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吸血少女ののんびり気ままなゲームライフ  作者: 月輪林檎
新たなる地へと向かう吸血少女

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美と愛の女神の本領

 次の衣装は、古代エジプトの衣装みたいな感じだった。ただ特徴として鳥の羽根が沢山付いている。鳥に覆われているような状態だ。


「ネフティス様の作品だね。こんな感じで大丈夫かな。違和感はない?」

「うん。平気」


 鳥のような状態でランウェイに入ったら、シロアを初めとした白鴉達が飛んできて、私の周りを飛び回り始めた。多分演出ではないと思うので、シロア達が私を見つけて飛び回っているというだけだと思う。予想外の事態だけど、今回の衣装と合わせると、大分良いかもしれない。


「あの羽根は基本的にシロアちゃん達の羽根ですから、ハクちゃんが仲間みたいになったのが嬉しかったのかもしれませんね」

「少なくともシロア達からの評価は高いわね」

「綺麗ねぇ」


 取り敢えず評価的には悪くない。シロア達も私がランウェイから去っていったら、そのままどこかに飛んで行っちゃった。まぁ、いつも色々な場所を飛び回っているから、今回は本当に偶々だった感じかな。

 次の衣装は、古代エジプトの衣装みたいな感じに加えて、手と頭と腰に別のものが付いた。


「猫?」

「うん。バステト様とセクメト様の作品。猫手、猫耳、猫尻尾だね。そういえば、ハクちゃんって獣人にはなれないんだね」

「うん。そうだね。獣人になるスキルはないかな。多分。忘れてるだけかもしれないけど」


 アク姉が軽く微調整をしてくれたので、髪をボブくらいにしてランウェイを歩く。ポーズは猫っぽいポーズにしたら、会場が沸きだった。


「あざといですね」

「あざといわね」

「可愛いわぁ」


 厳しい評価に見えて、審査員席もポーズの時に沸いていたので好評ではあるはず。やっぱり普段こういう耳とか尻尾を持たない姿で活動しているから、いざこういう風に獣耳を使ったらイチコロみたい。


「次はハトホル様の衣装だよ」

「ハトホルさんかぁ」


 ついに着てしまった愛の女神様の衣装。一体どんな衣装を着させられるのか。そう思っていたら、普通に古代エジプトにもありそうな感じの衣装だった。これまでがシンプルな白いワンピースの形だったのに対して、ハトホルさんの衣装は赤い差し色が入っている。側面がぱっくり割れていたりするけど、脇腹が見えるくらいのものだ。


「思ったよりもえっちじゃないね」

「まぁ、水着以上にえっちな衣装だったら、ニュクス様が弾いてると思う」

「まぁ、そっか」


 その辺りの判断はニュクスさんもしっかりとしている。しっかりと覆うべき場所を覆っていれば許容してくれるくらいには寛大と言っても良いのかな。

 ちょっとした金のアクセサリーなどを着けてから、ランウェイを歩く。すると、何というか意識を奪われるような表情をしている女神様が多かった。意外と私の魅了の力を引き立てていたりするのかな。


「派手という程派手ではなく、ハクちゃんの魅力を引き出すような衣装でしたね」

「美と愛の女神らしく、ハクの美しさに寄り添うような衣装にしたのかもしれないわね」

「目が放させなかったわぁ」


 アスタロトは何を着ても釘付けになっていると思うけど、これはその中でもジッと見てしまったって感じなのかな。

 次に着た衣装は、女医という感じの衣装だった。アクセサリーとして眼鏡も掛けている。


「エイル様の作品だね。ストッキングは……まぁ、大丈夫かな」

「デニール数?」

「うん。もう少し厚くしても良いかなって思ったけど、このくらいで丁度良いと思う」


 ストッキングのデニール数に関しては、アク姉のさじ加減で調整して貰うようにしていたらしい。まぁ、結局エイルさんが最初に指定したもので決定したけど。


「女医っぽくね」

「女医っぽく……女医っぽさって何?」

「う~ん……取り敢えず、ドラマを参考にしてみたら?」

「ドラマ……CMくらいでしか見ないからなぁ」


 取り敢えず指示通りに女医っぽさを出すために白衣のポケットに手を突っ込んで歩いて行く事にした。これは女医っぽいと言えるのだろうか。


「ちょっと大人っぽいハクちゃんでしたね。医者の真似をしている子供という印象もありましたが」

「初々しさを感じさせるという点ではそうなるかもしれないわね」

「踏まれたいわぁ」


 アスタロトだけ女医から別物に変えている気がする。取り敢えず、女医らしさは表現出来たかは本当に怪しかった。もうちょっと医者っぽさを出せれば良かったのかな。そもそもその医者っぽさが分からないのだけど。

 続いての衣装は、白い薄手のワンピースと裾の長い薄手のローブだった。頭には花の冠を載せる。その花に合わせるように、ローブには花柄が付いている。ただ色が同じ白で付けられているから全く目立たない。これまでの衣装から何かしらの仕掛けがあるとは思うけど、一体どうなるのだろうか。


「これ裾を引き摺っちゃわない?」

「うん。大丈夫だよ。そういうものだから。最後はこのネックレスね」

「ん? これってフレイヤさんの?」

「大正解」


 どうやらフレイヤさんが用意した衣装だったみたい。何だろう。いつもの様子から勘違いしていたけど、愛の女神の皆もしっかりと私に合いそうな衣装を用意してくれたみたい。てっきりちょっとえっちな雰囲気のものを作ってくるかと思っていたから、少し安堵した。


「この柄の色も正しいんだよね?」


 大丈夫だとは思いつつもアク姉に確認する。


「うん。大丈夫だよ。演出の一つだから。指示書には祈りを捧げながら歩いて欲しいってあるから、それだけ気を付けて」

「奇跡が起こるんだけど……」

「それ狙いじゃないかな。ハクちゃんの奇跡の力は神聖属性の一つだし、通常じゃあり得ない現象も引き起こすでしょ? この衣装はハクちゃんが奇跡を起こした時に完成するように調整してあるんだと思うよ」


 フレイヤさんなら神様だし、そこら辺の調整も出来るのかな。アク姉が分析した結果だろうし、取り敢えず大丈夫だと思ってやってみよう。

 ランウェイに立ち、祈りを捧げながら歩く。身体から金色の光が漏れていき、その光がローブに通っていく。すると、ローブの花柄に色が入っていく。葉っぱや茎の部分は緑色だけど、花びらの部分は様々な色に移り変わっていく。更に、頭の花冠の花が大きくなっていき、背中の方に少し伸びる。その結果、私の後頭部から背中、床に掛けて花畑が出来上がった。

 この現象には、会場の皆も唖然としながらも目を奪われていた。


「祈りの奇跡を利用した全体の調和でしょうか? ハクちゃんの力を上手く活用した良い衣装だと思います」

「奇跡の方向を調整するのは、かなり高難易度だったと思うけれど、上手くいったみたいね。一瞬で花の女神になったわね」

「花嫁にも見えるわねぇ」


 確かに花のヴェールという風にも見る事が出来るのかな。そこまで考えていたのだとしたら、本当に凄いと思う。祈りを捧げるポーズもブーケを持つような姿勢に見えなくもないし。フレイヤさんの望む通りの奇跡の反応になったかは分からないけど。

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