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【双剣】ともう一つのスキル

 アカリエの工房に来た私を、アカリは歓迎してくれる。そもそも歓迎してくれないって事の方があり得ないけど。


「今日は、珍しく早いね。どうかしたの?」

「師範から合格を貰って、【双剣】のスキルが取れるようになったから来たって感じ。ここなら、落ち着いて考えられるかなって」

「なるほどね。私なら、ハクちゃんから話を聞いているから、安心して話せるもんね」

「そういうこと」


 私はメニューを開いて、スキル一覧を見る。そこには、ウィンドウに書かれていた通り、【双剣】のスキルが増えていた。そして、もう一つ見た事のないスキルが増えている事に気が付いた。


「【血装術】?」

「何それ? それも師範のところで稽古したから?」

「ううん。字的に血関係だから、【吸血鬼】とか【操血】が関係していると思う」


 私は、【双剣】と【血装術】の説明を見る。


────────────────────────


【双剣】:対となる短剣の扱いに補正が入る。レベルが上がると、技を習得出来る。


【血装術】:武器に血を纏わせる事が出来る。攻撃力、耐久力、効果時間は、【吸血鬼】【血装術】のレベルに依存する。収得の際、【操血】【硬質化】を統合する。【操血】【硬質化】の効果は、【血装術】に継承される。


────────────────────────


 どうやら、【操血】と【硬質化】が一定レベルに達した事で、二つのスキルを統合強化させる事が出来るようになったみたい。


「血が武器に転用出来るみたいだね。それにしても、統合か……私は、まだ見たこと無いなぁ」

「【操血】と【硬質化】がなくならないのは、ホッとしたかな。二つとも、本当に便利なスキルだったし」

「確かにね。でも、【操血】はともかく、【硬質化】は、また取れるんじゃない?」

「ああ、アサルトバードから?」

「うん」


 【操血】は、スキル収得で取ったけど、【硬質化】はアサルトバードから吸血して取ったものだ。だから、また【硬質化】を獲得出来る可能性があるのではと、アカリは考えたみたいだ。


「う~ん、多分ないと思う。統合って事は、【血装術】は、【操血】でもあり【硬質化】でもあるって事だろうから、【血装術】の経験値になると思う」

「そういう考え方も出来るね。取り敢えず、デメリットはないみたいだから、取ってみて良いんじゃないかな?」

「うん。そうだね」


 アカリの後押しもあって、私は、【双剣】と【血装術】を収得する。


────────────────────────


ハク:【剣Lv36】【短剣Lv33】【双剣Lv1】【格闘Lv23】【拳Lv6】【蹴りLv7】【魔法才能Lv21】【支援魔法才能Lv21】【吸血鬼Lv28】【血装術Lv1】【夜霧Lv9】【執行者Lv31】【豪腕Lv10】

控え:【HP強化Lv30】【物理攻撃強化Lv28】【速度強化Lv31】【運強化Lv19】【脚力強化Lv40】【毒耐性Lv1】【麻痺耐性Lv3】【呪い耐性Lv1】【沈黙耐性Lv1】【暗闇耐性Lv1】【怒り耐性Lv1】【眠り耐性Lv1】【混乱耐性Lv1】【消化促進Lv13】【言語学Lv9】

SP:54


────────────────────────


 統合したおかげで、スキルスロットに空きが出来た。これは、ちょっと助かったかもしれない。スキルに関して考える時間が、また出来たから。


「あっ……」

「どうしたの?」


 自分のスキルを見ていたら、一つ気が付いた事があった。


「師範との稽古の時、夜だったから、【夜霧】使えば良かった……」


 道場が明るいから、時刻夜である事を失念していた。というか、【夜霧】自体、あまり使わないから、つい存在を忘れてしまう。これがあれば、師範の攻撃を避けつつ、そのまま攻勢に出られたかもしれない。


「まだまだ、スキルの有効活用が出来てないなぁ」

「まぁ、難しいよね。戦闘中って、色々考えられないもん。終わってからの方が冷静に見られるしね」

「まぁ、次に繋げられるって思えば良いか」

「うん。前向きに行こう」


 アカリと話しながら、お互いに笑い合う。アカリが辛い時には、私が励まして、私が落ち込んだら、アカリが励ましてくれる。長年幼馴染みをしているから、互いに互いを助け合うのが、普通になっている。

 本当にアカリと幼馴染みで良かった。一人で考えていたら、もっと卑屈になっていたと思う。

 そんな事を考えていると、アカリが手を鳴らす。


「取り敢えず、新しい武器を作ったら教えてね。腰装備を改良したりするから」

「うん。オッケー」


 双剣を作ったら、それも腰にぶら下げる事になるだろうから、その分の改良かな。何にせよ、アカリが作るのだから、不安は一つもない。


「後は、双剣の極意が知りたかったら来いって言われたのと、普通に稽古もつけてくれるんだってさ。ある意味至れり尽くせりって感じ」

「そうなんだ。双剣の極意っていうのは、【双剣】を取ったら、受けられるのかな?」

「多分、一定レベルは必要だと思う。極意ってくらいだし、ものすごく上げないといけないかな」

「もしかして、最大レベルまで?」

「最大レベルって、どのくらい?」


 スキルの最大レベルの情報は、私にはない。私よりも詳しいアカリなら、何か知っているかなと思って訊いてみたけど、アカリは首を横に振った。


「ごめんね。私にも分からないや」

「まぁ、そうだよね。始まって二ヶ月とかそこらだし。まだ最大レベルまで達した人はいないか。進化だって、ここ最近出て来たくらいだし」

「うん。条件が結構難しいからね。【裁縫師】とか三千個も防具とか作らないといけないし」

「うぇっ!? 三千か……まぁ、確かに、【吸血鬼】も千体のモンスターを吸血するって感じだったし、進化には、基本的に千単位が必要なのかもね」


 他のスキルにも進化の可能性があるとするなら、特定の行動を千単位でする必要があるかもしれない。


「って事は、また千体を吸血しないといけないのかな。結構早く条件達成出来そう」

「でも、【吸血鬼】って進化したスキルでしょ? もっと特別な条件とかもあるかもよ。今度は万単位とか」

「……いや、もう吸血は慣れたから良いけどさ。特別な条件か……考えられるのは、やっぱり昼間での活動かな」

「一番辛い状況で、何かをするとかはあり得るかもね」

「昼間の活動も、ちゃんとやろっと。それじゃあ、ラングさんのところに行って来るね」

「うん。いってらっしゃい」


 スキルの確認とかも終えたので、【双剣】のための武器をラングさんに作って貰うため、アカリエを出る。

 また戦闘スタイルを変えないといけないというのは、ちょっと大変だけど、基本的なものは変わらない。中心にあるのは、【吸血鬼】だ。違うのは、短剣が一本か二本かだけ。


「新しい事が出来るようになるのは、楽しいな。早く作って貰おっと」


 まず初めの目標は、師範とジャイアントトードに常勝する事。そして、熱帯の攻略だ。

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― 新着の感想 ―
[一言] この章をありがとう
[一言] 陽(ひ)を克服するつもりか……ならばやはり、昼の時間帯にて吸血のみで倒すのを前回から別カウントで10000体、吸血込みなら100000体になるな(爆速推理)
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