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吸血少女ののんびり気ままなゲームライフ  作者: 月輪林檎
東方の守護者の吸血少女

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四凶戦

 そのまま時間を潰していると、時間がやって来た。参加するという設定にしていたので、すぐに身体の周りを光が覆う。


「それじゃあ、行ってきます」

「いってらっしゃい」

『武運を祈る』


 ヘスティアさんとフェンリルに見送られて、私は四凶戦の舞台へと転移した。転移してきた場所は、殺風景な空間だった。地面になる部分は、灰色の半透明な何かになっている。ここが、あらゆる空間とは全く違う場所である事が一目で分かる。これが、四神が形成する特殊な結界の中ということなのかな。天候も分かりづらい。今が昼なのか夜なのかも分からない。これだとアマテラスさんとツクヨミさんのスキルは使えないかな。

 私の他には、五人のプレイヤーがいる。全員に共通点があるようには見えないから、スキルもしくは装備している武具に使われている素材かな。剣と盾持ち、槍持ち、杖持ちが三人という構成だ。そして、この六人でパーティーを組むという事では無く、それぞれがソロの状態になるらしい。これって、私の【暴食の大罪】とかが悪さをしそうな気がする。

 そんな事を思っていると、私達の後ろに青龍が降りてきた。


『守護者達に加護を』


 青龍がそう言った瞬間、私達にデバフ無効のバフが掛かる。これで、私のせいでデバフが掛かるという事はなさそう。


『来るぞ。心して掛かれ』


 青龍はそう言って、私達から顔を逸らして、私達の更に向こうを見た。私達も釣られて、その方向を見る。すると、そこには人の顔と虎の身体、犬のような体毛、象か猪のような凶悪な牙が生えている。名前はトウコツ。下卑た笑みで私達を見ていた。HPは四本あり、レイドボスと同じだった。

 そして、一度咆哮すると、その後ろから、黒い虎が無数に現れてくる。そちらに名前はない。ただの黒い虎みたい。


「へへ、俺のスキルにしてやるぜ」


 槍持ちのプレイヤーがそう言った。どうやら【吸血】持ちみたい。


「ああ? あれのスキルは俺のものだ!」


 剣と盾持ちのプレイヤーがそう言う。本当に【吸血】の持ち主が増えたみたいだ。ただ、正直なところ、トウコツとの戦いで吸血をする余裕があるかどうかは疑問だ。私も何度か吸血する余裕もないような戦いがあった。その類いのモンスターのような気がする。

 剣と盾持ち、槍持ちのプレイヤーは、そのまま突っ込んでいった。


「あ~あ、協調性のない奴等……私達はどう動く?」


 杖持ちの一人が私達に相談してくる。残っているのは、男性一人と女性二人の杖持ちプレイヤーのみ。つまり、魔法使いのプレイヤー達だ。


「あ~……俺達はあの虎を殲滅しながら、時折本体を攻撃する感じでいいんじゃないか? 彼奴らに合せるのは大変そうだ」

「そうですね。私は、回復魔法を使えるので、回復優先でいきます」

「それじゃあ、私は攻撃ね。あなたは?」


 話が私に振られる。


「私は遊撃で」


 それだけ言って、【悪魔王翼】で空を飛ぶ。【悪魔翼】の情報は出ているはずなので、一番似ているこれが目立たない飛び方の一つだった。そして、高所を取った私は、【極雷】をトウコツに向かって放つ。【神雷】の効果によって神聖属性が乗り、虹色に輝く雷撃がトウコツに迫る。トウコツは避けられずに受け、一段目HPの一割を失った。その攻撃で、私にヘイトが集中する。

 トウコツは、私に向かって空を駆けてきた。それに続くように黒い虎達も追ってくる。それに対して、【灰燼】で広範囲を焼く。その中をトウコツは駆け抜けてきたが、続いてくる黒い虎達は焼き尽くされた。どうやら虎達のHPは、そこまで高くはないみたい。

 迫るトウコツに対して、私は神殺しを出し、【雷化】で背後に回る。唐突に私が消えたので、トウコツは一瞬動きを止める事になった。その後、私に気付いたけど、私が神殺しで攻撃する方が早かった。

