表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
吸血少女ののんびり気ままなゲームライフ  作者: 月輪林檎
出会いを楽しむ吸血少女
511/606

北欧世界で対談

 北欧世界のヴァーラスキャールヴに転移した瞬間。正面からトールさんがハンマーを振り下ろしてきた。私は咄嗟に白百合と黒百合を交差させて受け止める。祝福のおかげか、ギリギリ受け止める事が出来た。


「はっ! 強くなったな!」


 トールさんは嬉しそうにハンマーに込める力を上げる。こっちも鬼を解放して、白百合と黒百合に血を纏わせる。これだけやっていて、足元の地面は割れない。


「これを防げるかぁ!?」


 トールさんの上から雷が落ちる。絶対にヤバいと思ったので、アテナさんの祝福でその雷を阻む。


「お? はははは!! やるなぁ!!」


 私は、白百合と黒百合に込める力を上げる。どうにか弾き返そうとしていると、ピキっという音が聞こえた。


「え?」


 次の瞬間、白百合と黒百合が砕ける。同時に、トールさんのハンマーが私に当たりそうになるので、【夜霧の執行者】を任意使用して、夜霧になり避ける。白百合と黒百合は破損状態になってしまった。


「あぁ……壊れちゃった……」


 初めてここまで壊れたので、ちょっとショックだった。


「す、すまん……」


 これには、トールさんも申し訳なさそうにしていた。ここにフレイヤさんがやって来た、後ろから抱きしめてきた。


「大丈夫よ。スヴァルトアルフヘイムで、インゴットに変えて貰えば、作り直せるわ」

「普通に元に戻す事は出来ないんですか?」

「う~ん……そこまでの破損状態になったら、厳しいかもしれないわね」

「そうですか……じゃあ、後で、そこに行ってみます」

「私も一緒に行ってあげる。でも、その前に、オーディン様から皆に話がいって、協力してくれる神が集まったから、話をしてみて。ハクちゃんが祝福を授けるのに相応しいって思ったら、授けてくれるから」


 こっちの神様は、私と話してから決めるという風に言っていたみたい。理由としては、オーディンさんとかが必要以上に説明しなかったからだと思う。オリュンポスでは、ゼウスさんやヘラさんとかが若干盛った話をしていたみたいだから。本人にしてみれば、そこまで盛っていないのかもしれないけど。

 そんな説明の後に、フレイヤさんが耳打ちしてくる。


「トール様が最初に攻撃を仕掛けてきたのは、アピールの一つ。他の神々に、ハクちゃんは強いし利口だという事を分からせるためだったの。だから、剣が壊れちゃったのは、本当に予想外の予定外。トール様も悪いと思っているから許してあげて」

「あ、はい」

「よし。じゃあ、そこの椅子に座って」


 そう言ってフレイヤさんが椅子を指す。オーディンさんの前に置かれた椅子を。そこに座れば、私の背後にオーディンさんがいるという状態になる。オリュンポスでもここでも圧迫面接をする事になるのか。


「えっと……」

「はい。座る!」


 迷っていると、フレイヤさんに無理矢理座らされた。そして、何故か頬にキスをしてから離れていく。これもアピールの一つに含まれるのかな。というか、オーディンさんの前にいるという事もオーディンさんが認めているというアピールなのかも。

 出来れば、私の前にも椅子があって欲しかったけど、私の力では椅子を作り出す事は出来なかった。ここの建材を操る事は出来ないみたい。なので、こっちでは神様に立たせたまま話をする事になりそう。


 まず私の前に立ったのは、男女の神様だった。黒い髪と黒いドレスの女神様と金髪に青い服を着た男の子の神様だ。

 挨拶は、しっかりと立ってやった方が良いと思って、前に立たれたのと同時に私も立ち上がる。すると、女神様の方は少し驚いていた。でも、すぐに微笑んで挨拶をしてくれる。


「私はノート。この子は、私の息子のダグ。夜を司る女神と昼を司る神よ」

「よろしく!」

「ハクです。よろしくお願いします」


 そう言って挨拶すると、やっぱりノートさんは意外というような表情をしている。


「話に聞いていた通り、腰が低いのね。でも、神を敬う感じではないわね。大人に対する子供のようだわ」

「あ、すみません。不敬でしたよね」

「いえ、良いのよ。ちょっと驚いただけだから」

「ねぇ、もう昼の祝福を受けてるの?」


 ノートさんと話していたら、ダグさんがそう訊いてきた。背の高さで言えば、私より少し大きいくらいかな。それでも、神様である事には変わりないので、砕けた口調は駄目だよね。


