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吸血少女ののんびり気ままなゲームライフ  作者: 月輪林檎
出会いを楽しむ吸血少女
530/606

原生林エリアのボスと予想外

 翌日。ログインした私は、そのまま原生林に向かって飛んでいった。まだ原生林エリアのボスを倒していないので、先に倒して次のエリアへの道だけでも開けておこうと思ったからだ。空を飛べて一直線に進む事が出来るので、この方法で移動してボスエリアまで移動する方が楽だった。

 ボスエリアに転移しようとすると、テイムモンスター禁止エリアになっている注意文が出て来た。ここもプレイヤーで挑まないといけないらしい。酒呑童子程の強さがないと良いけど。

 そう思いながらボスエリアに転移すると、中央に木で出来たゴーレムが立っていた。五メートルくらいの大きさがある。名前はウッドゴーレム。ウッドゴーレムは、私を見つけると、真っ直ぐ拳を地面に向かって振り下ろしてきた。地面がひび割れていき、私に向かってくるけど、その前に地面を直していく。地面は土なので、このくらいは私でも出来る。

 そのままウッドゴーレムの身体を縛り着けようとしたけど、ウッドゴーレムは私に向かってゆっくりと歩いてくる。ウッドゴーレムの身体は木だから、私の支配で止められる可能性を考えたけど、そこまで弱くはないみたい。

 私は、ウッドゴーレムの足元の土を動かして膝まで落とす。さらに、ウッドゴーレムの背後に回って、その足に触れて【絶対零度】で凍結させていく。ウッドゴーレムの身体が凍っていき、どんどんと動けなくなっていく。その背中に乗って、吸血を始める。ウッドゴーレムの身体をどんどんと飲み込んでいく。この時、【絶対零度】と【黒腐侵蝕】でしっかりと動きを止めつつダメージを加算していく。

 ウッドゴーレムを全て食べ終えて、【頑丈】のスキルを獲ることが出来た。


────────────────────


【頑丈】:防御力が大きく上昇する。ノックバック距離が減少する。食事による毒が掛かりにくくなる。控えでも効果を発揮する。


────────────────────


 まぁ、防御力が上がるのは良い事だ。酒呑童子みたいなのと戦う事になるかもしれないし。あれは防御力は関係ないのかもしれないけど。

 それにしても、こっちのボスモンスターの方が弱かったな。酒呑童子達は、必ずしも戦う必要はないから、あっちの方が楽かもしれないのか。


「さてと、原生林は終わったし、次は西に行くかな」


 北と南は環境的に危ないだけと分かる場所なので、後回しにし、よく分からない西から攻略していく事にした。私に環境ダメージは意味ないしね。

 そう思って西に進もうと思っていると、アカリからメッセージが届いた。


『ちょっとギルドエリアに戻ってこれる?』


 何かの用事があるらしい。了解と送ってギルドエリアに戻ってきた。そこで驚くべき事があった。改築中の屋敷の前にドロシーさんがいたのだ。


「あれ? ドロシーさん?」

『あら? 早かったわね』


 ドロシーさんは、いつも通りの感じで迎えてくれる。でも、それがギルドエリアとなると全くいつも通りじゃない。


「どうして……あの場所から動けないのでは?」


 【降霊術】で喚び出せるのに、あの場から動けるとは思えない。


『そう思っていたのだけどね。あの研究室に通っていたからか、アカリとの波長が合い始めたのよ。そのままアカリに取り憑く形で移動出来たわ。今は、アカリが私用の研究室を作ってくれているから、そこに取り憑く準備をしている感じね』

「えぇ~……そんな事が出来るんですか?」

『私も驚いたわよ。ハクみたいな一時的な波長の合わせ方じゃなくて、時間を掛けて馴染んでいき波長が合っていく事で出来るようになるみたいね。今では、アカリも私の事を見る事が出来るわ』

「へぇ~、じゃあ、あの場所はどうするんですか?」

『アカリがあの中の物を全部回収して、研究室に置いてくれるらしいわ』


 もうあの研究室を放棄するという事らしい。アカリが私を呼んだ理由がよく分かる。そして、普段のアカリ達の心境もよく理解出来た。


『それにしても住み心地の良い場所ね』

「一応、神界ですから。ドロシーさんは、何か違和感とかないですか?」


 ドロシーさんは幽霊なので、この場所で成仏してしまう可能性があるのではと思って確認しておいた。


『大丈夫よ。心配してくれてありがとう。寧ろ、ここの方が力が湧き上がるわ。物体への干渉力も上がっているのよ』

「そうなんですか? 取り敢えず、何も問題がないのなら良かったです。神様には会いましたか?」

『ええ。私に気付いたのかオーディン様とも顔を合せられたわ。それだけでもここに来た価値はあったわね。取り敢えず、研究成果はあなた達に還元するわ。ここは素材も良いものが揃っている事だしね。ただ、ハクは使わないかもしれないわね』

「あぁ~……そうかもしれないですね」


 私は戦闘でアイテムを使わない。毒も回復も自前でどうにか出来てしまうし、属性攻撃も自分でどうにか出来るからだ。何なら、回復に関しては自動回復で勝手に高速回復していくから、あまり気にする必要はないしね。


「ドロシーさ~ん……って、ハクちゃん! 良かった。来てくれたんだね」

「了解って言ったじゃん。ドロシーさんから話は聞いたよ。研究室の方は完成した?」

「うん。大分大きくなっちゃったけど、取り敢えずは完成したよ。ドロシーさんには悪いのですが、他の神様も利用して大丈夫ですか?」

『ええ。構わないわよ。寧ろ、その方が研究が捗ると思うわ。ありがとう』


 アカリの案内で、ドロシーさんの研究室……というより、研究棟が見えてきた。本当に大きく、学校の校舎くらいある。


「滅茶苦茶大きいじゃん」

「書斎とか作ってたら、こんな大きさになっちゃった。ハクちゃんも禁術の本を読みたかったら、そこの書斎に行けば読めるよ」

「ありがとう。もう電気も引いてるんだ?」

「うん。こっちに回しても問題はないからね。電気を使った研究もあるだろうから、一応繋いであるよ。本格的な研究設備も追加してあるし、モートソグニルさん達が手伝ってくれたから、短い工期でもしっかりとした造りになってるよ」

「へぇ~、まぁ、爆発するかもしれないしね」

『そうね』


 ドロシーさんが肯定すると、本当に爆発しそうで怖い。まぁ、アカリも爆発させているし、そのための処理とかもしているだろうから、あまり気にしないでも大丈夫かな。

 そしてドロシーさんが研究棟に入っていくと、研究棟が仄かに光ったような気がした。


『これで、ここに取り憑いたわ。不思議ね。初めて入ったのに馴染むのを感じるわ』

「元々あった家具や器具があるからですかね?」

『そうかもしれないわね。ここの住人になったからには、あなた達に尽くすわ。何か研究して欲しいものがあったら、いつでも言いなさい』

「はい。ありがとうございます」

「頼りにしてます」


 ドロシーさんは、強気な笑みで私達に向けると、そのまま研究棟に入っていった。任せろって事かな。ここ数日で、どんどんと住人が増えていく。このギルドエリアは一体どうなってしまうのか。まぁ、私達に損はないから良いかな。

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