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吸血少女ののんびり気ままなゲームライフ  作者: 月輪林檎
出会いを楽しむ吸血少女
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代理試練

 師匠の代理として試験をするために、取り敢えず服装も変える。アカリから貰った普段着だと師匠っぽくないので、サクヤさんに貰った着物を着る事にした。後で絶対に直そうと心に決める。


「二刀流は有りですか?」

「無しよ」

「じゃあ、神殺しだけですか……まぁ、一撃で倒せるから良いか。じゃあ、行ってきますね」

「ええ。よろしくね」


 狐面を着けて、神殺しを装備する。


「あ、そうだ」


 私だってバレないように髪の長さも短くしてから家を出る。すると、大量のプレイヤー達がこちらに注目した。全部で何十人もいる。情報を公開したボケがいるのだろう。まぁ、善意からだろうから、ボケとは違うのかもしれないけど、私の修行場を荒らさないで欲しかった。この恨みを晴らすためにも、私は一歩踏み込む。


『私に勝てたら、【刀】を伝授しよう! 死にたくない者は、この場から去れ!』


 面倒くさいから死にたくないプレイヤーは去って貰おうとそう言った。

 いつもよりも声が低くガサガサとした感じになっていた。ちょっと聞き取りにくいかと思ったけど、プレイヤー達の耳には届いたから良いかな。

 これを受けても、死んでも生き返る事が出来るプレイヤー達が逃げるという事はなかった。一応警告しておいたから良いか。

 まずは魅了の効果を切る。アフロディーテさんの祝福のおかげで、ここら辺の調整が出来るようになったのは、純粋に助かる。おかげで、私だとバレる可能性も減るし。まぁ、私が魅了を振りまいている事を知っているプレイヤーの方が少ないだろうけど。

 腰に差した神殺しを抜く。久しぶりに鞘を腰に差しているけど、上手く扱えるかな。ソルさんみたいな事が出来ると戦いの幅が広がるのだけど、どちらかというと、二刀流に慣れているので、鞘を剣に見立てた方が戦いやすかったりする。

 さて、口調に気を付けて、相手を挑発しないと。


『そうか。面倒だ。全員で掛かって来い。ああ、これは【刀】の試練だ。魔法は使うな』


 これくらいで良いかな。魔法で勝って【刀】が手に入ると思わないで欲しいので、取り敢えずそう言っておいた。属性技の範囲ならある程度使って良いものもあるけど、魔法は、ちょっとね。

 プレイヤー達は苛立った様子だった。何十人もいうプレイヤー達を一遍に相手にするというのだから、舐められていると感じるのも無理はないだろう。まぁ、正直な事を言うと、その方が有り難い。集団相手になれば、私は超強い。ついさっきそうなったから。


「舐めやがって!!」


 プレイヤーがそう叫びながら突っ込んで来た。師匠になるかもしれない相手に、その口の利き方はないのではと思ってしまう。これから、修行を着けて貰う事になるかもしれないっていうのに。

 突っ込んで来たプレイヤーが片手剣を振り下ろしてくる。大振りの隙だらけの攻撃。


「【唐竹割り】!」


 技を使って攻撃を加速。でも、半身にするだけで避けられる。そして、技後硬直により動けなくなったプレイヤーの首を落とす。神殺しの効果で、首を落とされたプレイヤーは即死する。

 直後、私の口の中に血の味が広がっていき、分身体が血を吸った時と同じ不快感だ。でも、これがケールさんの祝福の効果なのだろう。これからは、自分の意思で吸血しなくても血を飲み続けるのか。エグいけど、私に取っては有り難い面も大きいので我慢だ。

 そのまま駆けていき、こちらに向かってくるプレイヤー達と戦う。【刀】を取りに来たという事もあり、皆片手剣ばかりだ。中には杖を持っているプレイヤーもいたけど、剣に切り替えている。私が魔法を使うなって言ったからかな。