 トウコツの周りをバレルロールするように動き、らせん状に攻撃を与える。そうして、トウコツの正面に抜けた後、その頭に向かって、ゼウスさんの雷霆を放つ。トウコツは、雷霆によって地面まで吹き飛ばされる。この一連の攻撃で、トウコツのHPは半分以下まで削れた。雷の威力が異常に上がっているという事がよく分かる。まぁ、神殺しの効果も含まれているけど。

 トウコツは、先行していたプレイヤー二人の近くに落ちた。その二人がトウコツに攻撃していく。私程じゃないけど、ダメージを重ねている。そこに近づいてくる黒い虎達を魔法使い達が蹴散らしていた。


「守護者に選ばれるだけあって、結構強いのか。なら、私も虎の掃討に掛かるかな」


 私はどんどんと雷を落としていく。雷はまるで雨のように降り注ぎ、虎達を焼き尽くしていった。でも、それで虎が全滅するという事はなかった。虎は、地平の向こうから無限に現れる。


「虎を攻撃するのは、得策じゃないか。そうなれば、トウコツを倒して即行でケリを付けるのが良いかな」


 近接職のプレイヤー達は、かなり健闘している。一人がヘイトを稼ぎつつ、トウコツからの攻撃を防いで、もう一人がリーチを活かして的確にダメージを稼いでいる。でも、やっぱりトウコツを吸血する余裕はないみたいだ。二人ともHPをどんどんと減らしているので、回復職の魔法使いが適宜回復している。

 だから、私も近接戦で加わる。神殺しに血を吸わせつつ、【神雷】を纏わせる。そして、【雷化】でトウコツの真上まで移動して、思いっきり神殺しを振り下ろした。その攻撃が命中するのと同時に、激しい雷鳴が轟き、トウコツの身体に【神雷】が落ちる。トウコツの身体が地面に叩き付けられる。さっきもそうだけど、ここの地面に叩き付けても埋まる事はないらしい。でも、叩き付けられるダメージは負うようで、トウコツの一段目のHPを削り切った。ついでに、衝撃波で周囲の虎も吹っ飛んでいく。


「そんな事出来るなら、さっさとやれ!」


 槍持ちからそんな事を言われた。まぁ、大ダメージを与えられる手段があるなら、先に使えという気持ちは分かるには分かるけど、下手したら自分達が巻き込まれて死ぬという事を考慮に入れていないのかな。取り敢えず、面倒くさいので、無視して上空に飛び上がる。槍持ちは、まだトウコツの傍で喚いていた。剣と盾持ちのプレイヤーは、すぐにトウコツから離れて魔法使い達との中間地点に移動していた。しっかりと戦わないと危ないとようやく判断してくれたのかな。

 この間に、魔法使い達が虎の数を減らしている。全てを倒す事は出来ないけど、倒さないと無限に増え続けるので、なるべく数は減らしておいた方が良い。

 二段目のHPに突入したトウコツは、身体に黒い靄を纏う。そして、衝撃波を周囲に飛ばした。当然、私に文句を言っていた槍使いは吹っ飛ばされて回復を受けていた。

 トウコツは高笑いしながら、私に向かってくる。さすがに大ダメージを与えた事もあって、ヘイトが私に移ったみたいだ。後は、私のスキルのせいもあるかな。空を走ってくるトウコツは、私を牙で突き刺そうとしてくるので、その攻撃から避けつつ神殺しで斬る。トウコツも虎の身体を持っているだけあって、かなり速い。祝福でステータスがかなり上がっている事もあり、割と簡単に避けられているけど、かなり面倒くさい相手だ。

 この間に、下で他のプレイヤー達が虎と戦っていた。守護者に選ばれるくらいには強いので、全く苦戦はしていない。魔法使い達も私に援護はしない。高速戦闘中だから、下手な援護は邪魔にしかならないので、良い判断だと思う。

 そのまましばらくの間は、私がトウコツと戦い、他のプレイヤー達が虎を足止めするという形になった。

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― 新着の感想 ―
新年あけましておめでとうございます~! いつも楽しく読んでます! 病気は大変でしたね、いろいろ流行ってますので無理せずに。 さて、決戦! もしもだけど、負けたりしたら何か?プレイヤーみんなか、方角…
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