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吸血少女ののんびり気ままなゲームライフ  作者: 月輪林檎
吸血少女と最悪な環境

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熱帯のボス

 アカリエに来た私は、すぐに裏に向かった。素通りさせてくれるから、楽だ。


「お邪魔します」

「あっ、ハクちゃん。いらっしゃい」


 アカリは、作業している手を止めずに迎えてくれた。私は、ソファの方に座る。


「アカリにこれ渡しておくね」


 私は、ラングさんから返された霊峰竜の心臓、霊峰竜の目、霊峰竜の核をアカリに渡す。


「あれ? 竜の素材? 持っていかなかったの?」

「ううん。持っていたよ。返されたの。防具とかに付けた方が良い追加効果だって」


 私がそう言うと、アカリは作業の手を止めて、メニューと睨めっこを始めた。それを見ながら、私はソファに寝っ転がる。ソファは、座るだけじゃなくて横になることも出来るから、休息するのにちょうどいい。


「私が手に入れられなかった素材かぁ……うん。確かに、防具とかに付けた方が良いけど……」

「けど?」


 若干歯切れの悪いアカリに聞き返す。


「結構、効果がピーキーな感じ……っていうか……霊峰の支配竜が、身体から炎を噴き出していたの覚えてる?」

「もちろん。じっくり炙られてたし」


 イベントに現れたレイドボスである霊峰の支配竜は、HPが半分を切った時、身体の節々から炎を噴き出していた。【吸血鬼】で回復していなかったら、絶対に死んでいた。


「それを自分でやるような追加効果と何かを見る事が出来る追加効果と全く分からない追加効果って感じ」

「なんじゃそりゃ」


 最初の追加効果しか効力が分からない。一つに関しては、何も情報がない。もしかしたら、それが、ラングさんが返しておこうと判断した理由の一つなのかもしれない。


「何かって何?」

「分からない。そこも『?』になってるから」

「順当に考えれば、霊体かな」

「霊峰、シャドウの二つから考えたって感じ?」

「うん」


 ラングさんが、私の武器に付けてくれた【霊気】は、どう考えてもシャドウなどから引っ張られた追加効果だ。あの環境に適した追加効果が、霊峰の支配竜の素材に付いている可能性は、決して低くない。


「でも、見えない敵なんて、まだ出て来てないんだよね……フレイさんやアクアさんから、そう言った話も聞かないし」

「じゃあ……隠し宝箱?」


 あの洞窟には、宝箱が設置されていた。そこから、何かを見ると一緒に連想されるものは、隠し宝箱以外にない。私の考えを聞いて、アカリも納得したように頷いた。


「あり得るかも。これ、預かっておくね」

「うん。よろしく。それじゃあ、私は熱帯エリアの攻略に戻るよ」

「どこまで行ったの?」


 アカリに訊かれたので、熱帯のマップを見せる。


「大体回ってるね。もうボスにも行けるみたいだけど、行かないの?」

「今日行くつもり。武器も強化して貰ったしね」

「そうなんだ。気を付けてね」

「うん。それじゃあ」


 アカリに手を振って、アカリエを出た私は熱帯に向かった。今回は、マップ埋めはしないでの、まっすぐボスエリアへと向かう。

 【神脚】のおかげで、かなり早く着く事が出来た。そのままボスエリアへと転移する。転移した場所は、森の中だけど、水の音が聞こえる事から川が近くにあるみたい。


「どうか、川主体のボスエリアじゃありませんように!」


 そう願いながら、歩いて進んで行く。ボスが何か分からないので、最初は慎重に進む。これまでの傾向から、寝た状態から始まる可能性が高いとは思うけど。

 【感知】に、大きな反応がある。それを頼りに歩いていくと、大きく開けた空間が見えた。木は生えていないけど、近くに川が流れている。ボスとの戦闘エリアの三分の一は川だ。

 そして、その中央にはとぐろを巻いている大きな蛇がいた。私の身長よりも遙かに長い。十メートルくらいはあるかもしれない。胴体の太さに関しても、私の肩幅より大きい。総じてでかいとしか形容しようがない。名前は、ヴェノムアナコンダ。そこから判断する毒攻撃を持っているはず。【毒耐性】を持っているとはいえ、警戒はしておいた方が良いはず。

