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吸血少女ののんびり気ままなゲームライフ  作者: 月輪林檎
出会いを楽しむ吸血少女
532/606

【愛のお守り】の力

 エアリー達に殲滅する範囲を絞って貰って、エレクに乗りながら、どの程度テイム出来るのか確かめてみる事にした。すると、雷獣を一体、帯電スライム五体、雷霊三体をテイム出来た。


────────────────────


雷獣:【雷電牙】【雷電爪】【支配(雷)】【無限雷】【避雷針】【俊敏な肉体】【雷電走】


────────────────────


 雷獣は、速度重視なスキル構成みたい。でも攻撃力も高そうかな。大きさとかから私を乗せるのは無理そうだけどね。まぁ、それはさておき、問題は……


「テイム出来すぎ……」

『お姉様の魅力が伝わっているようですね』

「私というより、フレイヤさんとアフロディーテさんの愛が周囲に影響していると思うけどね」


 ちょっと嬉しい事を言ってくれるエアリーを撫でていると、ライが無言の主張で背中に抱きついてくる。そうなると、後ろにいるライを撫でられないので、後ろに手を回してライの腰を掴み前に寄せる。すると、ライは嬉しそうに密着した。喜んでくれているなら良かった。


「はぁ……それにしても名前どうしよう……」


 こんなに沢山のテイムをしてしまっては名付けが困る。ただでさえ、ドワーフやエルフの皆の名前を全部覚えられたわけじゃないっていうのに。そこから自分で名前を考えないといけないのは大変だ。アカリみたいにシルクとミルクの二体だけっていうのなら楽なのだけど。


『代表に名前を付けたらどうでしょう? お姉様が管理するとすれば、かなり大変でしょうから代表者を決めて、その代表に指示を委任するのです。同一種族であれば、離れていてもある程度の意思疎通が可能と聞きます』

「それって、エアリー達神霊もって事?」

『いえ、私達は属性が違いますから。この場合は、属性も全て同一の種族です』

「なるほどね」


 種族と言っているけど、内容的には同一モンスターだと遠距離意思疎通が可能という事だ。つまり、代表者を一人決めておく事で、上司と部下の関係を作り出して、私が一々指示しなくても良いという事になる。まぁ、基本的に自由意志に任せるつもりだから、そこまで指示出しはあまりしないのだけどね。


「それで良いかな。教えてくれてありがとうね」

『いえ、お役に立てたのなら良かったです』


 エアリーにお礼を言っていると、ライが私の服を引っ張った。


「おっ、何か見つけた?」

『……』こくり


 ライが指差す方向は、少しだけ丘になっている地形が見える場所だった。丘の上か下かに何かしらがあるという事だろう。


「エレク、丘に向かって」

『ブルルッ!』


 エレクは方向転換すると、まっすぐ丘の方へと向かってくれる。態々手綱で指示を出さなくても声で言えば従ってくれるので、本当に有り難い。これだけで、エレクの頭の良さが良く分かる。

 そうして丘の上に来ると、下よりもぴりぴりとした感覚が強い。平地よりも高い場所だからかな。焦げた切り株みたいなものが見えるけど、ここら辺には昔木が生えていたって事かな。そう思っていると、その切り株の中に帯電している何かがある事に気付いた。


「ライ、あれの事?」

『……』こくり


 ライが頷いたので、あれがライの感じたものみたい。エアリーがいるので、私が一人で近づく事にする。すると、そこにあったのは、金属の宝箱だった。


「おぅ……バチッってなりそう」


 触ったら静電気どころかコンセントに手を突っ込んだようになりそう。まぁ、つまり感電死しそうという事だ。学校で注意される理由がよく分かる。こうして目の前にあると、死の予感がプンプンするから。

 私には関係ないけど。


 宝箱を触って、帯電している電気を全て吸収する。そして、いつも通りの解錠方法で宝箱を開けると、そこには黄色い宝石が嵌められた黄色い聖杖が入っていた。雷の模様が入っているそれは、雷精霊の聖杖だ。


