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吸血少女ののんびり気ままなゲームライフ  作者: 月輪林檎
出会いを楽しむ吸血少女
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受け入れ後の作業

 ギルドエリアに戻った私は、モートソグニルさんに師範と師匠、親方、セラフさんが来る事を伝える。


「なるほどな。道場でも作るか?」

「あった方が良いかもしれないですね。二軒お願い出来ますか?」

「分かった。任せな」


 モートソグニルさんが胸を叩いてそう言うと、すぐに作業に取りかかり始めた。師範と師匠でそれぞれ道場を構えて貰う。二人で同じにしたら、何か問題が出そうだし。


「あっ、ソルさんに連絡しておこう」


 師匠が刀刃の隠れ里から移動する事をソルさんにメッセージで知らせておく。今日は日曜日だから、ソルさんもログインしているみたいで、すぐに返事が来た。


『よく分からないけど、了解。プレイヤーに見つかって大変そうだったし、ゆっくりしてくださいって伝えておいて欲しいな』


 ギルドエリアに関する事だから、詳しくは書けなかったけど、ソルさんは即座に了解と返していた。ソルさんも刀刃の隠れ里の現状を知っていたみたいだから、師匠がゆっくり出来そうで良いと判断してくれたらしい。


「ソルさんには、今度もう少し詳しく説明しても良いかな……う~ん……そこら辺はアク姉と相談してみよう。そういうの得意そうだし」


 アク姉に丸投げする事に決めた私は、ギルドエリアで師範と師匠を待った。すると、思っていたよりも早く二人がやって来た。


「師範、師匠。いらっしゃい」

「ふむ。これが主の世界か」

「思っていたよりも本格的な世界ね。力が満ちていくのを感じるわ」


 師匠は手を握ったり開いたりしている。


「ここだと生気の補給が必要ないって事ですか?」

「ええ。ここまで力が満ちているのなら必要はなさそうね。それにしても久しぶりね」

「まさか、生きている間に、またお会い出来るとは思いませんでしたな。今後よろしくお願いします」

「ええ。よろしくね」


 師範と師匠は、互いに旧友に会うような感じで挨拶をしていた。まぁ、実際そうなのだけど。


「それじゃあ、それぞれの家を決めましょう。既に空き家はいくつか建てられているので、空き家の中から好きな場所を選んでください」

「うむ」

「ええ」


 師範と師匠の家を決めて、必要な家具を揃えていく。作らないといけなさそうなものは、後でドワーフの作業場に行って依頼する。


「それで、師匠達のこれから何ですが、一応お二人の道場を建設予定です。既に、着工していると思いますが、何か必要な物とかあります?」

「木刀と打ち込み台くらいね。後は実践あるのみ」

「同じく」

「分かりました。後、一応、ここの住人として神様以外にも人がいます。もしかしたら、弟子入り希望の方が来るかもしれません。あっ、私達みたいな人というわけじゃなくて、サクヤさんが治めている神桜都市の住人の方々です。【刀】や【双剣】だけじゃなくて、普通に戦い方や身体を鍛えるという意味合いでも、鍛錬の場としてお二人に指導をお願いしたいのですが」


 アク姉達は【刀】と【双剣】を求めていないだろうから、稽古ぐらいしかお願いしないと思う。でも、神桜都市の住人の中には戦う力が欲しいと思う人がいてもおかしくない。特に今回の事件を受けてね。だから、なるべくなら身体を鍛えられる機会を作ってあげたいと思い、二人にお願いする。


「そういう事なら構わないわよ」

「ああ。見込みのある者には、技術を伝授しよう」

「ありがとうございます」


 勿論弟子が出来るとは限らない。その時は私が通うことになるけど、元々対人戦の修行をさせて貰おうと思っていたから、通いやすくなって助かるくらいだ。

 二人が馴染むまでは時間が掛かるだろうけど、取り敢えずはこれで良し。後は、モートソグニルさんに相談して親方の住居の用意と親方が弟子入りしたがっているという話を通しておく。これで親方が来た時に話が円滑に進むだろう。

 そこら辺の話をした後、私がサクヤさんのお城に来ていた。お世話係の人がサクヤさんの居室まで案内してくれる。


「ハクさん、どうかされましたか?」


 サクヤさんは、書類仕事をしていたようで筆を机に置いて、いつものちゃぶ台の場所に座った。いきなり神桜都市を転移させたから、色々とやることがあるのだろう。


「お忙しい中すみません。ちょっとお話があって来ました」

「話ですか? どうぞ」


 いつも通り対面に座って話を始める。話す内容は、師範の師匠の事についてだ。二人が道場を開くことを街の皆に知らせて欲しいという旨を伝える。


「なるほど……分かりました。その際は、こちらでもお知らせさせてもらいます。身体を動かす良い機会になりますから。私もお願いしてみようお思います」

「えっ!? サクヤさんもですか!?」

「はい。ひ弱な身体では守りたいものも守れません。これを機に身体を鍛えてみようと思います!」


 今回の事件を経て、サクヤさんも奮起していた。さすがに、私みたいな超絶厳しい修行はされないと思うから、そこの心配はしないで大丈夫か。他にも神様が道場に来る事もあり得るのかな。そうなると、師範と師匠が緊張しそうだけど、


「頑張ってください。こちらでも、何かあればサポートしますから」

「はい。ありがとうございます。早速で悪いのですが、一つお願いがあります。神桜都市の周りに桜を広げて欲しいのです」

「全然お安い御用ですよ。ラウネに伝えておきますね。一応、こちらへと向かう道を確保しておくために、一部は開けておきますけど。神桜都市に関しても改築などの依頼があれば、モートソグニルさんに言って下さい。材料など提供から人手の派遣までしてくれると思います」

「あっ、それでしたら、神桜都市の職人達を弟子入りさせて欲しいのですが」

「それもお願いしたら頷いてくれると思います」


 神桜都市にも大工や鍛冶師はいる。その人達がドワーフの皆に弟子入りする事を止める理由はない。まぁ、ドワーフの皆が了承してくれたらだけど、そこの問題はないかな。多分了承してくれるだろうし。職人が増えるのは、ここの発展のためにも必要になるだろうしね。

 神桜都市の職人達も自分達が興味のある分野を見つけて、自由に弟子入りして欲しい。

 後は研究分野における人員の募集もしておきたい。現状ドロシーさんが主にやっている形になるけど、こっちの分野で進められるものが増えればアク姉達のためになる。もしかしたら、そこから他の分野に繋げられる可能性もゼロではないからね。


「神桜都市の皆にもある程度のルールは設けますけど、自由に生きて欲しいので、何か要望があれば言って下さい」

「何から何まで助かります。私にも出来る事があれば、何でも言って下さい。ハクさんのためなら、この身体でも何でも差し出しますので」

「あはは……嬉しいですけど、自分の身体は大事にして下さいね」


 そう言って笑い合ってから、サクヤさんのお城を後にした。次に向かうのは、オシリスさんやヤマさんのところだ。ちょっと戦えるか心配だけど、先延ばしにしている方が失礼だと思うので、神界に赴く事に決めた。やらないといけない事は、これくらいで終わりの筈なので、これが終わったら探索に戻る。これなら明日には戻れるかな。

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