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吸血少女ののんびり気ままなゲームライフ  作者: 月輪林檎
出会いを楽しむ吸血少女

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反省と進化

 私とニュクスさんが地上に降りてくると、母艦の全てはスノウ達に落とされて、地上の狙撃砲はルシファーが破壊し、地面が大きく抉れていた。機械兵もほとんど倒されている。カーリーさんが高笑いしながら戦っているから、何となく数が滅茶苦茶減っている理由が納得出来た。

 その中で、アテナさんの前にアテナさんを襲っていた三人が正座しているのが見えた。


「お母さん、あそこに降ろしてください」

「アテナね……」


 ニュクスさんに抱かれているので、ニュクスさんに着陸場所をお願いしてアテナさんの傍に来る。


「アテナさん、大丈夫ですか!?」

「ええ。ようやく話し合いが出来るところまで来たわ」

「…………」


 髪の毛が蛇の女性三人は、ボロボロの状態で正座している。アテナさんは手加減をして話し合いが出来るようになるまで戦い続けたようだ。


「お知り合いなんですよね?」

「ええ。このメデューサが、私の神殿で好き勝手してくれてね。謝りもせず、姉二人までも擁護してきてうざかったから、化物に変えてやったのよ」


 割とアテナさんもやる事をしていた。まぁ、最初はメデューサさん達がやらかしているみたいだけど。


「その後メデューサが暴れていたから、ペルセウスに討伐させたのだけど、世界の再構築で復活したようね。私も大人げなかったと反省しているわ。メデューサもしっかりと謝ってくれたようだから、取り敢えず心配ないわ」


 私が心配そうな表情をしていたのかアテナさんは私の頭を撫でて安心させてくれる。


「なるほど。じゃあ、もう喧嘩はなしですね」

「ええ。あなた達も挨拶しなさい」


 アテナさんがそう言うと、メデューサさん達が私の方を見る。そして、一瞬怯えられたような気がする。私のスキルのせいかと思ったけど、私の後ろでニュクスさんが威圧感を放っているからだった。


「お母さん。大丈夫ですよ」


 私がそう言うと、ニュクスさんの威圧感が消えて、私を後ろから抱きしめてくる。取り敢えず、この状態で挨拶を聞く事になった。


「私はステンノー。ゴルゴーン三姉妹の長女」

「私はエウリュアレーです。ゴルゴーン三姉妹の次女です」

「私はメデューサよ。ゴルゴーン三姉妹の三女」


 三姉妹で長女が小さくて、次女が大きくて、三女が普通くらいという身体の大きさをしていた。統一されているのは、髪の毛が蛇になっている事。


「取り敢えず、あなた達もハクに祝福を授けなさい。そうすれば、この子の世界に入る事が出来るわ。こんなところに迷い込む心配もないでしょ」

「迷い込んじゃったんですか?」

「私達は山奥で暮らしていたのだけど、突然こんな何も分からない場所に引っ張りこまれて……そうしたら、アテナがいたから復讐のつもりで襲ったのよ」


 メデューサさんは気まずそうにそう言った。まぁ、襲った相手が目の前にいるのだから、気まずいのは当たり前か。

 イベントに合せてモンスターとして、ここに入れられたって感じみたい。実際にいたら、プレイヤーに襲われていただろうし、モンスターとしては凶悪だと思うから、こんな奥にいたのも頷ける。


