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吸血少女ののんびり気ままなゲームライフ  作者: 月輪林檎
出会いを楽しむ吸血少女

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プレイヤー蹂躙

 自分に起きた奇跡の重なり合いが、皆を引き寄せてくれた。


「そんな事が……」

「それと、いい加減ゴエティアを出してあげなよ」

「え?」


 ロキさんは笑いながらそう言う。態々そう言うという事は、そういう事なのだろう。言われた通りにゴエティアを血液から出す。すると、中からアスタロト達が飛び出してきた。ウェパルとフォルネウスもいる。


「いやぁ~ん! やっと出られたわぁ!」

「う~ん! やっぱり外は良いね!」


 アスタロト達は身体を伸ばしてから、私の方を向いて空中に膝を突く。


「馳せ参じるのが遅れて申し訳ない。これより、私達が貴方をお守りしよう」


 バエルが皆を代表してそう言う。


「うん。ありがとう」


 私がそう言うと、皆が立ち上がる。フェネクスは、すぐに私の傍に来て抱っこをせがむので、抱き抱えてあげる。すると、フェネクスから青白い炎が出て、私のHPが回復していった。どうやら、私を回復してくれるらしい。


「もっと早くゴエティアを出してくれて良かったのにぃ」

「ごめん。皆は喚べないって決めつけてたかも」

「良いわぁ。今回は許してあげるわぁ。こうして間に合えたのだものぉ。ここからは主人を一ミリたりとも傷付けさせないわぁ」


 アスタロトは、最初は笑っていたけど、最後の方になると、無表情になってプレイヤー達の方を向いた。割と本気で怒っているらしい。


『ハクにしては、頭が回っておらぬようじゃな』

「玉藻ちゃん?」


 私の頭に尻尾を乗せながら、玉藻ちゃんが現れた。その隣には、フェンリルに乗った胡蝶さん、清ちゃん、紅葉さんもいる。パーティーメンバー枠を消費していないから、何か特殊な方法で来たみたい。


『そうだぜ。あれくらいやろうと思えば倒せるだろ』


 そう言って、隣から酒呑童子が現れた。


「何で居るの?」


 そう。酒呑童子をテイムした覚えはない。ここに来られるはずがないのだ。


『こやつも大概規格外じゃからな。勝手に付いて来よった。まぁ、こやつが居た方が都合の良いこともあるのじゃ』

『こんな面白ぇ事を見逃せる訳がないからな!』


 酒呑童子がニヤリと笑いながらそう言う。色々とツッコミたいところだけど、取り敢えずは感謝なのかな。


「これが君が起こした奇跡さ。いや、もはや奇跡などじゃなくて、これが君の神格と権能なのかもしれないねぇ」

「私の神としての力って事ですか?」

「ああ、そうさ。当人同士の敵対関係も何もかも関係なく自分の味方に引き入れる。仲介と結び目というところかな」

「結び目?」

「周りを見てご覧よ。ここには神も悪魔も妖怪もいる。そして、君を慕う中には、人間、神霊、竜、動物、様々な種族がいるだろう? それらの中心にいるのは君だ。君が僕らを繋いでいる結び目なのさ。フハハハハ! やっぱり君は面白い!」


 ロキさんは、本当に楽しそうにそう言った。同時に私の目の前にウィンドウが現れた。


『【神格・調停者】【神格・寵愛】を強制収得します』


 今の話で神格を手に入れた。


────────────────────


【神格・調停者】:神の名の下、ありとあらゆる種族における敵対関係を解消させる事が出来る。控えでも効果を発揮する。


【神格・寵愛】:神の名の下、ありとあらゆるNPCから愛されるようになる。控えでも効果を発揮する。


────────────────────


 何か万能的な力を貰えるのかなと思っていたけど、私の神格は皆に愛されて、皆の仲を取り持つというところにあるらしい。これまでのギルドエリアとかでの生活を考えれば、ある意味では合っているのかな。


「まぁ、今はそんな事よりもやるべき事があるね」


 ロキさんは、急に無表情になって地上を見下ろした。地上からは、どんどんと魔法が飛んできているけど、その全てをアテナさんが止めている。それに他の空にいるプレイヤー達もアテナさんの盾に攻撃してきていた。


「そろそろ方針を決めて欲しいのだけど。顕現出来たとはいえ、私達の力は万全じゃないのよ」

「そうなんですか?」


 ニュクスさんを見ると頷く。こうして顕現出来ているけど、その力の全てを引き出す事は出来ないらしい。制限を設けた上での顕現って事なのかな。それでも圧倒的な力を持っているように思えるけど。


「私達はぁ、万全よぉ。神だけに設けられた制限ねぇ」


 アスタロト達悪魔は何も制限を受けていないみたい。それなら色々とやれる事はあるかな。


「ここは、我が出よう」


 そう言ったのは、ゼウスさんだった。ゼウスさんは、皆の前に立って地上と空にいるプレイヤーを見る。


「我らが子にした仕打ちを、我らは許さぬ。貴様等を神敵とし、この場で蹂躙してくれる!」


 ゼウスさんはそう言うと、雷をぶん投げた。その雷が地上を焼き、地面を熔解させている。それを皮切りに、皆が動き出す。神々がそれぞれの方法で攻撃し、アスタロト達も配下となる悪魔や天使の軍団を召喚して突撃させていた。その数は、異常だった。

 それも当たり前だ。軍団というのだから、人数がその数な訳がない。二十の軍団を率いていると言えば、それだけの部隊を率いているという事になる。プレイヤーの数など優に超える部隊が降りてきていた。更に、妖怪の大軍まで生まれている。その戦闘を率いているのは、酒呑童子だ。俗に言う百鬼夜行だろう。そんな大軍と神と悪魔による攻撃を受けたプレイヤー達は阿鼻叫喚の状態だった。

 私が召喚しているという判断をしていても、私に攻撃を届かせるには、アテナさんの盾を抜けないといけないし、その前に悪魔と天使と妖怪の大軍を倒さないといけない。そこに空から神様と悪魔と妖怪の援護が加わるので、もうどうしようも出来ない。

 加えて、私の周りには、フェネクスの部下である悪霊達がいる。私の防御は万全だった。それに、ニュクスさんが抱いているので、ニュクスさんを倒さないといけないというのも付いてくる。そして、フェネクス、エイルさんの治療とヘベさんがくれた飲み物のおかげで、HPは完全回復していた。

 こんな状況になって、初めてプレイヤー達に同情したかもしれない。神様達の中で一番怒っているのは、ネメシスさんだった。地上で暴れている神様の一人だ。

 確か神様の怒りとかを体現している神様だったから、今の神様達の怒りの分だけ怒っている感じなのかな。

 皆に守られながら、ウカさんの稲荷寿司を食べて、プレイヤー達が蹂躙されていく様を見ていく。

 こんな事をして、私は明日からまともなプレイが出来るのだろうか。ちょっと心配になる。まぁ、積極的に他プレイヤーと関わるつもりはないし大丈夫かな。

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― 新着の感想 ―
次回からハクはイベント出禁やろなぁこれ(笑) 今更報酬金やボックス無くたって全く困らんろうし
運営が可哀想
可哀想に 運営さん
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