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吸血少女ののんびり気ままなゲームライフ  作者: 月輪林檎
吸血少女は救いの手を差し伸べる

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天よ 河よ 願いを乗せて泳げ

 そうして、また移動を続けていると、鎌ではなく剣の腕を持つ星外生命体ベータと鉤爪の星外生命体ガンマに襲われた。この二種に関しても、特に問題なく倒せた。強さ的に言えば、星外生命体アルファと同じくらいだから、大して強くはない。新しいスキルは手に入らなかったけど、その点で問題ないのは有り難かった。

 アスタロトが常に警戒してくれるおかげで、感知漏れもないし、大きな問題もなくミズチの頭付近に着いた。


「ここまで来れば……ねぇ!! 私はあなたと敵対したいわけじゃないの!! ちょっと話を聞いて!!」


 頭付近に来たところで、大きな声を上げる。すると、アスタロトとは別の声が頭に響いてきた。


『汝は何者か』


 十中八九ミズチの声だ。ここまで来てようやく会話が出来るようになった。


「私はハク。リリィルーナに会いたいの。あの時、リリィルーナが発生させた力に対抗した私の力を打ち消したのは、ミズチだよね? だから、先にミズチに声を掛けに来たの。リリィルーナを害するつもりはない。ただ力になってあげたいの」

『何故?』


 ミズチからすれば、私がそうまでする理由が分からないという事だと思う。一番の理由としては十の存在だからという事になる。ゲームのメインコンテンツを遊びたいというのが、プレイヤーとしての言葉だ。

 でも、そんな事はミズチからすれば関係ない事。だから、もう一つの理由で説明する。


「メイリーンから話を聞いた。リリィルーナが何故宇宙に上がったのかって事も知ってる。だから、力になりたいの。あの子を宇宙で一人ぼっちにさせたくない。居場所を作ってあげたい。それだけ」


 ちゃんとリリィルーナに対しての想いを伝える。あの子を一人ぼっちのまま、何も無い宇宙で過ごさせるのは嫌だ。ミズチは、あの子の心を守るために宇宙に打ち上げた。あの子を助けようと思ったのは、私もミズチも同じはずだ。


『それを彼女が望んでいると?』

「それは分からない。私の自己満足に過ぎないのかもしれない。でも、ミズチだって、リリィルーナの全てを理解しているわけじゃないでしょ? ミズチが宇宙に避難させてあげてから、かなり長い年月が経っているはず。人の考えが変わるのに十分な時間だよ」


 私がそう言うと、ミズチは黙り込んだ。私が言っている事は多分正しい。人の考えなんてものは、一日二日で変わる事だってある。それを考えれば、千年以上も宇宙で一人ぼっちになっているリリィルーナの考えが当時と変わっていてもおかしくはない。

 ミズチもそれを理解してくれているのだと思う。


『汝は誰がために動く事が出来る者だと?』

「多分?」


 割と自分のためにも動いたりしているので、自信満々に人のために動く事が出来ますとは言いづらかった。


『であれば、我の願いも聞くか?』

「ん? うん。私に出来る事なら良いけど」


 ここで断ると、ミズチの信用を勝ち取れない。ミズチに信用して貰うには、ミズチの願いを聞く必要があるという事だ。


『ユニーククエスト『天よ 河よ 願いを乗せて泳げ』を開始します』


 これがミズチのクエストのようだ。


『我の体内にいる寄生生物を退治して欲しい。特に大きな問題はないが、力を奪われ続けるのは癪だ。退治し終えたら、口から出て来てくれ』

「あ、うん。分かった」


 まさかの体内お掃除系クエストだった。最終的にお尻から出るという話ではなくて良かった。


「何か気を付ける事はある?」

『特に何もない。毒でも何でも我には効かん。内部でも同じだ』

「なるほど? それって悪魔の毒でも同じ?」

『そんなものは効かん』

「了解。じゃあ、口から入るね」

『頼んだ』


 自分を縛り付けていた影と血を解除して、ミズチの顔まで走る。すると、ミズチが口を大きく開くので、そこから体内に入っていく。


『本当に入るのぉ?』

「勿論」


 アスタロトは嫌がっていそうだけど、これをしないとミズチの信用を勝ち取れないので、内部に入っていく。【熾天使翼】を消して、浮遊して移動する。羽を広げていられるだけの空間があるかも分からないからだ。


