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吸血少女ののんびり気ままなゲームライフ  作者: 月輪林檎
出会いを楽しむ吸血少女

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堂々と楽しむ

 神炎古都の観光を終えて、炎海エリアの探索を再開する。あまり長居するのも悪いからね。そこまで長く探索するつもりはないから、フラムとニクスはお留守番にしておいた。アスタロトもゴエティアから外に出て一緒に空を飛んでいた。

 そうして探索を続けていると、モンスター以外からの攻撃が飛んできた。第六感があるから、普通に攻撃が来る事は分かっていたし、普通に避けられるけど、アスタロトが私を抱えて庇った。

 攻撃の種類は、光魔法系の何かだった。魔法に関する知識がないから、種類までは分からない。でも、アスタロトは悪魔。普通に考えて相性は最悪だ。


「アスタロト!」

「大丈夫よぉ。熾天使クラスの攻撃じゃなければ効かないわぁ。雑魚の攻撃だけれど、苛つくわねぇ」


 割とチートな耐性をしていた。まぁ、悪魔の中でも特殊な部類のようだし、そのくらいは当たり前なのかな。いや、今はそんな事を気にしている場合じゃない。


「この悪魔憑きめ!」


 そう言っているのは、プレイヤー達のパーティーだった。真剣な表情でこっちを見てきている。そう。同じプレイヤーである私を。内容的に言えば、クエストの一つなのだと思うけど、プレイヤーが対象になっているわけない。


「悪魔憑きって、どういう事?」

「どう考えても悪魔が憑いてるだろ!」


 何か勇者的な装備をしたプレイヤーが叫んだ。まぁ、確かに全身白黒で黒い翼を持つアスタロトは、見た感じで悪魔っぽいけど。


「この子は、私に憑いてるわけじゃなくて、私が従えてるの。分かった? 次攻撃したら、問答無用で反撃するから」


 運営に通報しないのは、せめてもの情けと思って欲しい。勘違いで攻撃したのなら、それはそれで仕方ないしね。

 プレイヤー達は困惑していたようだけど、リーダーっぽい勇者装備のプレイヤーが、私に向かって剣を向けてくる。


「いや! 俺達は悪魔を倒せというクエストを受けているんだ! 悪いが、その悪魔は倒させて貰う!」


 アホプレイヤーの一人だったらしい。実際、パーティーメンバーは驚いているから、この勇者っぽい装備の馬鹿だけの意見という事が分かる。イラッと来たので、大罪の全てを解放して、プレイヤーの全員を状態異常にさせる。魅了状態になり身動きがとれなくなった。


「アスタロト」

「はぁい」


 アスタロトは、空から黒竜を喚び出す。


「運営には報告しないであげるけど、仲間の暴走くらい止めなよ。本当に迷惑」


 伝えたい事を伝え終えたタイミングで、アスタロトが黒竜にプレイヤー達を食べさせた。

 久しぶりに迷惑なプレイヤーに出会った。多分、悪魔に関して、掲示板とかで大騒ぎになると思うけど、もう気にしないでおこう。絡んでくるようなプレイヤーは全て問答無用で倒すみたいな気概でいる事にする。

 あの迷惑なプレイヤーも仲間がどうにかしてくれるかもしれないし。一人の暴走という印象が強いので、そこだけは期待が出来る。


「ごめんね、アスタロト」

「良いわよぉ。私のせいというところもありそうだものぉ。人にとって悪魔は恐ろしいものだものねぇ。でもぉ、次からは反撃しても良いかしらぁ? 主人を危険に晒すのは嫌だものぉ」


 アスタロトが苛ついていた理由は、弱い攻撃で突かれた事じゃなくて、私に向かって攻撃が飛んできていた事にあるらしい。ドMな変態ではあるけど、私を第一に考えてくれている良い従者である事に間違いはない。


「そうだね。相手に悪意しかないのなら、反撃しても良いよ。ありがとうね」

「分かったわぁ」


 アスタロトはそう言うと、私を抱きしめて頭に頬を擦り付けてくる。

 それにしても炎海エリアを探索出来るって事は、相当な火耐性を持っているという事になる。アイテムか装備か分からないけど、ちゃんと探索出来るプレイヤーもいるって事だ。

 やっぱり探索に悪魔達の力を借りるのは止めた方が良いか。いや、それを気にして、ゲームをする方が楽しめない気がする。プレイヤーそれぞれにプレイスタイルがあるのだから、今更気にする事でもないだろう。ニュクスさんやアルテミスさんのエリア全体攻撃はさすがに迷惑だから控えるけど。


「さてと、そろそろ帰ろうか。探索する気が削がれたし」

「じゃあ、ゴエティアに入るわねぇ」


 三分の一近くを調べ終えたので、今日はここで探索を終える事にした。気分が削がれたというのも本当の事だ。

 ゴエティアの中にアスタロトを入れて、神炎古都からギルドエリアに転移する。アスタロトは勝手にゴエティアから出て来て、私の傍に侍る。そんなアスタロトを連れて、私はアカリの作業部屋に向かった。


「アカリ、お願いがあるんだけど」

「ん? どうしたの?」

「ゴエティアを腰に付けたくてさ。血の中に入れておいても良いんだけど、手で持っている事もあるから。皆が周囲を見回すのに、ゴエティアは外に出ていた方が良くてね」

「そうなんだ。ちょっと待っててね」


 アカリはそう言うと、作業台に向かって座り、黒い革を使って五分も掛からずに作ってくれた。それを腰に付けて、ゴエティアを入れる。その上から蓋を付けられるので、ゴエティアが落ちる心配もない。


「アスタロト、中に入ってみて」

「はぁい」


 アスタロトがゴエティアの中に入る。仕舞った状態でも、問題なく中に入る事が出来た。


『問題ないわぁ。ここからでも周囲を感知出来るわぁ』

「良かった。ありがとう、アカリ」

「どういたしまして」


 アカリの頬にキスをして抱きしめる。アカリも慣れたもので、私を抱きしめ返してくれる。


『羨ましいわぁ』


 アスタロトは念話でそう言ってから、ゴエティアの中から出て来た。そんなアスタロトからアカリを守るよう抱きしめる。


「アカリはあげないよ」

「私が欲しいのは主人だけよぉ」


 まぁ、そんな事だろうと思った。アカリを欲しがる理由がないし。


「あははは……ハクちゃんは、モテモテだね。気持ちは分かりますけど、ハクちゃんは、私のものですから、過剰な行為は駄目ですよ」

「分かってるわぁ。主人が望まないものぉ」


 アスタロトは、少し無表情気味にそう言った。やっぱり私以外の対象に対しては、そこまで感情を出さないらしい。


「それじゃあ、私は皆の様子を見てくるから。それとアスタロトがプレイヤーに絡まれたから。アカリが心配する前に伝えておくね」

「えっ、大丈夫だったの?」

「うん。文句言って倒したから。何か一々隠す方が面倒くさいし、このままいく事にした」

「う~ん……まぁ、そうかもね。結局運営が用意している事の範囲でハクちゃんは楽しんでいるわけだし」

「そういう事。それじゃあ、またね」

「うん」


 アカリとキスをしてから別れて、アスタロトを連れてメア達の卵の様子を確認する。特に変化はなく、順調に育っているのかとかは分からない。でも、卵が死んでしまっていたら、すぐに分かる筈だから、問題はないと思う。

 ホムラもフラムが面倒を見てくれているので、特に大きな問題はなかった。

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