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吸血少女ののんびり気ままなゲームライフ  作者: 月輪林檎
新たなる地へと向かう吸血少女

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十の存在の理不尽さ

 戦闘中に【吸血神姫】と【鬼神】を発動してステータスを上昇させる。

 そうしてシキドウジの攻撃を弾きながら、着実にダメージを与えていく。虚無で相手の軸足の下にある土を消したりしていたけど、あまり大きな隙には繋がらない。即座に剣か体捌きで対応されてしまう。

 それでも双剣を使っている私の方が攻撃回数は多くなる。それでも相手の攻撃速度が速いので、対応されてしまう事が多い。なので、どちらかというとシキドウジの攻撃を防いでカウンターで攻撃を与える方がやりやすい。危険なのは、相手の攻撃速度が速いので、少しでも防御をミスしたらダメージを受ける事。

 私の膨大なHPとHP継続回復からしたら、かすり傷くらいはノーダメージも同じなのだけど、ダメージを受けないに越した事はない。そもそも十の存在に数えられるような特殊なモンスター相手にダメージを食らう事自体が危険だから。

 私達は場所を移動しながら戦闘を続ける。【熾天使翼】を広げて上空に向かおうとしたら、シキドウジは空を駆けて先回りしてくるので、空に上がって有利を勝ち取る事が出来ない。なので、【反転熱線】をチャージしながら攻防を続けている。

 【反転熱線】を放つと隙が生まれるので、本当に絶対に当てられるというタイミングで使う必要がある。そうして一時間くらい続いた戦闘の末、シキドウジのHPを半分まで削る事が出来た。これって普通ならレイドボスとかそういう類いのモンスターなのではと思う程硬い。

 半分まで削った瞬間、シキドウジの態勢が大きく崩れて鎧に罅が入った。それを見逃さなかった私は、【雷化】で距離を取って【反転熱線】を放つ。本当なら至近距離で放ちたいけど、相手の攻撃範囲にいれば斬られる可能性が高くなる。【夜霧の執行者】が無効化される可能性も考えて、こうして適切な距離を持ってからの攻撃になった。

 諸々のスキルで強化された【反転熱線】は即座にシキドウジを飲み込み、奥にある草原の一部をごっそりと削り取っていく。

 その直後背後から嫌な予感がして、背後に向かって逆手に持った白百合と黒百合で突く。同時に胸から剣が生えてきた。HPが一気に消える。最後に背後を見たら、鎧がなくなり、内側の干からびた人が出て来ていた。見た感じミイラみたいな感じだ。眼球のない目には赤い炎が灯っている。これがシキドウジの本体みたいだ。私の攻撃も届いていたようで、HPは更に一割削れて、残り四割になっている。さっきまでの防御力はやっぱり鎧由来のものだったみたい。


「……一撃とか……ないわ……」


 久しぶりの死。まさかのシキドウジの攻撃は一撃も貰ってはいけないらしい。タンクがしっかりと防御するか、私みたいにパリィ重視で相手をして遠距離でチクチクして貰うかになるのかな。ただ攻撃を弾く事は出来ても、一時行動不能になるパリィに関しては、タイミングがシビア過ぎて一発も成功しなかった。

 死亡した私は旗の根元にリスポーンした。目の前にはアカリが何とも言えない表情で立っていた。


「ハクちゃんが負けるって、私、探索に出てて大丈夫だったのかな……」

「いや、あれは別枠。十の存在と戦ってたから」

「十の存在と? もしかして、彷徨幽鬼のシキドウジってやつ?」

「あっ、知ってるの?」

「うん」


 来たばかりのアカリが知っているという事は既に掲示板に載っているという事が予想出来る。


「他のプレイヤーが遭遇したみたいでね。戦闘中に割り込んできたりするみたいだよ。強さが異常で、タンクでも盾や剣以外で受けたら一撃でHPが飛ぶみたい」

「ああ、うん。その通りだね。私も【夜霧の執行者】が発動せずに胸に刺されて一撃」

「だから、何も感じ取れなかったのね」

「ガイアさん」


 背後からやって来たガイアさんが私の頭を撫でてくる。最後の一撃を食らうまで、私は全くダメージを受けていない。この点からガイアさん達も私が危ないという感覚を得られなかったらしい。


