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吸血少女ののんびり気ままなゲームライフ  作者: 月輪林檎
新たなる地へと向かう吸血少女

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遺跡探し

 木材を集め終えたところで、フェンリル、ソイル、エアリーと一緒に森の中を駆けていく。


「ソイル、何か感じたら言ってね」

『うん……』


 前にソイルを乗せて、後ろにエアリーを乗せている。二人ともしっかりと影で私に密着させているので、二人が落ちる事はない。エアリーも自分で私にしがみついているので安心だ。フェンリルの毛並みを楽しみつつ、遺跡がある場所を探していく。フェンリルは森の中でも素早く動いているので、周囲の景色がかなりの速度で流れていく。それでもソイルの感知はしっかりと出来ているので問題ない。


「フェンリルは何か感じる?」

『臭いに変化はない』

「遺跡の臭いって何かあるのかな?」

『知らん。だが、前に走った時もだが、特に違和感はない』

「そっか。それじゃあ、ソイルが頼りだね」

『うん……』


 エアリーの方が周囲の安全確保をしてくれている。つまりはモンスター退治だ。それは口の中に広がる血の味で分かる。その間に血液兵達の調査を確認する。


「海も広いなぁ」

『海の血液兵達ですか?』

「うん。水深も遠浅じゃないから、海水浴は気を付けないとね。沖近くに来たら急に水深深くなるし、視界はそこまで良くないかな。足元もエイがいるから危険だし。麻痺系の針があるみたいだから。駆除中。港は少し伸ばせば問題なく出来ると思う。水深はどんどん深くなって……今は十メートルくらいかな。結構起伏があるから、調べるのも一苦労だよ。貝とかウニとか昆布は採れるかな。今度海鮮鍋にでもしようか。まぁ、これで分かり易く遺跡があれば嬉しいんだけど、さっきも言った起伏と変に複雑な形をした海底で探索が大変みたい。ただウニは採れる」


 血液兵は見つけた資源を取るようにしているので、どんどんと血液内にウニが入り込んでいる。その内ウニを射出して戦えるのではと思える程に。


『好きなのですか?』

「いや、そこまで。美味しいウニって食べた事ないんだよね。こっちのウニは美味しいかな。でも、貝は好きかも。何か美味しい。好きなものって明確に理由付け出来ない時あるけど、貝はそれかな。あっ、美味しい。好きって感じ。エアリー達は好き?」

『食べた事がありません』

『私も……』

「そういえば、私の世界でもウニはなかったか」


 ギルドエリアの魚介類の中にウニはいない。特に欲しいと思った事もないから特に気にしていなかった。真鯛とか釣れるのに。


「初ウニは美味しいと良いね。こういうのって初めて食べるのが美味しいか不味いかがその後に影響するから」

『ウニへの恨みでもあるのか?』

「いや、私はそれで二の足を踏むようになったから。この子達には美味しいものは美味しいって思って欲しいじゃん?」

『母親か』

「姉ですが」


 皆に姉と呼ばれているので、私としては母よりも姉という立場にいると考えている。そうなると、イノやグラキから見れば叔母さん……いや、考えないでおこう。

 そんな風に雑談をしながら探索を続けていると、ソイルが自分の前に回っている私の腕を引っ張る。


「見つけた?」

『多分……』

「フェンリル」

『ああ』


 ソイルに細かく指示して貰って、フェンリルに地下空間の入口まで移動して貰う。


「ここ?」

『うん……』


 そこには、半分に割れた巨大な樹があった。まるで落雷に遭って焼けたような感じの焦げた木だ。血液兵で見た時も見た気がするけど、特に怪しい部分はなかった。


「エアリー」

『隙間は感じません』

「う~ん……丁寧に調べないと分からない系か」


 割れた木の中に入って、その中に溜まっている土を取り除く。すると、ハッチのようなものを発見した。これはさすがに血液兵の調査では見つけられない。


「ハッチがあった。これが遺跡かも。フェンリルは入れなさそうだから、先に帰っておいて」

『分かった。気を付けろ』

「うん。ありがとう」


 ハッチを開いて、エアリー、ソイルと一緒に中に入る。中はイベントで入ったようなナノボット製の機械通路のようだった。実際にナノボットではないみたいだけど。


「エアリー」

『大分奥まで続いています。それだけでなく。かなり複雑です。大きな部屋などもあります。それと機械兵が多くいるようです』

「なるほどね。本当に遺跡っぽいね」


 マップを確認するとワールドマップとは別のマップになっている事が分かった。ワールドマップに遺跡があった事をメモしてから、血液兵を出す。


「私達とは逆方向を調べて。何かあれば血の中に入れて」


 指示を出して、血液兵を出発させる。私はエアリー達を抱えて遺跡を走り始める。私が抱えて走った方が速く移動出来るからだ。基本的にエアリーが機械兵を倒してくれているので特に問題なく移動する事が出来る。ソイルは、周辺の地形で変化が起きた時に察知してもらう。基本的にはないと思うけどね。


『お姉ちゃん……向こう……部屋……』

「曲がったところ?」

『うん……』

『行き止まりに部屋があります。中に敵はいません』

「了解」


 見つけた部屋の中に入っていく。この部屋は居住用の部屋のようだ。ベッドが並んでいて、その上に白骨化した人がいる。アンデットとして動くような気配はない。ただの白骨死体だ。驚きポイントなのかもしれないけど、特に驚かなかった。


「手を組んでる。安らかに眠ったって事なのかな。死体が並んでるっているのは違和感だけど」

『死体安置所だったのでしょうか?』

「ベッドの数は十二。その全部に白骨死体。うん。これだけあれば死体安置所かも。安置して白骨化させる意味は分からないけど」

『お姉ちゃん……奥のベッド……』

「何かある?」


 言われて奥のベッドに向かうと、白骨死体の横にキーカードらしきものが置いてあった。これがホラーゲームだったら取った瞬間に骨が動き出すとか敵が現れるとかがありそう。


「エアリー、警戒しておいて」

『はい』


 動いたり敵が出たら、エアリーが倒してくれるので、安心してキーカードを取る事が出来る。キーカードにはレベル1と書かれていた。


「ロックにレベルがあるのかな。そもそもこの施設は生きてるかが問題だけど。機械兵が生きてるからまだ生きてる感じかな。エアリー、変化は?」

『機械兵の一部がこちらに来ようとしていましたが、既に排除しました』

「ありがとう。取り敢えず問題はなしか。動力がある場所とかは分かる?」

『物が多い場所なら分かります』

『金属が……多い場所なら……』

「そのどっちもだね。この階にあるかな?」


 二人が探知に集中している間に、私は血液兵達の視界を見て他に気になる場所があるか確認する。通路を進んでいるだけで特に気になる場所はない。


『一つ下です』

『同じ』

「下か……」


 時間を確認すると、そろそろ夕食なので探索するには時間が足りない。


「仕方ない。次回にしよう。今日は帰ろうか」

『はい』

『うん……』


 明日は学校だから、次に探索出来るのは来週になるかな。まぁ、平日にそこまで時間を割けるわけもないから仕方ないと思って諦めよう。平日の間は、開拓をどんどんと進めていく事にしよう。

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