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吸血少女ののんびり気ままなゲームライフ  作者: 月輪林檎
吸血少女は救いの手を差し伸べる

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カタパルトから射出

 血液兵達のマッピングが終わり回収出来るものは全部回収する事が出来た。マップを見る感じ、何か情報に繋がりそうな部屋はない。視界を共有しても、それは変わらなかった。実験室と居住空間があったくらいだ。


「あれ? そういえばミズチの鱗を手に入れたみたいな資料あったよね?」

「あったわねぇ」

「あったね」

「でも、鱗は回収出来てない……よね?」

「うん。整理したのは、さっき並べた通り。実験器具と日記と資料と駄目な本とカードキーくらいかな。後は細かいお金とか鉱石とか」

「鉱石の中にもなかった。鱗はどこにいったのかな?」

「日記にも鱗を捨てたっていう記述は無かったわねぇ。こうなると最後の一人が捨てて死んだって感じかしらぁ?」

「う~ん……まぁ、その可能性もあるかな」


 血の中を見てみても、それらしきものはどこにもない。つまり回収出来ていないという事だ。アスタロトの言う通り、最後の一人になった際にどこかに捨てたというのはあり得る。それを記さなかったというだけだから。

 でも、そうじゃないとしたら。考えられるのは、この遺跡に隠し部屋があるという事。でも、隠し部屋で言えば、血液兵が見つけられない理由にもなる。


「【召喚・ソイル】【召喚・ライ】【召喚・エアリー】」


 念のため、マッピングした地図が正しいかどうかを皆に確認する事にした。ソイルは地下の空間を、ライは電気の流れを、エアリーは空気の流れを調べる事でその辺りの把握出来る。


「どう?」

『ここら辺……』

『……』こくり

『風の流れはないので、完全に密閉されている空間になると思います』


 三人が隠し部屋を見つけてくれた。私達が行かないと意味がないと思うので、ミズチに会いに行く前に隠し部屋を調べに向かう。道中の機械兵は、エアリーが倒してくれている。


「この壁かぁ……ライ、開けられる?」

『……』こくり


 ライが軽く電気を通して、隠し扉を開けてくれる。私が無理矢理開けるよりもこの方がスマートで良い。中には、白銀の大きな鱗が納められていた。それは私が見たミズチの身体と一致する。そして、その大きさは私の身長以上に大きかった。それでも割れた跡が残っているので、元々の大きさはこれよりも遙かに大きいのだと考えられる。そもそも全長五キロ以上だからね。

 回収すると白銀天河の鱗という素材として入手できた。説明は白銀天河のミズチの鱗というだけ。詳しい事は書かれていなかった。自分達で調べろという事かな。これはアカリに渡して色々と調べて貰う事にする。素材にする事が出来るのならしてくれても良いしね。


「メタトロンは何か感じた?」

「ううん。特には」

「私も同じかな。神様っぽい感じはない。綺麗ではあったし、異質な存在っぽい感じもあるけど、神様ではないね。皆と同じ感じではないし。取り敢えず、皆のところに戻ろうか。この鱗を預けたいし。エアリー達は先に戻すね」


 ソイル、ライ、エアリーをギルドエリアに送還し、私達はカタパルトへと向かう。


「せっかくだから打ち上がってみようか。この感じなら私でも操作はできるだろうから」

「それなら私達はレメゲトンに入っているわねぇ」

「うん。そうして」


 二人がレメゲトンに入ったのを確認してから、私はカタパルトの発射口に入って電気を流す。そうして遠隔で機械を操作する。ライがやっていたように、軽く通電させるイメージでやったら、意外と上手く出来た。力加減が難しいから今後もライに任せよう。

 筒が降りてきて、私の周りに結界が張られる。筒が完全に私を覆うと、身体が勝手に浮き上がる。

 そして、筒の中を電気が満たしていった。この筒は電磁誘導で飛ばすもの。つまりレールガンだ。ただあの資料を見た感じ、まだまだ未完成である事が分かる。未完成な理由は電力不足。それでも空までは打ち上げる事が出来る。

 結界に包まれた私は、電磁誘導に従ってどんどんと加速していく。結界が金属的な性質を持たせられているという点では技術力の高さが窺える。尚、私には一切衝撃などはない。結界が防いでくれているらしい。重力を振り切るから、相当な圧力があっても良いと思うのだけど、それもない。これが人を打ち上げる事が理論上可能とした理由なのだと分かる。

 まぁ、当時でも問題となっていたのは、打ち上がった後の事だったみたいだし、ここまでは良いのかな。そうして打ち上がった先は、ミズチが回遊する成層圏だった。結界が割れて、私は放り出される。

 ここでミズチが来てくれたら嬉しかったけど、そう都合良くはいかなかった。そもそも周回ルートではあるけど、周回する時間ではないから仕方ない。

 成層圏から地上に向かって落ちながら、少し考える。


「う~ん……普通に自分で加速してもそう変わらないかな」

『主人はおかしいものねぇ』

『普段空を飛んでいる私達でも君に追いつくのは難しいだろうね』


 私の加速力は天使をも凌駕しているらしい。まぁそんなものだろうとは思っていた。だから、特に気にする事はなかった。アスタロトの発言以外は。後でお仕置きでもしておこうかな。


「取り敢えず、開拓領域に戻ろう。このまま飛ぶからレメゲトンから出ないようにね」

『はぁい』

『了解』


 雲の下くらいまで落下したところで【熾天使翼】を出して、開拓領域に向かって飛んで行く。全力で真っ直ぐ飛べば、大体十分も掛からずに着く。開拓領域が見えたら減速して地上に向かって落下する。

 地上すれすれで浮遊して着地すれば落下によるダメージも何もない。まぁ、今回は別の理由でダメージはなかった。地面に落ちる一メートルくらい前にガイアさんがキャッチしたからだ。


「おかえりなさい」

「ただいまです。今日はこっちに来てたんですね」

「ええ。何か良い事でもあったのかしら?」

「良い事と言えば良い事ですね。ミズチとリリィルーナに関する情報が少し集まりました。これからアカリに色々と調べて貰おうと思って帰ってきたんです」

「そう。アカリなら向こうにいるわ」


 そう言って、ガイアさんは私を抱っこしたままアカリがいる方向に歩き始めた。アスタロトとメタトロンは既にレメゲトンから出ている。メタトロンはギルドエリアの方に戻って、アスタロトは私達に付いてきていた。

 久しぶりにガイアさんに抱っこされている事もあって、骨抜き状態で甘えてしまう。アカリの元に着くまでに正気を取り戻せば良いかな。

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