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吸血少女ののんびり気ままなゲームライフ  作者: 月輪林檎
出会いを楽しむ吸血少女

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機械の大地

 ひとまずマーリンさんはアーサーさんと一緒にギルドエリアに戻って貰った。向こうでの顔合わせもあるからだ。アスタロトも邪魔なので、ゴエティアに押し込んでおいた。

 私は再びフェンリルに乗って移動する。エアリー、ソイル、ラウネも乗っているから、移動速度は少し緩やかだ。色々とやっているからもう真夜中だ。一日目が終わって二日目が始まりそうなくらいの時間帯だ。


「そろそろ森を抜けるかな。ラウネ、森の中に違和感とかはないんだよね?」

『うんなの。特別な植物はないの』

「なら、抜けちゃって良いかな。この先にあるのは……」


 空から先を見て、森の先がどうなっているのか確認する。そこに見えたのは、さっきまでいた機械兵製造基地が多くあった場所とは比べものにならない程機械で出来たエリアだった。範囲も広い。


「フェンリル! ストップ!」


 フェンリルが急ブレーキを掛けるのと同時に血と影を操作してエアリー達の身体を確保する。これでブレーキによって身体が投げ出されるという事はなくなる。


『どうした?』

「この先がさっきよりヤバいところかも。エアリー」

『先程と同じ砲があります。それよりも大きなものも』

「これがそうみたいだね……エネルギーの生成場所は……全然見当たらない。さっきの端末からはこっちにアクセス出来なかったから、向こうは前線基地か何かだったのかな。エアリー、ここから破壊出来る?」

『やってみます』

「ソイルとラウネに戻っておいて。ここが狙撃され……」


 言葉を途切れさせたのは、空から見てしまった事があったから。基地の一部から大量のミサイルが発射されるその瞬間を。


「【送還・ソイル】【送還・ラウネ】フェンリル!」

『ああ!』


 エアリーの身体を抱きしめて、振り落とされないようにする。そして勢いよくフェンリルが駆け出した。エアリーが次々に落としてくれているけど、そのエアリーの破壊が追いかないくらい多くのミサイルが飛んでくる。


「普通森にクラスター撃ってくる!?」


 撃たれたのは、クラスター弾。ミサイルの中に小型のミサイルが入っているものだ。無数のミサイルが次々に森に降り注いで来る。背後で爆発が聞こえてくる。あの場でアテナさんの祝福で盾を作っても良かったけど、そうなればあそこに縫い付けられていた。

 エアリーと同じように私もいくつもの属性弾を作って空で迎撃するけど、やっぱり追いつかない。


「弾切れもないの!?」

『発射口を破壊します』

「お願い!」


 エアリーが迎撃から大元の破壊に移った。基地の方で大きな爆発が起こっていく。私もアイテールさんの祝福で空から光の雨を降り注がせる。基地の一部とミサイルのいくつかを破壊出来るけど、全く追いついていない。


『お姉様。次々に修復されます。速度が異常です』

「え?」


 エアリーから報告を受けて、空から基地を見下ろす。すると、破壊されている基地が、次々に再構築されているのが見えた。私の中の常識には存在しない技術……いや、映画とかゲームでは見た事があるかも。正確な名称が分からないけど。


「部品がどこかに用意されてる。破壊は意味ない……っ!」


 狙撃砲からレーザーが放たれたのでアテナさんの祝福で盾を作り出して受ける。


「フェンリル! 一旦世界に戻って! 【送還・エアリー】」

『分かった』


 フェンリルがギルドエリアに戻って、エアリーも送還した。これで残ったのは、私だけ。【熾天使翼】を広げて、【雷化】で空に向かって移動する。さっきまで私が居た場所をレーザーが通り抜けていく。

 そして、私の上からは、大量のミサイルが降り注いで来ていた。【黒点】を使用してミサイルの一部を吸い込む。これで安全地帯が生まれる。そう思っていたら、ミサイルの軌道が変化して私に向かってきた。


「ホーミングは無しでしょ!?」


 アイテールさんの祝福で空から光の雨を降らせて破壊しつつ、【灰燼】を放って更に数を減らす。それと同時に【熾天使翼】を消して、【雷化】で地上に降りる。


「あまり全任せしたくないんだけど……お願いします!」


 私がそう言うと、私の周囲に次々に神様、悪魔、天使が現れる。同時に、基地のあちこちから機械兵が出て来た。


「またこいつらか……骨のある奴を出してきな!!」


 カーリーさんは笑顔でそう言うと、機械兵達を薙ぎ倒していった。


「ルキフグス! 悪魔達を指揮して、ミサイルの発射口を破壊して!」

「承知致しました」

「アスタロトは私の護衛!」

「はぁい」

「取り敢えず、皆遠慮は要らないから!」


 私のこの言葉を全員がその通りに受け取った。基地のあちこちで爆発が起こっていく。ニュクスさんやアルテミスさんを初めとした神様がエリア一掃攻撃を放っているからだ。私はアスタロトが守っているから問題は一切ない。


「おかしいわ……削っても……元に戻る……」


 ニュクスさんは破壊の手応えがない事に気付いたみたい。


「すぐに修復されちゃうみたいなんです。どこかにそれを制御している場所があるはずなんですが……多分地下だと思います」

「そう……」


 ニュクスさんが視線を下に向けるのと同時に【万能探知】にモンスターの反応がする。まぁ、さっきからしているけど、今度は大きさが違う。それはヘビーアームドドラゴンの群れだった。でも、装備が少し異なる気がする。イベント特別仕様かな。

 強敵に敏感なカーリーさんが真っ先に飛び込んで倒しに向かった。

 続いて大きな振動がしたので、今度は何かと思ったらテューポーンが出て来た。それと同時に基地から液状の金属が出て来たかと思うと、テューポーンと同じ大きさのドラゴンが出て来る。唐突に始まる怪獣大決戦。これ本当に探索型イベントなのかな。そんな疑問が過ぎるのと同時に私の頭をガイアさんが撫でた。

 同時にニュクスさんとガイアさんが目を合せる。


「任せるわ……」

「ええ。行くわよ」


 ガイアさんがそう言うと、地面が消えた。遅れてガイアさんが地下までの入口を作り出したのだと気付く。


「お母さん、気を付けて!」

「ええ……」


 ニュクスさんは優しく微笑む。それを見てから、ガイアさんと一緒に落ちていく。アスタロトも私に付いてきた。護衛を命令したからだ。ガイアさんが開けた穴は次々に閉じていく。基地側が修復しているからだ。修復が私達に追いつく事はなく、すぐに地下道に着いた。


「ここから下は無理ね。金属が分厚すぎるわ。向こうの修復速度の方が早くなる」

「分かりました。【召喚・エアリー】」


 エアリーを再び召喚する。召喚されたエアリーは、すぐに自分の役割を理解して周囲の確認をしてくれる。


『かなり広いです。全体を把握するには時間が掛かります。加えて、私の破壊が追いつきません』


 エアリーがそう言うのと【万能探知】に無数のモンスターの反応がしてくるのは同時だった。地上があんな状態なのに、地下は安全という事などあり得なかった。

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