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吸血少女ののんびり気ままなゲームライフ  作者: 月輪林檎
吸血少女は救いの手を差し伸べる

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唐突な邪神戦

 邪神の剣を赫夜刀で弾いた直後、邪神の身体が人型からよく分からない形になる。

 全身から触手のようなものが生えてきて、その先端が剣のようになっている。それだけではなく、身体と思われる箇所のあちこちに顔らしきものが出て来る。本当に見るだけで気が滅入りそうな見た目だ。

 私は背後に尻尾を伸ばして、大きな隕石の欠片に身体を引き寄せる。邪神の身体から触手が勢いよく伸びて追ってくる。

 私は、距離を取りながら雷霆で触手を弾き飛ばしていく。さらに、移動に使う三本の尻尾以外の尻尾も迎撃に回す。

 私が次々に攻撃を防いでいく光景を見た邪神は愉快そうに笑う。その笑い声が変わらず金属が擦れるような音なので、かなり不快だった。見た目と相まって、不快度はかなり高い。

 邪神の強さはあの一定ではない身体だ。どんな姿にでもなれるというのは、本当に厄介だ。まぁ、私も似たようなものではあるのだけど。

 私も邪神も縦横無尽に動き回り、互いの攻撃を互いの攻撃で相殺している。

 ただ問題がある。それはどんどんと周囲の隕石が砕かれているという事だ。私の移動の補助をしてくれている大きな隕石は本当に数が減っている。まぁ、飛んでいるからあまり関係ないと言えば関係ないのだけど、邪神を翻弄する事が難しくなる。

 それにフレイルにもする事が出来なくなっているから、攻撃や防御に繋げる事が難しい。

 そう思っていたら、新しい隕石が邪神に降り注いできた。その犯人は、リリィルーナだ。リリィルーナは、漂う事をやめて邪神に指を向けている。それによって邪神に引力が与えられているようだ。

 それに気付いた邪神はリリィルーナの方を見て、面白そうに笑みを浮かべた。それを見た私は、邪神の考えが分かってしまった。


「ちょっ! 待って!!」


 邪神は私の制止を聞かずに、リリィルーナに向かって移動をし始める。戦いに介入した以上、リリィルーナも邪神の敵という判定を受けてしまった。邪神とリリィルーナでは、どちらが強いのかは分かりきっている。

 私は【雷化】を使って一気に邪神に向かっている隕石に移動し、それを思いっきり蹴って加速。更に飛行による加速も使って邪神に追いつこうとすると、邪神の触手が一気に伸びてきた。その触手を避ける事なく、赫夜刀と尻尾で防ぎながら邪神に近づいて赫夜刀を振う。

 その一撃は、空振りに終わった。

 その理由は、邪神の身体が突然小さな子供になったからだ。本来なら身体があった場所には何も無い。

 邪神はにやりと笑いながら私を見る。

 でも、これが一番有り難い事だった。邪神は私の斜め下。その延長線には、リリィルーナも惑星もない。その身体の大きさは私よりも小さい。

 リリィルーナへ攻撃させる前に邪神を消し飛ばす。そのために必要なスキルは、昨日手に入れた。

 MPを三分の二消費して【穿孔】を発動する。私の身長と同じ大きさの穴を私の目の前に開ける。その中にいる邪神は、丸ごと入り込んでいるため、その存在そのものを消し飛ばす事が出来る。

 でも、これだけで邪神が倒せたとは思わない。なので、先程まで邪神がいた位置とリリィルーナとの間に割って入って赫夜刀を構えつつ、感覚を研ぎ澄ませる。

 すると、私の正面に黒い靄が集まっていき、靄のまま金属が擦れるような笑い声が聞こえてきた。その黒い靄からいくつもの触手が勢いよく伸びてくる。それに対抗するように尻尾を一気に増やして防御していく。

 その中で唐突に私の前に靄の邪神が現れた。移動した事に気付かない速度。いや、移動ではなく身体を伸ばしたのか。それにしても、私が気付かない速度である事に変わりはない。

 赫夜刀を振うのと同時に、邪神も黒い剣を振り下ろしてくる。鍔迫り合いになった瞬間に、その身体から私に向かって触手が伸びて来た。私の目に向かって勢いよく伸びて来た触手を避ける事は難しい。バルドルさんの祝福で無敵時間を作る事で、貫かれずにノックバックさせられるだけで済んだ。尻尾のコントロールが一瞬出来なくなったタイミングを突かれて、触手が私を貫いた。ダメージは発生しないけど、そのまま連続攻撃で防御に移る事が出来ない。その隙がない。

 無敵時間が過ぎた後は、【夜霧の執行者】で身体が霧になるけど、ダメージが発生する。やっぱり、夜霧での回避は無理みたいだ。血のドレスも解除される。ノックバックで吹っ飛んでいった私に邪神は笑いながら追撃をしてくる。

 身体を制御して防ごうとしたところで、逆に邪神が吹っ飛んだ。あれは私もされた攻撃。リリィルーナの力だ。リリィルーナが援護してくれている中で、私の身体を柔らかい何かが受け止めた。

 同時に、邪神を中心に黒い夜が凝縮していくのが分かった。邪神の触手も全て押し込められていく。

 そこに私が使うものとは比べものにならない程の規模の雷撃が邪神に注がれる。

 さらに邪神の身体の中心に向かって槍のような杖のようなものが勢いよく吸い込まれていった。

 夜による拘束と雷霆と槍による二段攻撃で邪神は、かなり消耗させられていた。

 それを確認していると、私の身体をぽかぽかとした暖かい光が包み込む。


「全く無理をするのう」

「それが……この子だから……」

「違いない」

「ふむ。それにしても、禍々しい奴だ」


 アマテラスさん、ニュクスさん、オーディンさん、ゼウスさんが私の周りにいた。私を受け止めてくれたのは、ニュクスさんだ。


「地上は……安心して……ガイアが……対処しているわ……」


 地上に降り注ぐ隕石は、ガイアさんがどうにかしてくれているらしい。地上に被害がないのは有り難い事かな。


「ありがとうございます。助かりました」

「うむ。して、奴が邪神か?」

「はい。でも、皆さんの攻撃でも倒しきれないなんて……」

「神は神。奴の権能も凄まじいものなのだろう。奴に関しては、何も情報がない。警戒をするべきだな」


 オーディンさんの知識にもない存在という事で、全員が警戒している。その中で邪神は、金属が擦れるような笑い声を発しながら夜に押し潰されるようにして消えていった。


「逃がしたわ……」

「仕方あるまい。撃退出来ただけでも良しとするべきじゃ。ハクがこの状態では、妾らも安心して戦えまい」


 アマテラスさんはそう言いながら、私の頭を撫でてくれる。あまり感じなかったけど、皆怒っている感じなのかな。

 まぁ、皆が私の元に出て来た理由は、私が次々にダメージを受けたからだろうし怒っているのも当たり前なのかな。

 それにしても、皆の力でも一気に消し飛ばす事が出来ないという事は、邪神を倒すのは大分難しいかもしれない。重力の影響を受けている地上なら、もう少し戦いやすいから、善戦出来たかもしれないけど。

 ひとまず、邪神の攻撃方法の一部を見る事が出来たから、次はもう少しマシに戦えるかな。

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