星外生命体
ミズチの攻撃を【万物吸収】で防ぎつつ、影と血液を付け替えていきながら前に進む事一時間。ようやく半分程まで進んできた。
『主人』
「うん。分かってる」
【万能探知】にも反応がある。ミズチの身体の上に何かしらのモンスターがいる。遠くから来るわけじゃないなら、私でも見つける事が出来た。
「アスタロトは出ないようにね。置いて行かれるかもしれないから」
『分かったわぁ』
白百合と黒百合がない以上、赫夜刀か属性刀を使うしかない。赫夜刀は、ミズチの身体を傷付ける可能性が高いので属性刀を出して血液で刀身を作る。そして、【吸血神姫】を発動して血のドレスを身に纏う。
ミズチの身体の上にいたのは、変な鱗のようなものが生えている謎の生物だった。一番近い生物はカマキリかな。カマキリよりも胴体も足も太いけど。口の鋏みたいなのをガチガチと鳴らしている。名前は星外生命体アルファと言うらしい。
『キモいわねぇ』
「寄生かな? それとも共生?」
『あいつらのいた場所を見ると、傷付いているからミズチを食べていたようにも見えるわねぇ』
「じゃあ、寄生か。全く身動きが取りにくいって時に……」
星外生命体アルファは、何とも言い難い咆哮を上げていた。そして、両手の鎌を振り上げながら、こっちに向かってきた。一体の星外生命体アルファの鎌の振り下ろし攻撃に対して、上方向への力を付与して振り下ろしを強制的にストップさせてから属性刀で斬る。
HP的には、そこまで高くないらしい。一撃で倒す事が出来た。口の中に気持ち悪い粘液のような感覚が襲ってくる。星外生命体という名前の通り、血液が普通の血液じゃないみたいだ。味は最悪。ミズチの上に吐瀉物を撒き散らさなかっただけ褒めて欲しいくらい。
『いつもみたいに倒さないのねぇ』
「いつもみたいな焼き払いは、ミズチを傷付けるかもしれないから出来ないよ」
星外生命体アルファの攻撃に対してカウンターをする形で倒していく。ついでに、色々な祝福などを使って、ミズチの身体を癒していく。あれが寄生してダメージを与え続けていたとしたら、こうして回復してあげる事にも意味があるかもしれない。
『数が多いわねぇ』
「尻尾よりもしがみつける場所が多いから、ここに集中しているのかもね。ミズチがこっちに来た時からいたのか、新しく宇宙から降って来たのかで、色々と考察も変わりそうだけど」
『そうよねぇ。そもそもあの光線があれば、こんな奴等一掃出来るものねぇ』
「う~ん……あの鱗が光線を弾くとかないかな? 同じ惑星の近くにいたなら、そういうものを持っていてもおかしくはないでしょ?」
『それはあり得るわねぇ』
ミズチと同じ惑星から来たとしたら、ミズチと同じ鱗を持っていてもおかしくはない。そのせいで、ミズチ自身も退治する事が出来ないという事なら、こうしてずっとここにいる事にも納得が出来る。逆に宇宙から常に降り注いでいるという事になると、若干違和感がある。それなら地上にもいておかしくないだろうし。
まぁ、もしかしたら大気圏突入で燃え尽きるのかもしれないけど。ミズチは、たまたま燃え尽きる前にキャッチしてしまったとかはあり得る。
星外生命体アルファの血液を摂取させられていると、スキルを手に入れた。
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【宇宙適応】:宇宙空間に適応する身体を得る。控えでも効果を発揮する。
【反射麟】:光属性、光明属性を反射する鱗を纏う事が出来る。
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後は鎌系スキルだけど【武芸神般】に統合されるから経験値にしかならない。というか、祝福で宇宙空間に適応は出来ているから、本当に要らないスキルしかなかった。まぁ、何かしらの統合には使えるかな。
星外生命体アルファは次々に頭の方から現れて、こっちに向かって来る。ミズチを傷付けないようにするために飛び道具は使わず、星外生命体アルファの攻撃を属性刀で防ぐ。星外生命体アルファは複数体いるために、がら空きになった胴に攻撃が振られてくる。
それに対して、私はシキドウジ戦に向けて習得した血液の尻尾を使う。
九本の尻尾がそれぞれの星外生命体アルファを貫く。先端を短剣のような刃にしているからか、あっさりと貫けた。逆に、尻尾で星外生命体アルファの攻撃を防ぎながら、属性刀で斬って倒すという事もした。尻尾を使った戦闘には大分慣れた。
効率良く星外生命体アルファを倒していく。
そうして三十分くらい戦ってようやく星外生命体アルファの襲撃が収まった。【万能探知】でも新しいモンスターの群れとかは感じ取れない。
「これで終わりかな。でも、アルファって事は……」
『ベータもガンマもいそうよねぇ』
「そこからオメガまで続くのかな。さすがにそこまで続いて欲しくないけど」
『そうねぇ』
まぁ、このミズチの上で全てと出会えるとは限らないと思うけど。リリィルーナという宇宙ステージもある訳だから。
「取り敢えず、ミズチが傷付いてるのは間違いないから、回復させながら行こう」
『元気になりすぎないかしらぁ?』
「う~ん……でも、それがきっかけで仲良くなれるかもしれないし、こうして回復してあげるって行為が敵対してないって意思表示ににもなりそうでしょ?」
『う~ん……まぁ、そうねぇ』
アスタロトはミズチを回復させる事に警戒の色を見せている。この警戒は、私の事を心配しているというものだ。そのくらいは分かる。確かに、ミズチはまだ敵対関係にある以上、アスタロトのように警戒する方が正解なのだと思うけど、ゲーム的観点からすると、こうして地道に好感度を稼ぐのが正解だったりする。
そして、アスタロトにも言った通り、こうする事がミズチに対しての敵対の意思がないという証拠になる。これがミズチに伝わっていればの話だけど。ミズチの大きな身体からしたら、星外生命体アルファも私も小さな虫くらいに過ぎないと思うし。寧ろそれ以下か。
「とにかく進んでいこう。後一時間くらいすれば、頭に着くはず。アスタロトは、また警戒をお願い」
『はぁい』
また星外生命体アルファと戦闘になったとしても、あの強さなら大したタイムロスにならない。尻尾からここまで一時間。もう半分くらいだから、また一時間くらいすれば着く。それまでミズチの妨害がなければになるけど。
お願いだから、回復してあげているという事で攻撃頻度が減りますように。




