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吸血少女ののんびり気ままなゲームライフ  作者: 月輪林檎
出会いを楽しむ吸血少女

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女神様ホイホイ

 お茶会が一時間続いたところで、私は腰を上げた。


「すみません。そろそろオリュンポスに行ってきます」

「あっ、ごめんね。長居させちゃって」

「いえ、私も楽しかったので気にしないでください」

「またいらしてください。その時は、私もご案内します」

「はい。ありがとうございます」


 フレイヤさんとエイルさんと別れて、オリュンポスに転移する。


「さてと、ひとまずアテナさんのところに行くかな」


 アテナさんを探して歩き始めると、急に正面に誰かが立ちはだかった。それは、前に絡まれたアレスさんだった。


「こんにちは、アレスさん」

「お、おう……前はすまなかった。俺の勘違いだったようだ」

「まぁ、そうですね」

「詫びに祝福をやる」

「ありがとうございます」


 アレスさんも反省しているみたいなので、ちゃんと受け入れる事にした。これまで会わなかったのは、アテナさんとかに止められていたりしたのだろうか。


────────────────────


【戦いの神の祝福】:全ステータスが大幅に上昇する。物理攻撃力が大幅に上昇する。戦闘時に、物理攻撃力が大幅に上昇する。敵を倒す毎に物理攻撃力が上昇していく。控えでも効果を発揮する。


────────────────────


 物理攻撃力に特化した祝福を手に入れた。まぁ、物理を主体としている私としては、結構有り難い祝福だ。


「ではな」

「はい。ありがとうございました」


 アレスさんは、私に頭を下げてからどこに行った。仲間想いなだけで悪い神様じゃないのかな。

 アレスさんを見送ったら、急に視界が塞がれた。光が少し入ってきているから、手で目を覆われているという事は分かる。こういう事をしてくる神様は、オリュンポスにいない。ヘスティアさんならやってきそうだけど、多分ギルドエリアにいるだろうし、アテナさんとヘラさんはしない。ヘベさんは多分ヘラさんと一緒にいるだろうし。


「えっと……アテナさん?」


 一応、ここにいる可能性があるアテナさんの名前を呼ぶ。すると、耳元に口が近づいてきて甘い声が聞こえてきた。


「ち・が・う・わ」


 手が退けられたので、後ろを振り返ると、フレイヤさんと同じくらい綺麗な神様がいた。胸が大きく、服も大分開けている。大分えっちな感じの神様だ。でも、不潔な感じはしない。本当に綺麗な神様だった。


「私はアフロディーテ。美の女神よ。あなた可愛いわね。ヘスティアが連れてきた子でしょ?」

「あ、はい。ハクです。よろしくお願いします」

「よろしくって事は食べちゃって良いのかしら?」

「!?」


 ドストレートにえっちな神様が出て来た。フレイヤさんもえっちな感じはするけど、私に恋人がいる事を知っていたから、手を出そうとはしていなかったし、本当に初めてかもしれない。


「恋人がいるので」

「あら、愛が複数あっても良いとは思わない?」

「一途なので」

「そう。フラれちゃったわね。じゃあ、私とお茶でもしない? あなたに興味があったの」


 凄い。言葉の裏で、あなたの身体となっていそうな雰囲気がぷんぷんする。


「残念だけど、二人きりにはさせないわよ」


 そう言って現れたのは、腰に手を当てながらこっちを見ているアテナさんだった。


「あら、アテナ。何? ヤキモチ?」

「ち、違うわよ! この子の貞操は守らないといけないでしょ!」

「ふ~ん……まぁ、良いわぁ。そう。お気に入りなのね。この子に純潔を捧げるのかしら?」

「ぶふっ!? ば、馬鹿な事言ってんじゃないわよ!! 全く……」


 アテナさんはアフロディーテさんにからかわれて百面相をしていた。そして、ちらっと私を見てから、腕を引っ張り、そのまま後ろから抱きしめられた。アフロディーテさんから守ろうとしてくれているみたいだ。アフロディーテさんは、そんなにヤバい神様なのかな。フレイヤさんも似たようなものだったけど、普通に接する事が出来ているし、アテナさんの考えすぎなのではと思わなくもない。


「とにかく、あなたと二人きりにはさせられないって事は覚えておきなさい。私だけじゃなくて、ヘラ様も怒るわよ」

「そうね……あなたとヘラ様を相手にするのは大変だから、肝に銘じておくわ。その代わり、絶対にあなたも参加しなさいね」

「分かってるわよ。ハクも、アフロディーテと二人きりになるのはやめておきなさい。割と流れで身体を求められるかもしれないわ」

「分かりました。密室には行かないようにします」

「……まぁ、それで良いわ」


 一瞬言葉が止まったのは何でだろうか。もしかして、外でも構わない神様が多いとかかな。さすがに、私も外での経験はない……というより、外ではしたくないから気を付けないと。

 そのままアテナさん、アフロディーテさんと一緒に歩いていると、弓を持った女神様と遭遇した。綺麗な茶髪の神様で、何だかアテナさんと似たような雰囲気がある気がする。似ていないのは、胸の大きさくらいかな。慎ましい。私みたい。


「珍しい組み合わせね。その子は?」

「ヘスティアが連れてきた子よ」

「ふ~ん。こんにちは。私はアルテミス。狩猟と純潔の神よ」

「初めまして、ハクです。よろしくお願いします」

「よろしくね。それで、なんで二人が一緒にいるの?」

「アフロディーテと二人でお茶をしそうになっていたから、私が交ざって守ろうとしているのよ」

「ふ~ん。まぁ、アフロディーテなら、気に入りそうではあるか。私も一緒していいかしら?」

「え? 私は構いませんが、大丈夫ですか?」

「良いわよぉ。私はあなたがいれば、それで良いわ」


 何故かアフロディーテさんに気に入られている。全く心当たりがないのだけど、まさか【色欲の大罪】で同類扱いされているとかはないよね。

 そうしてアルテミスさんを加えて歩いていると、また綺麗な女神様と遭遇した。


「あらぁ? な~に、その可愛い子は?」


 ちょっとのんびりとした口調で、おっとりとした神様だ。でも、見た感じお姉さんという印象を受ける。フレ姉やアク姉と違う感じだ。フレ姉とアク姉が、もっとお淑やかだったこんな感じだったのかな。


「ヘスティアが連れてきた子よ」

「ヘスティアが? あらあら、ヘスティアの妹であり姉のデメテルよ」

「ハクです。よろしくお願いします」

「は~い。よろしくねぇ。随分珍しい組み合わせだと思ったけれど、この子と遊びに行くの?」

「お茶をしようって話になっています」

「そ~なの~じゃあ、私も一緒に行くわ」


 有無を言わせずデメテルさんが加わった。何故か歩く度にお茶会メンバーが増えている。ここからまた増えるのかと思ったけど、その前にアフロディーテさんの神殿に着いた。

 妖怪女子会ならぬ神様女子会が始まろうとしていた。全員が美人さん過ぎて、自分が場違いなような気がしてくるけど、恐らく私が主賓だから、しっかりしないと。

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