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吸血少女ののんびり気ままなゲームライフ  作者: 月輪林檎
新たなる地へと向かう吸血少女

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新たなる地

 二週間後。ダウンロードコンテンツの配信日がやって来た。事前購入と事前出来る分のダウンロードは済ませて、寝ている間に本編のダウンロードをしておいた。なので、朝ご飯を食べて、お母さんの家事を軽く手伝ったら、すぐにログイン出来る。

 軽く昼食を済ませてからお昼前にログインする。そして、精霊の集会場で軽くアップデート内容などを確認する。新しい場所に向かうために何かしらの条件が追加されている可能性もあるから。膝にイノが来たり、背中にグラキが乗ってきたりするので、軽く構ってあげながら確認したけど、普通にエリア移動で転移するためのエリアに向かって転移する事だけらしい。

 原生林の方が安全に移動出来そうだから、そっちから向かう事にした。

 【熾天使翼】を広げて、一気に加速していけば、すぐに転移出来るので次の転移用エリアに飛んだ。すると、少し草原が続いた先に海が広がっていた。


「あっ……新大陸だから、海を越えないといけないのか……」


 他にもプレイヤーがいるけど、ほとんどは天使か悪魔の羽を生やしている。海を船で渡ろうとしているのは三割くらいかな。死の国が危険過ぎるから、こっちの方が人が多いとかはあるかもしれない。そのための準備をしっかりとしている辺り、私よりもしっかりとしたプレイヤーが多い。

 いや、もしかしたら、掲示板とかに書いてあるのかな。昨日の夜中からダウンロードコンテンツは配信していたし、ダウンロードの時間を確認して仮眠を取って終わったらすぐにログインしたプレイヤーとかもいそうだし。

 取り敢えず、誰かを待つ必要もないので、少し高めの場所まで上がってから、一気に飛んで行った。衝撃波を放つ事になるから、なるべく迷惑にならないようにしないとね。

 二分くらい飛んで別の大陸が見えてきた。その大陸には、自然もあるけど何よりもメカメカしい場所という感じだ。イベントで行ったナノボットで出来た基地のような感じだ。


「あの中央の大きな装置かな?」


 その基地のような場所の中央には、半径五十メートルくらいある円状のポータルが鎮座していた。その内側には、緑色のワームホール的な転移ポータルが出来上がっている。あそこから転移すれば、別大陸みたいだ。地上では沢山のプレイヤー達が次々に飛び込んでいる。空から飛び込むプレイヤーもいるので、普通に通って大丈夫そう。

 フレ姉やアク姉達は、私が開拓する事にした場所を手伝うと言っていた。今日はログイン出来なさそうだからみたい。ギルド単位での開拓をするつもりなので、アカリも同意してくれた。

 転移場所はどういう場所なのだろうかと楽しみにしながら、ポータルの中に入る。すると、いつもの転移エフェクトじゃなくて、何か光の筒のような場所を移動するような転移が始まった。星から星への移動なので、こういう演出にしたみたい。

 そんな転移の最中、光の筒に何か電流のようなものが走った。


「……嫌な予感」


 最近戦闘とかあまりしないし、危険な状況にも遭遇しないから本当に久しぶりに嫌な予感がした。こういう時は十中八九やばい事が起きる。そして、それが起こる理由には心当たりしかない。どうせ、どれかしらのスキルが悪さをしている。通常のプレイヤーよりも異質で沢山のスキルを持つが故のイベント。こういう事にも、もう大分慣れてきた。

 筒が割れて、暗闇に放り出される。ここからどうなるのかと思っていたら、嫌な予感と第六感を同時に感じ取った。神殺しを出して、その方向に向かって振う。すると、黒い靄のようなものを弾いた。空間が真っ黒だから、その存在を上手く認識出来ない。暗いだけなら、私には関係はずだから、空間が黒くて相手も黒いから視認しづらいっていうので間違ってはいないはず。

 だから、ひたすらに嫌な予感と第六感に任せて神殺しを振い、攻撃を弾いていく。本当なら手数が多くなる白百合と黒百合の方が弾きやすいのだけど、私の勘が神殺しを使えと叫んでいる。

 ウシャスさんの祝福で身体から光を放つ。これで闇属性と暗黒属性が及ぼす効果を無効化出来る。だけど、光が黒に吸い込まれるだけで、特に何も変わらない。攻撃は続いている。私が光っているだけで、周囲の黒は変わらないから黒い靄は視認しづらいままだ。


「属性攻撃じゃない……?」


 属性による攻撃じゃないという事は、私には無力化出来ない類いの攻撃という事。そして、神殺しでダメージを与えられているのかも分からない。攻勢に出ようにも【万能探知】にモンスターの反応がない。

 そこから雷霆や炎の剣など、様々な攻撃を全方向に向かって行うけど、攻撃が命中しているという手応えすらなかった。現状触れられるのは神殺しだけと考えた方が良さそうだ。そこから推測出来る事は、相手が神であるという事だ。

 皆が知っている神様なら、皆が出て来て止めてくれると思う。でも、皆が干渉出来ないような場所に閉じ込めてくるような知らない神だったら。そこから考えて出て来るのは、邪神という言葉。邪神の依り代に降りようとしていた神がここにいるのではないかという事だ。ちょっと考えの飛躍があるかもしれないけど、状況から考えられて私が納得出来るのは、その結論だった。


「この……邪魔っ!!」


 私が扱える全属性を神殺しに乗せて、思いっきり振り下ろす。放たれた一撃はあらゆる属性を乗せた血液の刃となって解き放たれて、何かに当たったかと思ったら空間に大きな罅が入り全体に広がっていった。

 空間が完全に割れると、私はどこかに放り出された。元いた空間を見ると、そこには常に変化し続ける身体を持った何かがいた。蠢いている触手のようなものが、手を振っているように見えた私は、何故か手を振り返していた。割れた空間はすぐに閉じていった。


「何だったんだろう……てか、ここどこ……?」


 周囲を見回すと、大きな惑星が見えた。どうやら私が出て来た場所は宇宙空間らしい。宇宙空間で問題なく活動出来る身体を持っているから、一瞬気付くのが遅れた。いつもふわふわと浮いたりしているから、無重力環境にも慣れちゃったし。


「せめて地上に出してよ……」


 変なイベントに巻き込まれた結果宇宙空間に出るって、普通のプレイヤーだったら死んでいてもおかしくないと思う。まぁ、死なないようなプレイヤーをイベントの対象にしているのだろうけど。

 ふわふわと漂っていると、遠く離れた場所に何かが見えた。多分衛星軌道上かな。そこにいたのは、大きな身体を持った少女だった。私の距離でもある程度視認出来るって事は何十メートルもあると思う。

 視界をズームさせて見ると、肌も髪も服も真っ白な少女だった。膝を抱えながら目を閉じて漂っている少女は、薄らと目を開くと、私を指差した。反射的に手を伸ばすと、その指が惑星方向に振られた。同時に私の身体に力が付与された。それに抗うように私も力を付与したのだけど、それを何かに打ち消されて、私は惑星へと落下した。

 私が落下していくのを見た少女は再び眠りに就いたように見えた。私は、何故かそんな少女を放っておけないという気持ちになった。

 そのまま落下し続ける。大気圏突入の熱が発生すると同時に私の後ろにニュクスさんが現れて私を抱きしめた。イベントの時と同じだ。

 こうしてダウンロードコンテンツの内容が始まる。始まり方は他のプレイヤーと大分違うけど。

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― 新着の感想 ―
外見だけ見るとショゴスに近いような
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