「なるほど。今であれば、祝福無しでも呼び込めますから、無理に祝福を頂かなくとも大丈夫ですよ」

「いや、渡す。私達の忠誠の証」


 ステンノーさんがそう言うと、祝福が授けられた。


────────────────────


【石化蛇三姉妹の祝福】:自身を見た対象を確率で、一時的に石化する。控えでも効果を発揮する。


────────────────────


 三人で一つの祝福らしい。これで三人も私のギルドエリアに入れるようになった。モンスターとして扱われないようになるはず。


「ステンノーさん達がそういう風に捕まったという事は、他にも同じような状態になっている神様とかがいるんでしょうか?」

「私達は三人でここにいたので、他にも同じ者がいるかどうかは分かりません」


 エウリュアレーさんがそう言うと、空から轟音が聞こえてきた。


「ゼウスさん……」

「大丈夫よ。無常の果実があるのなら、ゼウスが勝つわ」


 私の傍にガイアさんがやって来てそう言った。その表情は、少し悲しげな感じがある。


「大丈夫ですか?」


 私が心配すると、ガイアさんは少し驚いたような表情をしてから優しく微笑んで私の頭を撫でる。


「ええ。ゼウスが戦っている相手は、ゼウスを殺すために産んだ私の子なの」

「えっ!?」


 衝撃の事実が発覚した。あの化物は、ガイアさんの子供だった。しかも、ゼウスさんを殺すために産んだ子という事は、ゼウスさんの天敵に近い存在という事になるのでは。


「テューポーンというの。ゼウスが大人しくさせてくれるわ。そうしたら、あの子も迎えてくれないかしら?」

「えっ? 大丈夫なんですか?」

「ええ。貴方が手綱を握ってくれるのなら大丈夫よ」


 手綱を握れるのか心配になるけど、ガイアさんがこう言ってくれるのなら大丈夫なのかな。そう思っていると、私の方にアーサーさんが駆け寄って来た。その手には綺麗な槍が握られている。


「ハク!」

「アーサーさん。無事にロンゴミニアドを手にする事が出来たんですね。地上からの援護助かりました」

「ああ。余計な手出しかと思ったのだが、一つでも多く落とすのが良いと思ってな。届いて良かった」

「全盛期の力が戻った訳では無いんですよね?」

「ああ。少しずつ馴染んではいるが、微々たるものだ。完全に力を取り戻すには、まだ時間がいるだろう」


 全盛期の力じゃないのに、地上から衛星軌道上にある衛星型機械兵製造基地に攻撃を届かせるというのは、ちょっと恐ろしい。全盛期の力を取り戻したらアーサーさんはどれだけの強さになるのだろうか。


「ハク」


 空からルシファーが飛んでくる。


「どうしたの?」

「全ての砲を潰したが、その根元にエネルギーを受け取る機構が存在した。そのエネルギーを送り込むためのケーブルが伸びているのも確認した。破壊するか?」

「遠いの?」

「少しな」

「じゃあ、何人か連れて行って。危険だと判断したら、私を呼んで。大体の位置は感じ取る事が出来ると思うから」

「了解した。ベルゼブブ、サタン、行くぞ」


 ルシファーは、ベルゼブブとサタンを連れてエネルギー貯蔵施設の破壊に向かって行った。まぁ、あのレベルのレーザーを放つのにエネルギーが必要ない訳がない。こういうのは先に破壊しておくに限る。ルシファーがやってくれるのなら、大体大丈夫だと思うし。


「ハク! もう敵はいないのか!?」


 ギラギラした目でカーリーさんが訊いてくる。戦闘が本当に楽しいのだなと分かる。

 私はエアリーを見た。すると、エアリーは首を横に振る。


「もう倒しきったみたいです」

「ああ? つまらん……もう少し骨のある奴が欲しかった」

「まぁ、これから先現れるかもしれませんから」

『ガァ!』


 カーリーさんがシャドーボクシングで身体を温め始めたのと同時にスノウが降りて来た。


「スノウ。お疲れ様。皆を率いて戦ってくれてありがとうね」

『ガァ!』


 スノウは、嬉しそうに鳴いて頭を押し付けてくるので、しっかりと撫でてあげる。すると、スノウの身体が光り輝き出す。


「あっ……」


 その光に見覚えがある。これは奇跡の光だ。身体が一回り大きくなって、威厳が増していく。名前は氷炎古龍神というらしい。


────────────────────


スノウ:【矮小化】【原初の神氷炎】【古龍の力】【古龍核】【神宿身体】【第六感】【天翔】【原初の導き】【神力】


────────────────────


 数段階くらい飛ばして強くなっている気がする。


「強くなったみたいだね」

『ガァ!』


 スノウは嬉しそうに顔を押し付けてくる。威厳は出てもこの可愛さは失われないらしい。

 そして、私の目の前にウィンドウが現れた。


『条件を満たしました。【神格・竜】を獲得』


 竜の神格が手に入った。


────────────────────


【神格・竜】:神の名の下、ありとあらゆる竜に神として認知される。全ての竜を統べる事が出来るようになり、その力を倍増させる。竜としての能力を大幅に上昇させる。控えでも効果を発揮する。


────────────────────


 また強くなった。しかも、これでスノウ達の力も上昇する。現在空を支配している竜達も強くなっているので、制空権は完全に手に入れたかな。

 そういえば、これって探索型イベントだよね。私、全然探索してない気がする。ちょっと見て回ろうかな。

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