天使対天使
ビルに潜んでいたプレイヤー達が、崩壊に巻き込まれて、私の流れ弾によって倒れていた。ソルさんみたいに動けたら逃げられたものの。まぁ、無理だろうけど。
やっぱりこういう手段では、ソルさんを倒す事は出来ない。だから、ソルさんに向かわせていた瓦礫を周囲に散らばせて、ビルや通りに落としていった。他のプレイヤーからしたら、急に瓦礫が降ってくるので堪ったものではないだろう。知った事では無いけど。
【熾天使翼】を広げて、一気にソルさんに突っ込む。すると、ソルさんの背後に天使の羽と車輪のようなものが出て来た。それを私は天上界で見た事がある。
「【座天使】……」
「正解」
ソルさんがそう言うと、後ろの車輪が回転して、私に向かってきた。車輪は、途中で炎を纏ってくる。私は、黒百合と白百合を会わせて大斧に変え、車輪とぶつける。
車輪は思いの外重い。私の【支配(力)】による干渉も効かないようなので、大斧の方に力を付与して、車輪を弾く。その直後に、背後にソルさんが移動してきて、刀を振ってきた。大斧から片手を放して、血刀を出し防ぐ。片手だと力が心許ないので、力を付与して防御を突破されないようにしつつ、ソルさんの攻撃を利用して吹っ飛び、距離を取る。そのまま、空を移動し続ける。ソルさんも私を追うように向かってきた。
ここからは、【雷化】持ち同士の高速戦闘になる。ソルさんはMP管理のためか、【雷化】を適宜オンオフしている。それに対して、馬鹿みたいなMPをしている私は、【雷化】したまま攻撃していた。それに反応してくるソルさんは本当に異常だと思う。
こっちは風の刃に毒を乗せて放ったり、炎やら雷やら様々な攻撃をしているのに、それすらも紙一重で避け、逆にこっちに攻撃を命中させてくる。おかげで、【夜霧の執行者】を消費していく事になった。これは鬼を解放しても変わらない。息吹も使っているけど、ソルさんの車輪がブレスを防いでくる。【熾天使】よりも【座天使】の方が優遇されているきがする。【熾天使】は属性強化と無効に、ステータス上昇だけだし。
「ハクちゃん……何か封印されてる?」
「え? あ、はい。武器が一つとスキルが沢山」
「やっぱり? ハクちゃんならもっと驚くような攻撃をしてくると思ってたんだよね。私もメイン武器が封印されちゃってさぁ。せっかくの神器だったんだけど」
「あぁ……神器は封印されるのかもしれないですね。私としては、【座天使】も封印されて欲しかったですが」
「私は、魔法じゃない属性攻撃が封印されて欲しかったかな」
「私、何も出来なくなりますよ」
「それはつまらないか」
足に血や氷で作った剣を作り出したりして、不規則な攻撃をしたりしても対応される。でも、こうして強敵と戦う事で得られる経験値は多い。足に作った血の刃に風と毒を纏わせて放ったり、自分からビルに突っ込んで、ビルを瓦礫に変えて紛れ込みながら攻撃をしたり、いつも通り工夫を凝らしているけど、ソルさんの防御を突破出来ない。
刀だけでも厄介なのに、車輪が嫌なところで攻撃したり、好機になり得るところで防御してくるので、本当に鉄壁だった。しかも、車輪が自動で動いているというよりもソルさんが操っているような気がする。
なら、こっちも同じような事をすれば良い。そんな考えが思い付き、血の丸鋸を飛ばすなどをしていたけど、それも防がれた。でも、車輪対策にはなった。
戦場が空だったから、他プレイヤーへの直接的被害はあまりなかった。ビルをぶっ壊したりして間接的に巻き込んだりはしていたと思うけど。
地上から見たら、空は酷い状態だったと思う。私が遠慮無しに属性をぶちまけたりしているから。そんな戦いを繰り広げていると、イベントの終了時刻がやってきた。
「また時間切れだ……ソルさんは強すぎますよ」
「まぁ、長い事ゲームをしているからね。私はハクちゃんの壁として立ちはだかってあげよう。まぁ、本来の力だったら、私の方が負ける可能性があるけど」
確かに、封印されているスキルをフルに使えたら、もう少し変わってきたと思う。まぁ、その結果周囲への被害が異常に広がると思うけど。
「そういえば、ソルさんの神器って、どんなのなんですか? 私は神殺しっていうので、人系なら一撃で倒せますし、色々なモンスターへの特効があります」
「へぇ~……そりゃ封印だ。私は、雷切って言う雷属性の刀の神器だね。雷を放てるし、異常に素早く振う事が出来る刀かな。【雷化】も合わせて、昔のスタイルで戦えるから、私にとっては良い神器かな。【抜刀術】と一緒に使うと、広範囲に雷が広がって強いよ」
「へぇ~、私の神器とは全く違う感じなんですね。神器って言っても、色々あるんですね。私の神器は本当にえげつない効果ですけど、ソルさんの神器はスキルでも再現出来そうですし」
「う~ん……私はずっと使っている武器を神器に出来ただけだからなぁ……ハクちゃんは?」
「師匠と師匠の師匠から受け継いだ刀を合わせて神器にした感じです」
「あぁ……それかもね。特殊な武器を神器にすれば、ハクちゃんが持っている神殺しみたいな神器になるんじゃない? 正直名前だけでおっかないもんね」
「そうですよね。神殺しを持って神様と知り合いになっていますしね」
「へぇ~、このゲーム神様がいるんだ?」
「はい。もう二十人以上会ってますね。うちのギルドエリアにも住んでいますし」
「へぇ~、私も会えると良いなぁ」
「ですね」
そんな話をしていると、ようやく順位発表が始まる。一位は私だった。二位から二桁の差がついている。それでも二位はソルさんでもフレ姉でもない知らないプレイヤーだった。フレ姉は六位で、ソルさんは三位に入っている。フレ姉はアク姉かゲルダさんとでもぶつかったのかな。ソルさん以外にフレ姉を止めるとしたら、私には二人しか思い付かないし。
「……こんな倒した覚え……あっ、分身体か」
「えぇ……ハクちゃん分身出来るの?」
「出来ますけど、私の半分くらいの強さですよ」
「普通のプレイヤーからしたら、脅威だと思うよ」
「う~ん……まぁ、ステータスの化物みたいな節はありますしね」
「いやいや、あっ、転移が始まる」
「じゃあ、またの機会に」
「うん。またね」
ソルさんと手を振り合って別れる。イベントは優勝。選択式レアアイテムボックスを三つと選択式アイテムボックスを五つと五百万Gを貰った。この感じだと次の時は分身体も封印されるね。間違いなく。てか、分身体は一体どんな戦い方をしたのだろう……




