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吸血少女ののんびり気ままなゲームライフ  作者: 月輪林檎
新たなる地へと向かう吸血少女

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音楽フェス

 翌日。バイトもないので早めにログインして、ヘスティアさんと一緒に準備を進めていく。まぁ、昨日の時点でほぼ全て終わっているから、後は全体的な確認くらいなのだけど。


「ハクさんは最後の方で神楽舞をして、切り替え時にカーリーさん達の衣装に着替えて、そのまま踊るという形だね。ハクちゃんの踊りがそのまま切り替えの合図になっているから」

「はい」


 そう。私も参加する。演奏側ではなく、その演奏を使ったダンサーで。神楽舞はアマテラスさん達の演奏で行う。若干何が起こるか分からないから怖いけど、まぁ楽しいからいいかという感じだ。せっかくなので、神楽舞はアマテラスさんの衣装。切り替え時の派手なダンスはカーリーさん達の衣装で行う事になっている。


「という訳で、神泉で身体を清めてきてね」

「あっ、本当に清めるんですね……」

「せっかくだからね」


 昨日の神楽は、突発的なものだったけど、今回は予定済みのものなので、ここで身体を清めて神聖さを向上させるらしい。神様に奉納する舞だから、身体を清めた方が良いという事もあるのかな。取り敢えず、言われた通りに神聖属性が含まれている温泉に浸かる。

 すると、次々に神霊と精霊の皆が入って来た。イノとグラキが足の上に乗ってくるから、完全に動けなくなる。横からはライとレインがくっついてくる。こういうとき意外とライはくっついてくる。

 他の皆も私の傍にいる。メアが泳ぎ始めるので、しっかりと注意しておく。イノが真似しそうになったから。イノとグラキが甘えてくるから、本当に可愛い。しばらくの間、そのまま温泉に浸かっているとアク姉も入って来た。


「アク姉どうしたの?」

「ハクちゃんが温泉に入ってるって聞いたから、暇になってないかなって思って。でも、皆がいるならそうでもなかったかな」

「まぁね」


 私が大丈夫そうだと分かってもアク姉は普通に温泉に入る。

 皆で駄弁りながら時間まで浸かってから会場に移動する。私は出演者側なので、会場の裏から見る事になった。まぁ、視界を増やせば普通に見る事が出来るから、構わないのだけど。


「オーケストラを出来るっていうのも凄いですよね」

「メイティさんが協力してくれたから集める事が出来た感じかな」

「まぁ、この短期間にちゃんと演奏出来るようになっているのは、皆さんの才能を感じますね……」


 オーケストラのように席を並べて、しっかりとした会場になっている。屋外というところが心配だけど、そこら辺は音を増幅出来る神様とかもいるだろうから大丈夫かな。

 会場は立ち見だ。最初は、本当に軽食が置いてあるくらいで、少しずつ摘まみながら演奏を楽しむ。そうこうしている内に、演奏が始まった。指揮者はガイアさんが担当している。背が高くて後ろからでも見やすいからかな。ヴァイオリンのパートには、メイティさんの姿もあった。

 最初は私も知らない音楽だ。静かな凪ぎから急に時化になる感じで、一気に盛り上がるような曲だった。演奏者の力なのか分からないけど、心を動かされる。そんな感じで知らない曲が続いた後に、急に私でも知っている曲が始まる。

 有名な作曲家の曲だ。途中で歌が入ったりもした。その歌を担当したのは、メロディ達マーメイドやセイレーンの皆だった。大丈夫かと思ったけど、誰も状態異常には掛かっていなかったので大丈夫だったみたい。バリトンとかどうするのかなと思ったら、ヘルメスさんがやっていた。


「中々予想外……」

「でも、良い感じだね。皆食事よりも音楽に集中しているし」


 オーケストラの最後はオルペウスさんの竪琴を主軸にした演奏になった。


「ハクちゃん、化粧するよ」

「あ、は~い」


 アク姉に呼ばれたので、アマテラスさんの衣装に着替えて、化粧をして貰う。この化粧品の一つ一つも神気を帯びたものになっている特注品だ。この化粧の間に、オーケストラから和楽器への入れ替えが行われる。そうして、最初の演奏が始まる。最初は神楽舞をするようなものじゃないから、まだゆっくりと出来る。


