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吸血少女ののんびり気ままなゲームライフ  作者: 月輪林檎
東方の守護者の吸血少女
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ドロシーさんの有能さ

 ドロシーさんの椅子に座って魔法の基礎知識を刻み込まれた事で、何が起こったかと言うと、魔法スキルへの経験値が増える事になった。上位の魔法スキルになると、レベルが上がるまでに必要な経験値が増えるから、これで普通のスキルと同じくらいになると良いかな。


「この椅子のある部屋って、これくらいしかしないんですか?」

『そうね。いっそ改造してみる?』

「そんな事が出来るんですか?」

『あなただと頑張らないと無理だと思うけれど、やろうと思えば出来るはずよ』

「なるほど……」


 これは多分生産系スキルが必要になるのかな。そうなれば、一つ確認しておきたい事がある。


「ここって私以外の人を呼ばない方が良いですか?」

『呼ぶ相手は選んだ方が良いわね。そのくらい危険ではあるから』

「じゃあ、大丈夫ですね。私の恋人が裁縫とか鍛冶とか色々な分野に手を伸ばしているんです。なので、こういうものの改造も出来るかもしれません」

『そう。それなら良いかもしれないわね。もう一度確認しておくけど、その人は大丈夫なのよね?』


 念入りに確認される。ドロシーさん自身、ここの危険さを知っているからこその確認だ。アカリが信用されないからって、ここで苛つく程子供では無い。寧ろ、堂々と信用できると断言する方が、私にとっては重要だ。自慢の恋人だからね。


「大丈夫です。じゃあ、早速呼びますね」


 アカリにメッセージを送ると、オッケーという返事が来た。アカリもしっかりと権限レベルを最大まで上げていたので、すぐに来てくれた。私が本棚から出て来たら、ぽかんと口を開いて驚いていた。


「えっと……ハクちゃん、これは?」

「ドロシーさんの研究室。早く入って」


 アカリの手を引いてポータルまで案内する。そこでドロシーさんが待っていた。


「ドロシーさん、恋人のアカリです」

『あらまぁ、女の子なのね。それじゃあ、ポータルに登録して貰って』

「私が登録した後に登録したら、私の登録が消えませんか?」

『ああ、さっき調節しておいたから大丈夫』


 何てこと無いように言っているけど、正直本当に凄い事だと思う。幽霊の状態でそんなことが出来るという点でもそうだ。


「そういえば、【降霊術】を使わなくてもアカリと波長を合わせられるんですか?」

『無理ね。この子からは、神の力を感じないから、私と波長を合わせる事は出来ないわ。まぁ、私は何も気にしないから、ポルターガイストにだけ気を付けるように伝えておいて』


 さっきから思っていたけど、アカリはドロシーさんの事は見えていなかった。【降霊術】を使えばと思ったけど、やっぱり【神力】がないとドロシーさんに合わせるのは難しいらしい。そして、ドロシーさんから合せるのも厳しいみたい。だから、アカリはドロシーさんと会話せずにここを利用するしかない。


「分かりました。アカリ、ここの持ち主であるドロシーさんも使うから、いきなり物が動いても気にしないで。後は、それにぶつからないように気を付けて」

「うん。私は会えないって事で良いんだよね?」

「【神力】持ちで【降霊術】を使わないといけないみたい。結構厳しい条件だよね。サクヤさんに会わないとほぼ無理だろうし」

「だね。じゃあ、ハクちゃんが案内してくれる感じ?」

「そういう事。そうだ、ドロシーさん。あの椅子にアカリも座って大丈夫ですか?」


 そう訊くと、ドロシーさんは少し考え始めた。


『未知数ね。あなたは神の力があるから確実に大丈夫って判断出来たけど、その子となると……大丈夫だとは思うのだけど……』

「う~ん、まぁ、アカリは魔法のスキルを持っていないし、今すぐ必要という訳でもありませんから、改造してから考えるって事で大丈夫ですかね?」

『それならその方が良いかもしれないわね』

「じゃあ、そうします。じゃあ、アカリにも一通り説明するね」

「うん。お願い」


 ドロシーさんから受けた説明をアカリにしていく。すると、アカリも唖然としていた。仕方ない。こんなものが図書館の地下に隠されていたのだから。


「なるほど……それで、この椅子を改造するのに、私の力を使えないかって思ったって事ね。う~ん……どうだろう? 結構特殊な処理を施されているって言うか……この椅子だけじゃなくて、ここの部屋全体が関わっているって感じがする」

『この子鋭いわね』

「正解みたい」

『面白いから、全部この子に任せるわ。分析を一からして、自分で良い感じに改良するように伝えてくれる?』

「自分で考えて思うように改良するようにって。アカリに全部お任せみたいだよ」

「えっ!? で、出来るかな……」

「大丈夫だって。私があげたものも上手く利用したりするじゃん。アカリなら、ここを良い感じで改造出来るって。まぁ、どういう機能が付くのか分からないから、それくらいしか言えないだけだけど」


 正直、ドロシーさんが何を改造してどうしようとしていたのかは、全く分からない。これに関しては、私が生産職じゃないからというのもありそうだけど、それ以上にドロシーさんの頭の良さが、私よりも遙か上という事もある。フレ姉とかアク姉なら理解出来るのかな。


「ここにある本って全部読んでも良いんだよね?」

「うん。大丈夫だよ」

「よし! ここで学んだ事がギルドエリアの工場でも活かせるかもしれないし、私頑張る!」

「うん! 頑張って!」

『私も観察させて貰うわ。あなた達は面白そうだから。この子にも【神力】があればねぇ』

「【神力】は割と難しいと思いますけどねぇ。そもそもドロシーさんはどうやって手に入れたんですか?」

『いつの間にか手に入れていたわね』

「わぁ……」


 どこかで神茶でも飲んだのかな。それでも色々と準備が必要な気がするけど、本当にドロシーさんも規格外な人だったのだと分かる。

 アカリは、早速ドロシーさんのところにある本を読みふけりに行った。やる気満々なのは良い事だ。


「それじゃあ、私は失礼しますね。他の人とも【降霊術】で話したいので」

『分かったわ。でも、他に良い話なんて聞けるかしら? この周囲には何も無いし、街に隠されたものもここくらいよ?』

「そうなんですか? 外の雨の中に何か隠されていたりとかはしないんですか?」

『う~ん……ないはずだけれど……そうね。そう言われると自信が無くなってきたわ。私は【降霊術】には反応しないようにするから、自由に使って。何かあれば教えて頂戴』

「分かりました」


 ドロシーさんと約束してから、アカリの様子を確認し図書館内に戻る。そこで気付いたけど、もう【降霊術】に反応しないようにするっていうのは、私の【降霊術】だけの話だよね。これで他のプレイヤーのフラグまで消えるとかは……まぁ、考えても仕方ないか。そういう風な設定を通した運営が悪い。

 そして、ここで【降霊術】を使って話を聞いていく。お爺さんとお姉さんが出て来たけど、特に重要な情報は出てこなかった。毎回何かしらの情報が出て来ると考えている方が、都合が良すぎるって感じかな。何度か確認してからドロシーさんにも共有すると、ドロシーさんも新しい事が分かるかもしれないとわくわくしていたのかな。まぁ、それは私も同じなのだけど。

 今日は、そのままドロシーさんのところで本を読んで過ごす事にする。他の街を調べても中途半端で終わりそうだしね。

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