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吸血少女ののんびり気ままなゲームライフ  作者: 月輪林檎
出会いを楽しむ吸血少女

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忠実な悪魔

 水を操り、風を生み出して空間を作り、ゴエティアを取り出して二人の召喚魔法陣を回収する。

 その後、フォルネウスに乗って、皆で深海エリアを移動する。その時、イモータルメガロドンとすれ違い、互いに手とヒレを振り合った。本当に私と敵対しなくなって良かった。

 深海エリアから大洋エリアに出て来た後、皆をゴエティアに移して、次のエリアへと向かう。

 次に向かったのは、北側の雪原、雪嶺、猛吹雪、氷河、氷点下、氷城、大雪原のエリアだ。その中で、氷河エリアに差し掛かった時にアスタロト達から念話が来た。


『気配がするわぁ』

『氷の下だな』

『寒そう』

「皆寒いのは平気?」


 ウェパルが寒そうと言っていたので、寒い中泳ぐのは大丈夫かのか確認した。


『大丈夫よぉ』

『問題ない』

『平気』


 寒そうと言っていたウェパルも平気らしい。ただ寒そうと思っただけなのかな。取り敢えず、氷河の氷を叩き割ってから、皆を出す。他のプレイヤーに見つかる前に、皆と一緒に氷河の中に入る。そして、フォルネウスに乗って、移動していく。アスタロトが私を抱いて、私がウェパルを抱くという形で乗っている。


「でも、氷河の中に魔法陣なんてあるの?」

「さっきと同じよぉ」

「え? 船って事? 氷河にあったっけ?」


 見た事がないけど、アプデで追加されていたりするから、一概に否定しきれない。


「というか、なんでアスタロトは分かるの?」


 水の力を持っている訳では無いアスタロトが船の存在を知っている事に違和感を覚えた。


「分からないわぁ。ただの予想よぉ」

「予想なのに、やけに自信満々だったけど」

「私達の魔法陣があった場所も水の中で、ここも水の中だから、繋げて予想したってだけだと思う。私もそう思う」

「そっか。まぁ、確かにそう考えるのが、普通かな」


 二人の魔法陣が船にあった以上、ここでも魔法陣のある船が沈んだと考えた方がすんなりと納得出来る。そもそもの話、何故船に魔法陣があるのかって問題はあるけど、そこは深く考えなくても良いかな。時が来れば分かるだろうし。


『もう見えてくるぞ』


 フォルネウスがそう言うので、進行方向を見てみると、そこにはフォルネウスやウェパルの魔法陣が刻まれていた金属製の船が沈んでいた。しかし、その船は半分程埋まっている。


「あの埋まっているところねぇ」

「表?」

「中だと思う」

「じゃあ、フォルネウスは周辺の警戒。ウェパルは案内をお願い。アスタロトは護衛ね」

『ああ』

「うん」

「ええ、分かったわぁ」


 身体が大きいフォルネウスに周辺の警戒を頼んで、案内をウェパルに変わって貰う。泳ぐ速度が遅いアスタロトをサポートするために、アスタロトと手を繋いで、血と影で固定する。


「いやぁ~ん、束縛みたいで嬉しいわぁ」

「アスタロト、変わった」

「そうなの?」

「こっちの世界では、基本的に無表情。無感動のアスタロトの名にふさわしい感じだった」


 無感動のアスタロトと呼ばれている理由は、クリフォトに対応しているからとかだけではなく、アスタロト自身にもしっかりとあったみたい。後ろにいるアスタロトを見てみたら、ニコニコと笑っていた。


「全然そんな感じないけど」

「だから、変わった。良い方向に変わってると思う」

「へぇ~、そうなんだぁ」

「ふふふ、恥ずかしいわぁ。でもぉ、主人には自分を曝け出せるのよぉ」


 アスタロトは、私の身体にぎゅっと抱きついてきた。特に気にするような事でもないので、そのままウェパルに付いていく。すると、船底に着いた。さらに、その奥へと進んでいく。今私達がいるのは、海底から大分下の方だ。本当に埋まっているらしい。


