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吸血少女ののんびり気ままなゲームライフ  作者: 月輪林檎
東方の守護者の吸血少女

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ポートタウンで【降霊術】

 平日を挟んで土曜日。平日の間は、ドロシーさんのところで禁術の本を読みつつ、神様達のところに顔を出しに行った。イザナミさんとサクヤさんの文通を届けたりもしておいた。二人とも嬉しそうにしていたから、こっちまで嬉しくなる。

 一番凄かったのは、ヘラさんやフレイヤさんの元に行った時だ。前よりも凄く歓迎されて、色々な話をした。まぁ、基本的に世間話だったから、そこまで大きな収穫はなかったけど、楽しかった。

 そして今日は、ポートタウンで【降霊術】を行う事にした。ポートタウンで誰にも見えない場所を探し続けて、結局海の中に入る事にした。さすがに、海の中にプレイヤーはいない。海に入る理由なんて海産物を獲るくらいしかないしね。

 海の中で【降霊術】を使うと、筋骨隆々の男性が出て来た。見た感じ海の男という印象が強い。


『おわっ!? 海の中か!?』

「あ、はい。【降霊術】で喚ばせてもらいました」


 相手は幽霊で私は【環境適応】で水中でも声を出せるから、普通に意思疎通が出来る。


『お、おう……そうか。それで、何か用か? さすがに、海の中からじゃ、漁日和かどうかも分からねぇぞ?』

「漁に関して訊きたい訳ではありませんので大丈夫です。この街かこの周辺に何か隠されたものとかはありませんか? 些細なものでも良いので」

『隠されたもの……か……沖の方に沈没船があると聞くが、それくらいか』

「沈没船……ですか。なるほど。分かりました。ありがとうございます」

『おう。じゃあな』


 海エリアと大洋エリアは改めて調べてみても良いかもしれない。アップデートで沈没船が追加されている可能性もあるし。

 続いて【降霊術】を使用すると、綺麗なお姉さんが出て来た。着ている服も綺麗で踊り子のような巫女のような


『あら? ここは……海の中?』

「はい。【降霊術】で喚びました」

『そう……じゃあ、私はちゃんと死んだのね……』

「ちゃんと?」


 不穏な感じがして聞き返す。すると、お姉さんは少し目を伏せる。言いにくい事なのかな。


『海が荒れ続けていた時、私は生贄として海に捧げられたの。海に投げ出された後の事は覚えていなかったから……』

「そうでしたか……」

『あっ、気にしないで。もう終わった事だから。それで、私を喚びだしたのは何か用があるからでしょう?』


 お姉さんは、本当に気にしていないようにそう言う。目を伏せたのは、これを話したら、私が気を遣うかもしれないと思ったからなのかな。


「あ、はい。この街か周辺に隠されたものとかってありませんか? どんな些細なものでも良いんです」

『隠されたもの? 詳しくは知らないけれど、この海の中に洞窟が隠されているっていうのは聞いた事があるかな』

「洞窟ですか?」

『うん。陸に面した場所じゃなくて、沖の方に隠れているみたい。だから探すのが大変って感じだったかな。探すなら気を付けて』

「はい。ありがとうございました」


 これでお姉さんは消えた。


「はぁ……レインみたいな生贄になった人が結構いるんだ……どこでもありそう。後二人から情報を集めよう」


 そうして【降霊術】を使用していくと、二人の男性漁師が出て来た。この二人からは、さっきお姉さんが教えてくれた洞窟についてと逆に海に面した崖の下に洞窟が隠れているという話を聞く事が出来た。


「沈没船に洞窟が二つか……急いで回れば良いかな。【召喚・レイン】」

『わっ、海の中?』

「うん。この海に沈没船とか洞窟があるみたいなんだけど感じる?」

『う~ん……何となく分かるよ』

「よし。じゃあ、連れて行って」

『うん!』


 レインに引っ張って貰って移動する。熱帯の時は、川の洞窟だから移動速度を調節していたみたいで、海での移動はこれまでよりも遙かに速かった。これなら結構早く回れそうだ。


『ここが沈没船!』


 そう言ってレインが止まる。周囲を見回してもそれらしきものが見えないと思ったら、ほんの少しだけマストの先端が飛び出ているだけだった。


「うわっ……これは分からんわ。よく分かったね」

『えっへん!』


 胸を張って得意げにしているレインの頭を撫でて褒めてあげる。実際、これだけ隠れているのに気付いたのは凄い。ここまで埋まっていたら、ソイルの領域だろうし。海底に降りて、地面の下を確認すると結構大きな沈没船だと分かる。


「レイン、私の傍にいて」

『うん』


 そう言ってレインが抱きついてくる。まぁ、これが一番近いから良いか。

 このままだと沈没船を調べられないので、周囲の砂などを退かしつつ、沈没船を持ち上げて、表に出していく。その際に砂などが巻き上がるので、それらを私達の周囲から遠ざけて海を濁らせないように海底へと戻していく。この際、レインも力を貸してくれているみたいで、水流によって砂の動きがある程度調整されていた。これはこれで助かる。

 そうして表に出した沈没船は結構な大きさをしていた。木造船だから、壊れないかちょっと怖いけど、触れないように移動すれば問題ないかな。


『お姉さん。宝箱があるみたいだけど、もう蓋が開いてるよ』

「本当? 宝物とか散らばってない?」

『う~ん……なさげかな』

「そっか。じゃあ、何かしらの情報がないかだけ探ろうか」

『うん』


 レインと一緒に沈没船の中に入る。一部屋一部屋調べて行くけど、基本的には何も無かった。強奪された後みたいな感じだ。船底の方は、樽とかが落ちていたけど、中身は何もなかった。


「食糧が入っていたのかな。全部空っぽだよね?」

『うん。中身が入ってるのはないよ』

「沈んでいく間に無くなった感じかな。船底は何もなさそうだね」

『うん。これ以外にはないよ』

「じゃあ、次の部屋に行こう」


 レインの案内で着いたところは、大きな部屋だった。多分、船長の部屋とかかな。そこには宝箱が置かれていた。これはレインが感じ取った宝箱だ。蓋が開いているし。レインの言う通り、宝箱の周囲に宝が散らばっている感じはない。


「本当に宝はないね」

『お姉さん、これは?』

「ん?」


 レインが何か見つけたようなので、そちらに移動すると、レインが紙を拾っていた。それは根源の紙だった。


「おぉ……レイン良い子!」

『えっへん!』


 早速根源の紙を使用すると、土のようになっていった。これで手に入ったのは、【根源(土)】だった。思えば、土の根源も持っていなかった。これで土も完全支配まで進化させられる。これだけでも十分な収穫だ。

 そこから本棚とかも調べてみたけど、特にこれといった情報は見当たらないと思っていたら、机の引き出しに紙が入っていた。千切れたような紙切れなので、得られる情報は少ない。


『──を見つけ保護しようとした手遅れだった。──

──悲しいがこれが現実だ。未だに生贄の文化が──

──海は静まっているが、これが彼女のおかげだ──

──気が滅入る。どうか、彼女が安らかに眠れる──』


 これは、さっきのお姉さんの遺体を拾い上げた時の記録なのかな。ここからも生贄文化があったと推測させられる。まぁ、実際にあったのだけど。まぁ、沈んだ時の記録とかがあれば良かったけど、沈んでいる最中に記録を受けられる方が珍しいか。

 次は洞窟を探す。これもレイン頼みだ。

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