 二人同時に斬り掛かって来るので、一気に加速して一人の腕を斬ってから、その流れで、もう一人の首を落とす。腕が欠損状態に陥ったプレイヤーを蹴り飛ばして、他のプレイヤーに命中する。

 そんな私の背後から斬り掛かろうとしているプレイヤーが剣を振り下ろす前に、私が振り返って腕ごと首を落とす。

 そこから地を蹴って、奥にいる三人の背後に回り首を一気に落とす。そうしていく度に、私のステータスが上昇していく。フォノイさんとアンドロクタシアさんの祝福の効果だ。

 これに加えて、アレスさん、ヒュスミーネーさんの祝福で戦闘中のステータスが上昇している。他にも常にステータスを上げる祝福が何重にも重なっているので、私は他のプレイヤーよりもステータス自体が高い。スキルが封印されているイベントならまだしも、ここで圧倒出来なければ、私のプレイヤースキルが低すぎるという事になる。ある意味では、私が求めていたプレイヤースキルの上昇にぴったりの戦いなのかな。

 どんどんと動きを加速させていき、私に斬り掛かってくるプレイヤーの武器を破壊しつつ、武器を失ったプレイヤーの首を落とす。どんどんと上昇するステータスに振り回されないようにしながら、高速で移動していき、次々にプレイヤーを倒して行く。

 この戦闘で気付いた事があったけど、ニュンペーさんとの踊りが役に立っている。この高速戦闘の中でも、ステップの踏み方に、その要素があったのだ。ただ踊りを教えてもらいながら楽しんでいただけだと思っていたけど、ちゃんと自分の中に活きているという事が分かる。自然と口角が上がるのが分かった。狐面を着けておいて良かった。プレイヤーからしたら、嘲られていると思われるかもしれないし。

 技を使って追い詰めようとしてくるプレイヤーもいたけど、普通に避けられるので、私に取っては有り難い事だ。これだから、私は技を使わないようにしている。

 また、プレイヤー達が内輪揉めを起こし始めた。互いの呼吸が合わないという事が苛立たしいらしい。

 デュスノミアーさんの祝福で、ここの集団という秩序が乱れ始めているのかな。私が動き回るというのもあって、全員の足並みも揃いにくくなっているし。そう考えると、恐ろしい祝福だ。

 普段通りに行動しようとしても、一瞬身体の動きが止まる等が起きるだけで、連携が乱れる。プレイヤー自身の意識を変えているわけじゃない。一瞬だけ身体に送られる命令の反応が遅れているという感じだと思う。思うように動けないのは、ストレスが溜まるし、周りに当たりたくなるのも分かる。

 そんな乱れたプレイヤー達は、本当に烏合の衆でしかないので、段々と減っていくプレイヤー達。その中で杖を取りだして魔法を使おうとしたプレイヤーがいた。まぁ、魔法自体を斬る事が出来るから、問題はないのだけど、魔法の種類によっては、刀刃隠れ里に被害が出るかもしれない。

 先に倒そうかと思っていたら、そのプレイヤーの身体が止まった。何か慌てているように見える。そして、そのままHPが尽きた。何故と思ったけど、すぐにある事を思い出した。

 それは、ホルコスさんの祝福。私が言った魔法を使うなという言葉が、そのままこの戦いのルールになり、それに参加したという事は誓いを立てたという事になっているらしい。

 それを破ったから、そのプレイヤーの身体を呪いが蝕んで倒したという事みたいだ。もしかしたら、呪いの状態異常を治そうとまた魔法を使おうとして、何重にも誓いを破っていたみたいな事もあり得るのかな。

 そんなプレイヤーを見たからか、他にも魔法を使おうとしていたプレイヤー達が慌てて剣に持ち替えていた。ルール違反は許しませんみたいな感じだ。ホルコスさんには感謝だね。

 そんな調子で次々にプレイヤーを倒していき、最終的に全滅させる事が出来た。結局、一撃も食らわなかったなぁ……

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