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吸血少女ののんびり気ままなゲームライフ  作者: 月輪林檎
吸血少女と最悪な環境

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続熱帯探索

 フォレストリザードを倒した私は、目の前に出てきたウィンドウを消しながら、今の戦闘を振り返る。


「う〜ん……私の蹴り、強すぎ……」


 蹴りだけなら、ゲルダさんよりも強い気がする。【神脚】は、収得して正解だった。

 問題なのは、【血武器】の方だ。【投げ】を収得する事によって、投げナイフにするという活用法を見出せたけど、これから実用に足る強度を得てくれるのかが鍵になる気がする。


「まぁ、スキルの慣らしは終わったから、熱帯の攻略に移ろうかな。幸い、まだ夜だし」


 ステータスが低下する前に、熱帯を歩き回って、探索をする。現状は、マップを半分近く埋めたくらいだ。

 ボスエリアへ転移する場所も見つけたけど、今の私には早いと判断して、挑んではいない。どのみち、武器がない現状では、挑まないけど。

 熱帯の探索は、正直思うように進められていない。その理由は、ただ一つ。川だ。

 大きな主流と複数の支流が流れている熱帯は、私にとって障害が多かった。双刀の隠れ家に辿り着いた要因の一つだけど、クロコダイルと恐らく【吸血鬼】の影響で、泳ぎが下手になった事もあり、不用意に入る事が出来ない。

 多分、【吸血鬼】を外したら、ある程度泳げるようになるとは思うけど、【血装術】に含まれる操血を使った血での回復が出来なくなる。

 普段の戦闘スタイルから外れる事になるので、あまりしたくないというのが本音になる。


「あっ! ようやく見つけた……」


 私は、探していたものを見つけて思わず、そう声に出した。

 私の視線の先には、川を横断するように掛かった丸太の橋があった。誰かがここに置いたというわけではなく、最初からこういう配置になっているみたい。泳げないプレイヤーへの配慮って感じかな。

 ただ、一つだけ問題がある。それは、丸太が一切加工されていないため、バランスをしっかりとらないと、滑って川に真っ逆さまという事だ。

 配慮はするけど、甘くはないぞという開発者の意図を感じる。


「せめて、二本組とかにしてほしいんだけどなぁ」


 私は、川に掛かった一本橋に足を掛ける。幸いな事に、苔むしているわけではないので、滑りやすくはなっていない。

 慎重に丸太の上を渡る。


「きっと、やろうと思えば、川を跳び越える事も出来るんだろうなぁ。でも、さすがに試したいとは思えないし……」


 溺れた経験から、リスクのある行動は避ける事にしている。川に落ちて、また生き残れる可能性は、そこまで高くないと思うからだ。前回は、気絶したまま流されて運良く打ち上げられたってだけだし。

 そうして、一本橋を渡り切ると、正面からモンスター近づいてきていることに気づいた。【感知】によると、向かってきているのは一体。恐らく、スローイングチンパンジーだ。

 川に落とされると厄介なので、私からも近づく。そして、その姿が見えたのと同時に、高速移動をする。


「んぎっ……あっ……」


 空中での姿勢制御を誤り、スローイングチンパンジーに向かって、高速の頭突きをする事になった。向こうからしたら、高速で人が飛んできたようにしか見えないと思う。本当は、蹴りを入れたかったのに。

 唐突な頭突きに、スローイングチンパンジーは、反応できていなかった。直前で、硬質化した私の頭頂部が、スローイングチンパンジーの腹に突き刺さる。

 スローイングチンパンジーから、くぐもった苦悶の声がする。枝を掴んでいられなかったスローイングチンパンジーは、そのまま錐揉みしながら地面に刺さった。私の頭突きは、思ったよりも威力が高かったみたいだ。

 この一撃だけで、HPの四割を削った。

 地面に着地した私は、離れたところで身体を起こそうとしているスローイングチンパンジーに向かって、血のナイフを投げる。血のナイフは、スローイングチンパンジーの喉に命中して、動きが鈍る。そこに駆け寄って、頭を蹴る。

 スローイングチンパンジーの身体が、地面から浮き上がり、一回転して、うつ伏せに倒れる。

 その後頭部を思いっきり踏みつけた。それで、HPがなくなり、スローイングチンパンジーがポリゴンに変わって消えた。


「苦戦はしないね。【神脚】か……フォレストリザードの時も思ったけど、強力すぎ。でも、制御に難ありなんだよね。偶々、頭突きが上手くいったなら良かったものの、下手したら、そのままどこかに飛んで行った可能性もあるし」


 頭突きがスローイングチンパンジーに命中しなければ、私の身体は、スローイングチンパンジーの横を抜けて、遙か後方まで行っていた可能性がある。


「でも、感覚は、だんだん掴んできてる。いつもよりも早く力を込めて、姿勢を制御する感じで、ある程度までなら間に合うはず。全力は、まだ出さない方が良いかな」


 最初に高速移動を試してから、私は全力で脚力を使うのは危ないと判断して、ある程度セーブはしている。それでも、十分な威力はあるので、特には困らない。

 ただ、本気の本気で使ったら、どうなってしまうのか興味がないと言えば嘘になる。でも、そこは自重しないといけない。

 本当に何が起こるのか分からないからね。

 スローイングチンパンジーを倒した私は、熱帯の探索を続ける。すると、血狂い蝙蝠襲いかかってきた。【感知】で確認する限り、五十はいる。


「相変わらず、数だけは多いなぁ」


 イベントで、三日過ごしたからか、こうして血狂い蝙蝠も戦闘をするのが懐かしく感じる。

 そんな感情に浸るわけでもなく、私は、【血武器】でナイフを作って、血狂い蝙蝠に投げつける。防御力が紙な血狂い蝙蝠は、その一本だけで、地面に落ち、消えていく。

 このまま【血武器】だけで戦えれば楽だけど、私のHPが足りないし、そもそもそれを許してくれる程、血狂い蝙蝠も甘くない。

 残っている群れが、私に向かって突っ込んでくる。それに対して、まず蹴りから入る。反時計回りに脚を回して、六匹を一気に倒す。ついでに、目の前に現れた血狂い蝙蝠に噛み付いて、HPの補充をしつつ、血のナイフを二本作り、私の血を吸って興奮状態になっている血狂い蝙蝠に投げつける。

 この一連の流れを繰り返して、血狂い蝙蝠を全滅させた。


「う〜ん……まぁ、良い感じかな。【血武器】の利用を上手く出来ているって感じはするし」


 蹴りだけでも、数匹まとめて倒せるし、噛みついて吸血すれば、HPを回復出来るので、【血武器】に制限も付かない。ここら辺で考えると、熱帯のモンスターの中では、ある意味戦いやすい分類かもしれない。

 本当は、アサルトバードみたいに掴み取りをして倒せると、安全で楽なのだけも、突撃だけを繰り返すアサルトバードと違って、血狂い蝙蝠は、私を追って血を吸って来るので、掴み取りも安全ではない。


「クロコダイルに関しては、戦いたくないから、良いや」


 態々水場に行って、クロコダイルと戦いたくはない。下手すると、川に引き摺り込まれるかもしれないし。

 後は、レアモンスターとボスだけだけど、そうそう遭遇する事はないので、あまり考えないで良いと思う。

 この調子で、日が出るまで、熱帯の探索を進めていった。

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― 新着の感想 ―
[一言] この章をありがとう
[一言] 見事なロケットずつきだと感心するが何もおかしくないな
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