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吸血少女ののんびり気ままなゲームライフ  作者: 月輪林檎
新たなる地へと向かう吸血少女

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神殺しの修理

 夕食前にログアウトして、諸々済ませてからログインする。血液兵は私がログアウトすれば消えるので、調査は進んでいない。シキドウジの事もあるので、他の皆にも外出禁止令を出している。

 だから、やれる事は開拓領域内での発展作業だ。その結果、港の下地が出来ていたり、私達の家も外装が完成していた。今は、他の家の基礎工事が行われている。交代交代で休んでいるようで、道端で寝ているドワーフや職人の姿が見られた。


「しっかり屋根のあるところで休んでくださいよ。もしくは、私の世界に戻るか」

「何言ってんだ。こんなやり甲斐のある仕事をしてんだ。移動時間と資材が勿体ねぇ」

「はぁ……仕事一筋なのは良い事ですが、体が資本ですよ?」

「はっはっはっは! そこら辺は心配要らねぇ。明らかに体調を崩している奴は追い返すからな!」


 そう言ってモートソグニルさんは港予定地の方に歩いて行った。追い返す云々になる前にしっかりと休めと言っているのだけど、あそこの職人達は絶対に言う事を聞かない。まぁ、それで体調を崩しているような職人とかは見た事がないから、身体が頑丈なのだろうと納得しよう。

 家と港とは別に変わった事もある。それは、こっちでも食事が取れるようにと用意された石窯と簡易キッチンだった。そこでは、ガレスさんとケイさんが食事を作っていた。護衛兼料理人として来ているみたいだ。


「ハク様」


 モートソグニルさんと入れ替るようにしてきたのは、ランスロットさんだった。どうやら今晩の護衛役はこの三人らしい。やっぱり英雄の人達がいると安心感が違う。


「何か問題がありましたか?」


 私がいない間もこの星では時間が経過している。だから、管理出来ていない時にも問題が発生している可能性が高くなる。そういう時は、基本的に英雄の人達が指示を出すようになっている。戦場での統率の経験があるから、指示出しが的確だと判断した。


「問題という程ではありませんが、近くにいる生物の種類が夜になり変わりました。どうやら夜行性のものが目を覚ましたのかと思われます」


 どうやらこっちの星のエリアでは昼夜で出て来るモンスターが変わってくるらしい。多分、動物も同じだと思う。だから、生物という風に表現したのだと思うし。


「猪や熊ではないって事ですね。どんなのがいるか分かりますか?」

「ハク様の指示通り、この場から離れていませんのでフクロウのような鳥がいます。それ以外には目視での確認は出来ていません。夜間調査の許可を頂けるのであれば、私が一回りしてきますが」


 ランスロットさんから提案されて、私は少し悩む。夜にログインしてきた理由は、ヘファイストスさんに神殺しの修理がどのくらいで終わるのか確認するためだ。ニュクスさんが帰ってこなかったので、その辺りを確認出来ずログアウトしたので、ちゃんと確認しておこうと思ってのログインだった。

 当然、このエリアにいないと血液兵達を調査に向かわせる事は出来ない。でも、ランスロットさんの言う通り、夜間調査はしておきたい。だけど、シキドウジの件があり、ランスロットさんでも危ないかもしれない。


「サタン、フェンリル」


 私が呼ぶと、即座にサタンとフェンリルがやって来る。


「フェンリル、ランスロットさんとサタンを乗せて夜間調査をお願い。サタンは危険な戦闘になるようだったら、ランスロットさんの援護をお願い。一応、最大限警戒をお願いします。速度と属性攻撃があれば、ランスロットさんの死角もなくなるでしょうから」

