表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
吸血少女ののんびり気ままなゲームライフ  作者: 月輪林檎
出会いを楽しむ吸血少女
688/722

八熱地獄エリア

 一日街の監視をして過ごした翌日。私はフラム、ニクス、アスタロト、カマエルさんを連れて八熱地獄エリアに来ていた。アカリのアクセサリーは何故か難航しているみたいだから、アクセサリーなしで探索する事になる。だから、アスタロトに加えてカマエルさんを連れている。


「地獄か……嫌なところだな」

「そうなんですか?」

「私は心地良いわよぉ? 程よく絶望が満ちているわぁ」

「あぁ……なるほど。そういう」

「ああ。こいつみたいな奴等は好きだろうな」


 地獄という場所。冥府とほぼ同じようなところだ。そういう意味では死の国エリアに近しいものでもあるのかな。天使であるカマエルさんからしたら、居心地の悪い場所という風になるらしい。私も神様や天使の要素があるけど、本質は吸血鬼で七つの大罪を持つ悪魔だからなのか特に何も感じない。


「フラム、何か分かる?」

『全体に火の気配がする。普通の地面に見えて、内部には相当な熱を蓄えているな』


 八熱地獄エリアは、見た感じこれまでの火属性エリアと比べて普通な地面が広がっている。火山エリアとかそこら辺の状態に戻っている感じかな。でも、フラムからしたら地面には相当な熱が込められているらしい。私も火属性の気配を感じているから、これは本当だと思う。


『それとモンスターのような火はない』

「火属性を持つモンスターがいないって事?」

『恐らくはな』


 これまでの事を考えると、ここのモンスターは火属性が強いと思っていた。でも、実際はそうじゃ無いらしい。


『キュイ!』


 周囲の状況を把握していたら、肩に留まっているニクスが頭突きしてきた。


「どうしたの? 上?」


 ニクスが上に嘴を向けるので、空の方を見てみると、空から朱雀が降りて来た。


『守護者よ。汝の働きに感謝します』


 朱雀はそう言うと、朱雀の羽根をくれる。赤い羽根だけど、見方によっては虹色に光って見える。


「ありがとう」

『汝の旅がより良きものになる事を願っています』


 朱雀はそう言って飛び去っていった。青龍、玄武、朱雀と来たら、白虎の報酬も欲しいな。後で西のエリアにも行ってみる事にする。


「良い物を貰ったな」

「はい。守護者として戦って良かったです」


 これは後で白虎から貰えるはずの報酬と合わせてアカリにあげる。私が持っていても何も起こらないし。


「う~ん……主人。フラムとニクスは帰した方が良いかもしれないわぁ」

「そうだな。安全のために帰した方が良いだろう」

「そう? じゃあ、二人とも態々来てもらったのにごめんね」

『気にしないでくれ』

『キュイ!』


 アスタロトとカマエルさんのアドバイスに従って、フラムとニクスをギルドエリアに帰す。そうして三人で八熱地獄エリアを歩いていると、急に身体が引っ張られる感覚がした。直後、私達の周囲の景色が変わって、どこかの建物の中に入る。


「あれ? え?」


 目の前には何か教卓みたいなところにいる大男がいた。


「いきなり引っ張ってしまい悪かったな。私は閻魔。この地獄を管理している者だ。本来であれば、十王の審判を順番に受けてもらうのだが、貴殿には必要ないだろう」

「というのは?」

「私達が裁く立場にない。貴殿は、そういう存在という事だ」


 閻魔という事は閻魔大王の事だろう。地獄の裁判官。私を裁く立場にないというのは、私が神であるという事が理由なのかもしれない。


「まずは私の力を授けよう。八熱地獄と八寒地獄での自由行動が出来るようになる。十王と遭遇したとしても問題が起こらなくもなる」


 そう言われた途端にウィンドウが出て来る。


『条件を満たしました。【魔王】を【閻王】に進化します。【魔剣】が統合されるため、【暗黒魔法才能】を統合します。【閻王】を【冥王】に進化します。【冥王】を【閻魔大王】に進化します』

『【閻魔大王の特赦】を獲得』


 これまで条件を満たせなくて進化していなかった【魔王】が一気に進化したと思ったら、どんどんと進化していった。そして、いつか取ろうと思っていた【魔剣】が取れなくなった。【魔剣】の統合元である【暗黒魔法才能】も消える。まぁ、使い道はあまり無かったからいいかな。


────────────────────


【閻王】:魔気と魔血を所持する。魔剣の扱いに補正が入る。暗黒属性と闇属性を大きく強化し耐性を得る。HPとMPの常時吸収効果を得る。闇属性魔法、暗黒属性魔法を自由に扱える。控えでも効果を発揮する。


【冥王】:魔気と魔血を所持する。魔剣の扱いに補正が入る。暗黒属性と闇属性を大幅強化し耐性を得る。HPとMPの常時吸収効果を得る。闇属性魔法、暗黒属性魔法を自由に扱える。控えでも効果を発揮する。


【閻魔大王】:魔気と魔血を所持する。魔剣の扱いに補正が入る。暗黒属性と闇属性を大幅強化し完全な耐性を得る。断罪系スキルの効果が上昇する。HPとMPの常時吸収効果を得る。闇属性魔法、暗黒属性魔法を自由に扱える。控えでも効果を発揮する。


【閻魔大王の特赦】:八熱地獄エリア、八寒地獄エリアにおいて罰を受けなくなる。十王による裁きを受けなくなる。断罪系のスキルの効果を無効化する。控えでも効果を発揮する。


────────────────────


 統合された魔法や【魔剣】はちゃんと使える。ここら辺はありがたいかな。それに断罪系のスキルの効果がなくなるのも嬉しいかもしれない。私は常にバフ盛りみたいな状態だろうし。


「ありがとうございます」

「いや、これくらいは当然だ。ここで無礼があれば私の本体にも申し訳が立たないからな」

「本体?」


 どういう意味なのか分からなくて首を傾げる。思えば現実でも閻魔大王について詳しく知らない。現実でも同じように本体とかあるのかな。


「ああ。ヤマという神だ。既に独立してそれぞれの存在として生きているからな。そこまでの付き合いはないが、貴殿からはヤマの祝福を感じる。それもあり、貴殿に自由を許している。一番の理由は、貴殿が神である事だがな」

「なるほど」


 ヤマさんの分身だったけど、閻魔さんとして独立した存在になっているから分身という状態でもなくなっている感じかな。地獄にいる閻魔さんは、ヤマさんと交流出来なかったから、そこまでの付き合いがあるわけじゃないけど、元々の本体だったからある程度の敬意を払っているのだと思う。

 それと合わせて、神であるという事もあり八熱地獄と八寒地獄での自由を許してくれるみたいだ。至れり尽くせりだけど、ちゃんと理由があるから何も怖いとか思わない。SP回収が出来なかった事だけが悔やまれるかな。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