「アスタロト」

『私も出るのぉ?』

「その方が効率が良いでしょ」

「はぁい」


 アスタロトがレメゲトンから出て来て、私を背後から抱きしめてくる。


「これだといざという時に動けないんだけど」

「毒を使っても良いならぁ、私が倒せるものぉ。それで良いわよねぇ?」

「全く……じゃあ、私を抱えて移動して。その方が移動しやすいから」

「はぁい」


 アスタロトが私を抱っこする。これで、私が浮遊を使わなくても良くなる。エアリーを喚びたいけど、中で何が起こるか分からないので、私が自分で感知する。それに集中するためにもアスタロトに抱えられている状態は都合が良かった。


「普通に内臓の中みたい。消化液があるかもしれないから、常に浮いているようにね」

「はぁい」


 そう返事をしながら、アスタロトは私の頭などに顔を近づけて頬を擦り付けてくる。まぁ、この環境にいるのが嫌みたいな感じだったから、このくらいは許してあげよう。風の感覚で空間を認識した私は飛行型の血液兵を出していく。


「その子達がいるならぁ、私の出番はないかしらぁ?」

「さぁ? 星外生命体達がどのくらいの強さか分からないから、場合によってはアスタロトも戦う事になるかもよ。準備だけはしておいて」

「はぁい」


 アスタロトに寄り掛かって、【感覚共有】で視覚を同調し、血液兵達が見ている光景を確認する。

 先行させてる血液兵達が戦闘に入る。

 蚊のような姿をしている星外生命体デルタ。

 アメーバのような身体をしている星外生命体イプシロン。

 ミミズのような身体の星外生命体ゼータ。

 蜘蛛のような身体の星外生命体イータ。

 ゲジゲジのような星外生命体シータ。

 チンアナゴのような星外生命体イオタ。

 カッパのような星外生命体カッパ。

 蝙蝠のような星外生命体ラムダ。

 モンスターのスケルトンのような星外生命体ミュー。

 狼のような星外生命体ニュー。

 他の星外生命体にくっつくようにいる小さな鱗のような星外生命体クサイ。

 サキュバスのような身体をしている星外生命体オミクロン。

 蠍のような星外生命体パイ。

 鷲のような星外生命体ロー。

 多くの人がイメージする火星人のような蛸型の星外生命体シグマ。

 亀のような星外生命体タウ。

 全身が触手で出来ているような星外生命体ウプシロン。

 カブトムシのような星外生命体ファイ。

 テケテケのような上半身だけの星外生命体カイキー。

 大きな目玉のような星外生命体プサイ。

 この全員が外骨格のような鱗に覆われていた。

 全部で二十体の星外生命体が存在した。どれだけ身体の中で飼っていたのかと思わざるを得ない。寧ろ、これだけいて問題ないというミズチが異常だと思う。

 一体一体の強さはそこまででもない。血液兵達で十分に倒せるくらいだ。ただし、私の血液兵は、これまでの探索によって大量の経験値を獲得しており、かなり強くなっている。経験値が共有だから、こうしている間にも全体的に強くなっていく。

 そして、ここから【穿孔】【寄生体】【墨吹き】【亀甲羅】【触手体】【魔力剛角】【上体延命】【魔力眼球】を手に入れた。他は持っているスキルか統合済みのスキルなので、経験値に変わる。


────────────────────


【穿孔】:任意の場所に穴を開ける。消費MPにより距離が変わる。


【寄生体】:体内から寄生体を生み出す事が出来る。控えでも効果を発揮する。


【墨吹き】:墨を吹き出す事が出来るようになる。


【亀甲羅】:MPを消費して、背中に魔力で出来た甲羅を生み出す事が出来る。


【触手体】:MPを消費して、身体から魔力で出来た触手を生み出す事が出来る。


【魔力剛角】:MPを消費して、頭部から魔力で出来た頑丈な角を生み出す事が出来る。


【上体延命】:上半身下半身に切断された時、上半身のみでも活動が可能となる。控えでも効果を発揮する。


【魔力眼球】:MPを消費して魔力で作った眼球を生み出す事が出来る。その眼球から見た景色を認識できる。控えでも効果を発揮する。


────────────────────


 何か微妙なスキルが多い。【穿孔】は何かに使えそうだけど、使い方次第ではヤバい事になるかもしれない。【上体延命】は、特に意味がなさそう。身体を切断される事の方が少ないだろうし。

 唯一【寄生体】は面白いかもしれない。寄生させた結果どうなるのかが問題だけど。さすがにミズチの中で実験はしないでおこう。

 後言える事は、星外生命体達の血は不味い。本当に不味い。心を無にしないと受け入れられないくらいには不味い。

 そのせいなのか、【墨吹き】で吹き出せる墨はちょっと美味しかった。旨味成分が多いみたいな話を聞いた事があるけど、私の墨も同じなのかな。試しに使った結果、私もアスタロトも墨まみれになったこと以外は良しとしよう。すぐに洗い流せたし。

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