「ライの杖が入ってた。はい」

『……』こくっこくっ


 ライは嬉しそうに二回頷くと笑った。そんなライの頭を優しく撫でてあげる。私みたいに雷を無限に吸収出来ないと、あれを開けるのは難しそうだし、聖杖が入っているのも頷ける。他に何かないかと、地面に感覚を集中させてみる。


「下は特になしか。エアリー」

『風が通る場所に怪しげな場所は……いえ、ありますね。遺跡のような場所が。そこから地下に続いているようです。ここからかなり離れているので、全貌は分かりませんが、奥まで続いているように思えます』

「なるほどね。気になるけど、全体を調べてから向かってみようか」

『はい』

「それじゃあ、エレク。全体を駆け巡ろう。もう少し速くしても大丈夫だよ。視界を増やして見える範囲を増やすから」

『ブルルッ!』


 エレクが速度を上げる。私は視界を増やして、見えるものがないかを確認しながら探索を続けていった。

 すると、エアリーが遺跡とは違う何かを見つけた。そちらに向かってみると、黄昏エリアのような廃墟が見えた。基礎の一部しか残っていないので、本当にそこに家があったという事しか分からない。その廃墟の跡は、いくつも続いているので、それが廃村などであるという事が分かった。


「青い靄はなし。なら、【降霊術】か」


 【降霊術】を使用すると、綺麗なお姉さんが出て来た。祭儀用の思わしき綺麗な衣服を着ている。


『あら? 【降霊術】?』

「はい。この場所で何があったんですか?」


 話が早いので、早速質問してみる。すると、お姉さんは頭に手を当てながら思い出していた。


『私は雨乞いの儀式をして……それが何かしらの干渉を受けて、雷が降り注ぐようになったの。それが、この雷の原因。もうこの状態から戻す事は出来ない。これがこの場所に定着してしまったから。その雷に皆が打たれたの。その後、降り注ぐ雷でこうなったのね』

「そうなんですか……この辺りに何か隠されたものとかはありませんか?」


 ここが滅んだ理由は聞けたので、周囲に何かないか確認する。


『何かねぇ……私が儀式をした場所の下には、何かが埋まっているって話があったわ。あの中央辺りよ』

「ありがとうございます」

『ええ、どういたしまして』


 お姉さんが消えていくので、また【降霊術】を使う。すると、再びお姉さんが出て来た。


「あれ? もしかして、ここにはお姉さんしか……」

『そうみたいね。他の人達は、もう成仏したのかしら。私は、この状況を作り出した張本人だから、他よりもここに対する想いが強いのかもね』

「なるほど……」

『さっきの場所は調べたの?』

「いえ、他の人にも話を聞こうと思っていたので」

『それじゃあ、私にも見せてくれる?』

「構いませんよ」


 お姉さんを連れて、廃村の中央に行き、地面を探る。すると、本当に何かが埋まっていたので、地面を操作して引っ張り出した。すると、出て来たのは、サッカーボール大の丸い機械のようなもの。名前は、高速演算装置と言うらしい。


「高速演算装置というものらしいんですが、お姉さんは何か知っていますか?」

『いいえ……あっ、でも、この下には知性を司る守り神がいると言われていたかも。もしかしたら、その知性を司るというのが……』

「演算装置ですし、その可能性はありますね。もしかして、これが雷を呼んだんでしょうか?」

『そう……ね……もしかしたら、そうかもしれないわ。この辺りは元々雷が多かったから、地面を走る雷が何かしたのかも……』


 高速演算装置で雨乞いの儀式にどんな影響が出るのか分からないけど、ゲームの中だし何が起きてもおかしくはないかもしれない。


『ありがとう。胸のつっかえが少し取れたわ』

「いえ、特に何もしてませんし」

『謙虚なのね。それじゃあ……本当にありがとうね』


 お姉さんはそう言いながら、光の粒になって消えていった。本当に成仏してしまったのかもしれない。


「これが真実だと良いけど……」


 私は高速演算装置を仕舞って、エレクに乗り探索を再開する。今日の探索は、雷鳴ヶ原エリアの三分の一を探索し終えたところで終わった。

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