表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
吸血少女ののんびり気ままなゲームライフ  作者: 月輪林檎
吸血少女の歩む道

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

38/875

平原で寄り道

 迷惑プレイヤーがいなくなったのもあって、私とアク姉、サツキさんは、空き家から出て、広場へと歩いていった。すると、広場から四人組が近づいて来た。その四人も私が知っている人達だった。アク姉のパーティーメンバーだというのはすぐに分かった。いつも同じようなアバターでやっているからね。


「ハクちゃん、大丈夫だった?」


 その内一人が、私の頭を撫でながらそう言った。緑色の髪を背中まで伸ばしたエルフのメイティさんだ。いつも回復役をやっているので、ここでも回復役をしていると思う。アク姉が前に言っていた話から、メイティさんが支援魔法も使っているのだと思う。

 ローブのような服を着ていて、綺麗な緑色の瞳が優しく私を見ていた。

 メイティさんは、現実でもゲーム内でも、いつも優しく頭を撫でてくれるので、もう一人の姉みたいな人だ。


「大丈夫ですよ。皆さんが来てくれましたし、あのまま家の上にいても相手は何も出来なかったでしょうから。ものすごく目立ったと思いますが」

「それはそれで不本意だったでしょ。よく頑張ったね。偉い偉い」


 フレ姉やアク姉とは違う正面から与えられる優しさに思わず笑顔になってしまう。アク姉も過剰なスキンシップがなければ、同じ感じなのだけど。


「運がなかったわね。ハクちゃんにしては珍しい事だけど」


 そう言いながらこっちの頬を突っついてくるのは、幅広の帽子を被った魔法使いみたいな服装のアメスさんだ。紫の髪を縦巻きロールにしていて、瞳は青色にしている。


「確かに、ハクちゃんは、いつも運があるイメージですわ」


 お嬢様言葉風に話しているこの人は、弓使いのカトリーヌさんだ。皆は、カティの愛称で呼んでいる。だから、私もカティさんって呼んでいる。背中まである金髪をポニーテールに金色の瞳をしている。

 因みに、現実では普通に喋るので、お嬢様言葉はゲームでだけしか聞けない。


「今回の件は、どう考えても相手方に責があります。ハクちゃんが、気にする事はありません」


 ちょっとくぐもった声でそう言うのは、全身鎧を着たトモエさんだ。パーティーではタンクを務めている。兜もフルフェイスだから全く分からないけど、かなりの美人のはず。トモエさんは、現実の自分に顔を近づける事が多いはずだから。

 現実では良いところのお嬢様だけど、ゲームではタンクをしているので、ギャップが凄い。


「皆さん、今日はありがとうございました。それと、態々時間を割いてしまってすみません」


 せっかくの休日に邪魔してしまったので、お礼と謝罪はしておく。すると、皆から代わる代わる頭を撫でられた。


「気にしないで良いよ。ハクちゃんとアカリちゃんが元気に過ごせる事の方が重要だもん。私達には遠慮しないで。姉さんだって、同じ事言うよ」


 アク姉は、私も頬を手で包みながらそう言う。アク姉は、私の姉だから良いけど、他の五人は、アク姉の友達だから、少しは遠慮してしまう。

 それでも遠慮するなと言われるくらいには、皆から可愛がられている。


「それじゃあ、私達は行くね。ここからは一人でも大丈夫?」

「うん。本当にありがとう」

「今度は、皆で遊びに行こうね」


 最後にアク姉に抱きしめられた後、皆に頭を撫でられてから別れた。

 一人残った私は、改めてウェットタウン探索に戻る。アク姉に教えてもらったクエストに関しては、また今度にして普通に街をぶらつく事にした。


「ファーストタウンよりは、栄えてないって感じかな。あまり開いてる店がない」


 ファーストタウンには、プレイヤーが営業している店とNPCが営業している店の二種類があり、結構賑わっている。それに比べると、ウェットタウンは開いている店がまばらにあるくらいだ。