 血刃の双剣を抜き、まだ制御が出来ない高速移動を使う。ここで、制御出来ないからと普通に走っていったら、先手を取れないかもしれないからだ。

 寝ているヴェノムアナコンダの身体に、血刃の双剣を突き刺す。そこで身体が止まる事はなく、自然と刃が身体から抜けて、ヴェノムアナコンダの後ろに着地する。

 この一撃で、ヴェノムアナコンダは出血状態になり、眠りから覚めた。ゆったりとした動作で頭を起こし、鎌首もたげて、こっちを睨んできた。そして、予備動作なく頭が突っ込んできた。噛み付きではなく体当たりという感じだったので、バックステップを踏んで退く。それで避けられたと思ったけど、ヴェノムアナコンダは、地面に顔をバウンドさせて、私を追ってきた。ヴェノムアナコンダの身体の長さを甘く見ていた。地面に着いて終わりなんて有りえない。あの長身を自由自在に操ってくるから、蛇型のモンスターは強いのだ。


「【ディフェンスエンチャント】」


 防御力を上げつつ、上半身の正面側を硬質化する。ヴェノムアナコンダの体当たりを受けて、身体に衝撃が走る。でも、ただではやられない。血刃の双剣を頭に突き刺して、【血装術】を使う。血刃の双剣に、二重で血を纏わせる。

 それが終わるのと同時に、ヴェノムアナコンダの体当たりの衝撃で、身体が吹っ飛んでいった。地面を転がる事なく、何度かバク宙をしながら勢いを殺す。

 そこにヴェノムアナコンダが、大きな口を開いて突っ込んできた。私は、全力で走って、ヴェノムアナコンダから逃げる。そんな私の後ろをヴェノムアナコンダが追ってくる。

 背後から圧が掛かってくるのを感じる。その中で、一際濃い嫌な予感がしたので、自分の勘を信じて、真横に跳ぶ。すると、私がさっきまでいた場所に紫色の液体が着弾したのが見えた。


「毒……」


 どこからどう見ても毒そのものだ。変な煙も出ているので、あそこには近づかない方が良い。

 ヴェノムアナコンダの毒液を避けた私に、更なる嫌な予感が襲い掛かってきた。私は、その正体を目で確認しなくても分かった。硬質化のクールタイムがギリギリで終わったので、背中を硬質化する。ほぼ同時に、背中を衝撃が襲う。まるで、背後からバッドで殴られたような衝撃だ。その正体は、ヴェノムアナコンダの尻尾だ。あれだけ頭で攻撃されていたので、尻尾の方が意識から抜けていた。空中で身動きが取れないところに攻撃を受けたので、勢いよく吹っ飛んでしまった。

 地面に血の刃を突き刺して、勢いを殺して、川の畔で、ぎりぎり止まる。


「危なっ……っ!!」


 追い打ちとして吐き出してきた毒液を、身体を反らす事で避ける。直後に高速移動をして、ヴェノムアナコンダの身体に双剣を突き刺して、そのまま斬り裂く。同時に、ヴェノムアナコンダから血を取りだして飲む。硬質化していたけど、ノーダメージだったわけじゃない。毒血の可能性もあったけど、毒状態にならなかったので、そうではなかった。運が良かった。

 私が身体を斬っている間に、ヴェノムアナコンダは、私の周囲を身体でぐるりと囲んでいた。私は思いっきりジャンプした。直後に、私の身体があった場所を、ヴェノムアナコンダの身体が締め付けた。あのままあそこにいたら、完全に巻き込まれていた。

 空中に逃れた私に向かって、ヴェノムアナコンダが噛み付こうと首を伸ばしてきた。その牙に合わせて、双剣を振り、攻撃を逸らして、その頭を足場にして思いっきり踏み切る。

 ヴェノムアナコンダの頭が、地面にめり込む。


「双剣より蹴りが強いって、どうなんだろう……」


 【神脚】の効果が凄すぎて、自分でも呆れてしまう。

 空中で体勢を立て直して着地すると、すぐにヴェノムアナコンダの尻尾が突き出された。双剣を交差させて、攻撃を受け流し、尻尾の軌道を逸らす。尻尾は、私の背後でUターンして、再び襲い掛かってくる。その攻撃を横から蹴りを当てる事で、攻撃を逸らした。

 そのまま地面に付いている足だけで踏み切って、ヴェノムアナコンダの頭に突っ込む。毒液を吐きかけてくるので、斜め前にステップを踏んで避ける。

 そして、近距離からフォレストリザードにやったような必殺キックをお見舞いする。足がヴェノムアナコンダの身体に埋まり、若干反発を感じた直後、ヴェノムアナコンダが、川に向かって吹っ飛んでいった。

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