
それまでは歩くしかないか。
足が痛いし、肉体的にも疲労している。
頑張るしか無いか…。
うん、うーむ……。
「…………………トイレ行きたい」
これって…立ちションしていいのかな?
いや、だめか……もしかしたらこの崖にも所有者がいるかもだし。
無いとは思うが、もしあったら怖いっす。
ここは。我慢するか……。
風の国までは、流石に一時間もかかりはしないだろう。
でもなぁ…短時間で移動したいよなぁー。
ふぅ……仕方ない。
あの方法を使うか。
使い方は難しい、かつ派手、そして激しいが、短時間で行くならあの方法を使うしか無いな。
やるか……。
この崖、横側が階段となっており、そこから降りることができます
階段は石段です。