「オーケストラを聴いた後だと、和楽器って全然音色が違うね」

「まぁ、演奏の内容が違うからね。楽器の種類も全然違うし」

「ふ~ん、どっちが難しいの?」

「う~ん……楽器によるかな。メイティは、どっちも同じくらいって言ってるけど、あの子は音楽センスがずば抜けすぎなだけだから、あまり参考にならないかも」

「ふ~ん」

「よし。出来た。そろそろだよ」

「うん」


 化粧が終わったところで、私の出番がやってくる。ステージ脇に移動していくと、ステージ側にメイティさんの姿があった。和服を着て、横笛を吹いている。


「メイティさんが吹いてるのって何?」

「ん? あれは龍笛。メイティはソロ部分も担当してるよ」

「へぇ~、よく分からないけど、凄い音だね」

「まぁ、龍の笛って名前の通り、龍の鳴き声って言われるくらいだしね。おっ、次が出番だよ」

「うん」


 演奏が終わり、私が入ってくると、会場がざわざわとざわめき立つ。まだ演奏は始まらないので、皆に手を振ると一気に沸き立った。昨日も見ているはずなのだけど、ノリの良い人達ばかりだ。

 会場には、アメスさん達やフレ姉達の姿もある。日曜日だから皆お休みなのかな。昨日よりも広くなったランウェイの上に立つ。そして、私が目を閉じると一気に皆が静まり返った。

 アマテラスさん達の演奏が始まり、私の神楽も始まる。私が舞っていく中で、私の身体から光が地面に流れていく。会場だけでなくギルドエリア全体へと光は広がっていった。正直何が起きているかは分からない。でも、これが奇跡とはまた違った種類のものだという事は分かる。

 舞っている私の目の前にウィンドウが出て来る。まだ舞の途中なので、一瞬だけ目を通してから消す。


『ギルドエリアの神界化が進行します。三層のギルドエリアが一つにまとまります。尚、ギルドエリア間の移動は可能となります。神界化に伴い、ギルドエリアに繋がっているセフィロト及びクリフォトがギルドエリア内に移動します』


 こんな感じのないようだった。私の力がギルドエリアに流れ込んだ事で層構造にしていたギルドエリアが一つにまとめられた。つまり離れた場所に設置されたという事らしい。余計な真似をと思ったけど、結局テレポートは出来る訳だから、あまり変わりはしないのかもしれない。

 後は繋がっていたセフィロトとクリフォトも本格的にギルドエリア内に生えるようになったらしい。ギルドエリアの統一。これが何を示すのか分からないけど、現状悪い現象は起きていないので大丈夫かな。

 そうして神楽を舞い終えたところで、シヴァさん達が入ってくる。同時に私もカーリーさん達の衣装に着替える。アク姉はこれに備えてどちらでも通じるように化粧をしてくれている。だから、化粧直しの必要はない。

 私は思いっきり息を吸う。


「ここから盛り上がって行くよ!!」

『うおおおおおお~!!』


 軽快な音と共にダンスタイムが始まる。私と同じくステージに上がったカーリーさんが一緒に踊ったり、ニュンペーの皆と歌いながら踊ったりと、いつもの宴以上にカオスでありながら大盛り上がりの時間が過ぎていく。

 この時間になったら、どんどんとご飯も運ばれてきて、ご飯を食べながら談笑する人達もいる。こういうダンスに慣れていない人達も少し恥ずかしがりながらも楽しげに踊っていた。

 私はと言えば、次々に一緒に踊る人を変えていきながら二時間ぶっ通しで歌い踊り続けるという現実ではほぼほぼ出来ないであろう事をしていた。滅茶苦茶楽しかった。

 ヘスティアさん主催の音楽フェスは、大盛況に終わった。こういうフェスは、定期的に開いても良いかな。火を囲むだけの宴もいいけど、こっちの方が盛り上がれるし。

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