「つまり、どんなにHPがあっても一撃で倒されちゃうし、攻撃無効の効果を無効にしてくるって事?」

「その通り。しかもHPを半分削ると、鎧が砕ける。多分移動速度とかが上昇するんじゃないかな。【反転熱線】で一気に削ろうと思わずに、剣だけで戦った方が勝てたかも」

「祝福を沢山重ねているハクちゃんでそんな状態なら、複数人で戦う事が前提になりそうだね」

「鎧さえ剥げば、紙装甲だから、一番の難関は最初かもね。取り敢えず、デスペナルティが抜けるまでは森の外周調査はお預けかな。その代わり、血液兵達を資源回収とマッピングをさせようかな」

「それが良いかもね。まだ近くにいるかもしれないし。現状、外に出てる人はいないから安心して良いよ」

「そっか。じゃあ、ちょっとゆっくりしよっと」


 私がそう言うと、ガイアさんが石の椅子を生み出して膝を軽く叩く。ここに座れという事みたいだ。なので、ガイアさんの膝に座って、血液兵を量産していく。羽を生やした飛行タイプの血液兵も増やして、地上と空のマッピングを進めていく。一応、ラートリーさんの祝福で見える範囲のマッピングは今日中に終わりそう。

 後は、皆が血液に入れてくれるアイテムを次々に吐き出すという作業をする。吐き出されるアイテムを、機械人形達が設置された臨時倉庫に仕舞っている。そこを確認したアカリが、錆び付いた素材を見て首を傾げていた。


「ハクちゃ~ん。これ何?」

「南に行くとある草原の戦場跡で発見した錆び付いた金属達。一応沢山集めたはずなんだけど、血液兵がまだ拾ってるみたい。アカリの方で修復出来る?」

「う~ん……ちょっと難しそう。何か一つのものだったら分かり易いけど、色々なものになってるし、風化して形が変わっているものもあるから、完璧な修復は無理」

「オッケー。じゃあ、何の部品か分かったら教えて」

「うん。私も気になるから、開拓の片手間で少しずつやっていくね」

「うん。よろしく」


 そんな話をしていたら、何かスキルを獲得した。


「ん? 吸血はしてないはず……」


 出て来たウィンドウを見てみる。


『条件を満たしました。【感覚共有】を獲得しました。SPを20消費します』


 強制収得と似たようなものかな。SPが消費されるけど、まぁ問題はない。条件は一定段階まで成長した兵士を生成する事らしい。私のスキルで成長が引き継ぎになった事で、そういう条件が満たしやすくなったらしい。

 考え方で言えば、忠誠を誓った兵が自分を使って欲しいという風に申しつけてきたみたいな感じなのかな。


────────────────────


【感覚共有】:自らが生み出した眷属及び兵士の五感を共有する事が出来る。控えでも効果を発揮する。


────────────────────


 自分で生み出した存在と五感を共有出来るという良スキルだ。普段使いはしないけど、こういう時に役に立つ。


「これで幅広い探索が可能になるかな。私の視界とかが邪魔になるから、ちょっと使いにくい時もありそうだけど」

「私が抱っこしてれば問題ないわね」

「はい。しばらく目を瞑ってますので、お願いします」


 ガイアさんが優しく抱っこしてくれて、幸せな気持ちになりつつも、血液から資材などを取り出して、他の血液兵達と視覚を共有する。この共有の良いところは、血液兵達には私の視界が入らないというところっぽい。私は自分の視覚に重なるから。結局目は閉じないと景色が重なって気持ち悪い事になる。

 監視カメラのチャンネルを切り替えるような感覚で血液兵達の視界を見ていく事が出来る。ちょっと楽しい。全体的に問題がない事を確認しつつ、新しい資源を見つけたらマップにメモをするという感じで進めていると、急に頬を突っつかれた。

 なので、突っついてきたやつの顔面を鷲掴みにする。


「ふぐっ!? な、なんでバレたのかしらぁ……」

「私って視界を複数持てるから、やろうと思えば、目を閉じたまま周囲の確認も出来るんだよ。何かあったの?」


 顔面を鷲掴みにされているアスタロトは首を横に振る。


「ちょっと暇だったから来ただけよぉ」

「そっか。そういえば、アスタロトを喚ぶの忘れてたね。まぁ、やる事はないから、ゆっくりしてて」

「はぁい」


 人口は増えても、家はないのでまだまだ開拓は始まったばかりだ。開拓領域の木材の回収も終わっているので、ラウネ達と一緒に木材回収にもいかないといけないかな。

 新要素ばかりでやる事が多いというのは、本当に楽しいな。死んだけど。

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― 新着の感想 ―
いつも楽しく読んでます! 一撃アウトはきついね〜 もしもだけど神様や悪魔のみんなでさえ、もし出会ったら危険なのかな??
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