「あった」


 ウェパルがそう言う。着いたのは、船底の中で妙に開けた場所だ。その内の、私達にとって壁のようになっているところを指す。本当なら、そこは船底になっている筈だ。


「ここに触れれば良いわぁ」


 そう言われて壁になっている船底に触れると、魔法陣が浮き出る。おおっぴらに魔法陣を刻む事は許されていなかったと考えるべきかな。

 魔法陣が光り、翼の生えた男の悪魔が出て来た。


「これは……一体どういう事だ? 何故縛られている」

「この子は大罪を持つ悪魔でぇ、神々の子なのよぉ。それで理解出来るでしょぉ?」

「アスタロト……そういう事か……代償を払わずに首輪をし、力を与えるとはな。寧ろ、力を貰う代わりに俺達が代償を払っているようなものだな」

「良いじゃなぁい。こんな可愛い子に支配されるのよぉ」

「……お前は変わったな。まぁ、無気力に生きるよりは良い事ではあるのだろう」


 そう言うと、悪魔は私の方に向いて、胸に手を当てながら会釈した。


「我が名は、フォカロル。三十の軍団率いる悪魔公爵。貴女に忠誠を誓い仕えさせて貰う。微力ながら、貴女を守る力となろう」

「ありがとう。フォカロル。取り敢えず、私が指示するまでは、攻撃とかはなしで。私が攻撃されている時は別だけど」

「了解した。俺も無益な殺生は好まぬ。喜んで従おう」


 フォカロルがそんな事を言うので、ちらっとアスタロトを見る。


「こういう悪魔もいるのよぉ。悪魔が全員好戦的でぇ、血が大好きとは限らないのよぉ」


 フォカロルみたいな平和主義な悪魔も、しっかりと存在するらしい。まぁ、基本的に私の命令に従っているだけという説もあるけど。アスタロト達も、私の命令に逆らおうとは思っていないし。寧ろ、アスタロトの場合、命令される事に快感を覚えている節さえある。


「へぇ~、まぁ、いいや。フォカロルは、皆の他に魔法陣がある場所とか知ってる?」

「いや、知らんな。俺達は、全員の動向を把握している訳では無い。いつどこに召喚されたのかも把握している奴はいないだろう」


 他の悪魔達が世界を出入りしている事を感じ取る事は出来ないらしい。もし、どこに召喚されているとかが分かれば、態々エリアを飛び回る必要がないのだけど、こればかりは仕方ない。


「そういう事よぉ。でもぉ、魔法陣を感じ取れるのはぁ、全員変わらないからぁ、近くに来たら分かるわぁ」

「その通りだ。取り敢えず、この辺りには俺の他に魔法陣はないようだな」

「そっか。アスタロト達も同じ意見だったから、本当に皆分かるんだね。それじゃあ、他のところも探すから、協力してね」

「勿論だ」


 魔法陣を回収し船から出る。そして、フォルネウス合流し、氷河から出ようとすると、すぐ近くに大きな気配がある事に気付いた。


「玄武?」


 そこにいたのは、四神の玄武だった。四凶戦は終わっている。だから、もう守護者とかはないはず。私の考えは正しいようで、玄武から守護者に任命される事はなかった。ただし、ジッと私を見ている。


「こんばんは。私に何か用?」

『守護者よ。汝の働きに感謝する』


 玄武がそう言うと、玄武の甲羅片という素材を貰った。


「えっ、ありがとう」

『汝の旅がより良きものになる事を祈る』


 玄武はそう言って去って行った。四凶線をクリアしたプレイヤーへのご褒美イベントの一環だったのかな。この分だと、朱雀と白虎も何かくれるかもしれない。まぁ、何に使えるか分からないけれど。

 水から出た後は、皆をゴエティアに戻して飛び立つ。北のエリアは、まだあるけど、そこはまだ未探索なエリアなので、後回しにして、南のエリアへと向かった。

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