「感謝致します」

『調査はどの範囲だ?』


 フェンリルが私に確認する。私が指示する範囲で留めるためかな。いや、単純にどこまで行けば良いのか分からないからか。


「半径十キロ以内の森の中。ただ危険な奴がいるかもしれないから、最大限の警戒ね。危ないと判断したら全速力でこっちに逃げる事。サタンは、ちゃんと二人を守ってね」

「分かっている。だが、ここまでしなくてはならない程の相手か?」

「私が一撃で死んだ。そう言えば分かるかな?」


 私がそう言うと、サタンだけでなくランスロットさん達からも表情が抜けた。


「そうか……」

「言っておくけど、無闇矢鱈と戦闘しちゃ駄目だよ。命最優先。一つの油断が私みたいに死に直結するんだから」

「ああ。任せろ」

「では、行って参ります」

「はい。いってらっしゃい」


 ランスロットさん達に調査を頼んだ私は、旗近くの転移ポータルからギルドエリアに転移してヘファイストスさんの工房に向かった。すると、そこにはヘファイストスさん、ニュクスさん、アスタロト、メタトロン、ティターニアさん、酒呑童子、リリス、フレイヤさん、アフロディーテさん、ハトホルさんがいた。


「わぁ……いっぱい」

「ん? 貴様か。丁度良い。神殺しがこうなった経緯を教えてくれ」


 ヘファイストスさんは私を見つけると、すぐにそう聞いてきた。大体はニュクスさんに聞いただろうけど、実際にその現場にいたのは私だけなので、その辺りの情報が欲しいのかな。私は邪神との戦いをしっかりとヘファイストスさんに伝えていく。


「そうか……」

「ナイアルラトホテップの名前に心当たりはありますか?」

「ない。邪神は多い。そもそも全ての邪神を知っているわけでもなければ、俺達の埒外の存在である可能性もある。分かる神の方が少ないだろう。問題は、神への特効があるこの神殺しが、ここまで消耗させられるという事だ。相当な力の持ち主だ。今後、そういった邪神を相手にするのだとすれば、今の神殺しでは保たない」

「えっ……じゃあ……」

「ああ。ここから進化させる必要がある。そのための人選がここにいる方々だ」


 この場にニュクスさんがいるからか、ヘファイストスさんは敬ったような言い方をしていた。まぁ、神殺しを進化させるという事には賛成なのだけど、この人選の理由がよく分からない。


「奴が神器として仕上げたが、これは完全に貴様専用という状態ではない。人の身でありながら、ここまでに仕上げた事自体は評価出来るが、まだこの先がある。ここにいる面々は、基本的に貴様の力の象徴だ。闇霧の始祖にも話を聞いて、吸血鬼に関しては理解している。それ以外の力の持ち主と考えろ」


 どうやらヘファイストスさんは態々闇霧の始祖にまで会いに行ったらしい。ちゃんと受け答えしたのか心配になったけど、吸血鬼に関する情報はしっかりと伝えたみたいなので大丈夫だったと考えよう。あの引きこもりは、こういう時くらい出て来れば良いのに、私の身体がどんどん変化するから、その研究で忙しいみたいだ。


「夜がニュクスさん。悪魔がアスタロト。天使がメタトロン。精霊がティターニアさん。鬼が酒呑童子。魅了がリリス、フレイヤさん、アフロディーテさん、ハトホルさんって感じですか?」

「その通りだ。竜の力もあるが、スノウに訊いても要領を得なくてな」

「あの子がちゃんと伝えられたら凄いですが……」

「取り敢えず、竜人達から話は聞いた。これらを貴様の血とここにいる者達の力に加えて、スノウの鱗を何枚か。これで神殺しを次の段階に引き上げる。諸々の準備等もあり時間が掛かるが問題ないか?」

「はい。お願いします。私の血は、このくらいあれば足りますか?」


 私は【血中生産】で作った一升瓶に血液を封入していき、それを三十本用意して置いていく。


「十分だ。出来上がり次第連絡しよう」

「分かりました。よろしくお願いします」


 私自身が出来るのは血の提供だけ。それ以外は、他の皆の力を使いながらヘファイストスさんが仕上げてくれる。それがどういうものなのか分からないけど、私は邪魔にならないように工房を後にすることにした。

 ただでさえ、イベントで封印される程の強さを持つ神殺し。その次の段階となると、一体どこまでの強さになるのか。しかも、更に私専用にブラッシュアップされるというのはちょっと楽しみだ。

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