 こっちに人が来る事が少ないから、プレイヤー達が買うメリットが薄いのかもしれない。


「まぁ、ファーストタウンのお店も売れきったら、こっちにも来るだろうし、その内賑わうかな。めぼしい物はなし! 戦おうって気にもならないし、スライムとホワイトラビットを飲みに行こっと」


 何となく戦闘する気分にならないので、ファーストタウンの方に転移して平原で、前もやったスライムとホワイトラビットの交互食べをする事にした。【吸血鬼】と【運強化】の検証にもなるからね。

 平原は、相変わらず長閑な雰囲気が広がっている。初心者達でも戦うメリットがあまりないので、ここで多くの戦闘が起こる理由もない。スライムの核は、レアドロップって言われているくらいだしね。

 まだ日傘は出来ていないので、極限の怠さの中で、ホワイトラビットを捕まえて吸血して、スライムを捕まえて吸血してを繰り返していく。

 ここではスライムが口直しになるから、果物を消費せずに済むのが良い。正直、果物の方が口直しにはなるけど。

 これと同時に【支援魔法才能】と【硬質化】のレベル上げも並行して行う。ジッとしているだけでも出来るスキル上げだし、早めに成長させておきたいからだ。


「う~ん……中々スキルは手に入らないなぁ」


 かれこれ二十匹ずつ飲んでいるけど、スキルは手に入らない。【吸血鬼】になったのと【吸血強化】のおかげで、前までの三分の一以下の時間で飲み干す事が出来るようになった。

 スキル獲得率の低さにぼやきながらレベル上げをしていると、目の前にウィンドウが出て来た。


『【吸血鬼】により、ホワイトラビットから【脚力強化】のスキルを獲得。同一スキルを保持しているため、スキル経験値として加算します』


 スライムを吸血しながら、ウィンドウをじっくり読む。


「ふ~ん……一体から一つのスキルっていうのは、一つ一つの個体から一個って事なんだ。ホワイトラビットっていう種族から一つって訳じゃないのは、凄く嬉しいかも。それと同じスキルを手に入れたら、経験値を得られるんだ。そのスキルのレベル上げにしかならないけど、これも嬉しいな」


 【脚力強化】を持っていたから、【脚力強化】に経験値が加算される事になった。これを利用していけば、スキルを使わなくてもレベル上げが出来るという事になる。ただ、スキル獲得率が不安定過ぎて、普通にレベル上げをした方が楽だから、大して意味はないかな。

 もう一つ嬉しい情報もあったけど、ちょっと気になる事もあった。


「……アク姉からは、もうスキルを貰えないのかな。絶対にアク姉は、同一個体ってなるはずだし。リスポーンしたら別個体とか普通に怖いもんなぁ」


 ホワイトラビットは、それぞれの個体が別と言われても納得出来るけど、プレイヤーに関しては、リスポーンしても同じ個体だとしか思えない。という事は、プレイヤーからは一つだけしか貰えないという事になる。

 そう考えると、アク姉から【魔法才能】を手に入れる事が出来たのは、新しい道が出来たって意味でも運が良かったかな。


「アク姉で実験したいけど、何回も倒す事になるから、ちょっと嫌だなぁ」


 この検証のためにアク姉の命を何度も奪うのは、私も嫌だ。イベントとかPvPなら全然構わないのだけどね。


「一日で二つもスキルが手に入ったって事は、確率は上がってる。このまま三つ目が取れれば、私にとって革命が起きたって感じかな」


 そこから五十匹ずつ倒していったけど、スキルは手に入らなかった。さすがに、そこまで確率が良くなった訳ではないみたい。


「う~ん……出来れば、スライムからスキルが欲しかったかな。そろそろ良い時間だし、アカリエに行こっと」


 ちょっと落ち込みつつ、身体を伸ばしてアカリエに向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] この章をありがとう
[良い点] いても楽しく読んでます! スライムからのスキルだと、もし取れても 『体がやわらかくなるとか?』かな〜
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