「はい。ヘメラさんから祝福を頂いています。後は、アマテラスさんからも」

「えぇ~……僕の祝福を授ける意味あるかな……?」

「祝福はいくつ持っていても良いものよ。あなたは、祝福を授かって何を為すの?」

「えっ……特にはないですが……強いて言えば、冒険するくらいでしょうか。今回は、私が持つ世界を擬似的な神界にするという目的がありますが」

「では、私達が祝福を授けないと言ったらどうでしょう?」

「まぁ、仕方ないと思いますね。私にその資格がなかったという事ですから。これまでが貰いすぎていたというのもありますし……」

「なるほど。ダグは、他に聞きたい事ある?」

「ううん。母さんの質問で聞きたい事は聞けたから」

「そう。じゃあ、私は祝福を授けるわ」

「僕も!」


 ノートさんとダグさんは、二人とも祝福を授ける事に決めたらしい。


────────────────────


【北欧夜神の祝福】:夜の間、全ステータスが大幅に上昇する。ギルドエリアの夜が祝福される。控えでも効果を発揮する。


【北欧昼神の祝福】:昼の間、全ステータスが大幅に上昇する。ギルドエリアの昼が祝福される。控えでも効果を発揮する。


────────────────────


 ニュクスさんとヘメラさんの内容よりも、簡潔な内容だった。やっぱり、ニュクスさんとヘメラさんは原初神だから、特別な祝福になっているのだと思う。


「ありがとうございます」

「どういたしまして」

「頑張って!」


 ノートさんとダグさんは、私に手を振って戻っていった。そして、私の肩にフギンが留まった。


『馬鹿が! お前は座ってて良いんだよ!』


 それだけ言うと、オーディンさんの元に戻っていく。フギンなりに気を遣ってくれたのかな。そう言われて、座らないというのもフギンに悪いので一度座る事にする。

 そして、私の前に神様が来たら立ち上がって挨拶する。オリュンポスでは、あちらも座ってからの挨拶だったから、立ち上がる事はなかった。

 次に来た神様も二人組だった。男女というところも同じだけど、今度の神様はダグさんみたいに子供のような姿をした神様達だった。何だか綺麗な神様だ。フレイヤさんとかアフロディーテさんを見ていると、普通に感じてしまうけど、十分に綺麗な神様だと思う


「初めまして! 私はソール!」

「僕はマーニ」

「あなたがフェンリルを解放したから、私達も解放されたの! ありがとうね!」

「ありがとう」

「えっと、どういたしまして?」


 どういう事か全く分からないけど、取り敢えず、フェンリルの封印に関わっていたのは間違いない。感謝されるという事は無理矢理やらされていたのかな。まぁ、オーディンさんならやりかねないけど。


「ずっと追いかけられるのは怖かったの。本当よ。だから、あなたには感謝しても仕切れないわ!」

「うん。だから、祝福をあげる」

「助けてくれたから助けてあげるってわけ!」

「なるほど。ありがとうございます」


 そう言うと、二人とも嬉しそうに笑って祝福を授けてくれた。


────────────────────


【北欧太陽神の祝福】:太陽が出ている間、全ステータスが大きく上昇し、HPが継続回復し、状態異常が早く回復する。ギルドエリアの太陽が祝福される。控えでも効果を発揮する。


【北欧月神の祝福】:月が出ている間、全ステータスが大幅に上昇し、MPが継続回復し、状態異常が早く回復する。ギルドエリアの月が祝福される。控えでも効果を発揮する。


────────────────────


 この二つの祝福は、【太陽光の加護】と【月光の加護】の対象に含まれた。


「じゃあ、またね!」

「ばいばい」


 ソールさんとマーニさんが手を振って去って行くので、私も手を振って見送り、椅子に座る。またオリュンポスみたいに長くなるかなと思ったけど、待機しているのは三人なので、こっちはすぐに終わるかな。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