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吸血少女ののんびり気ままなゲームライフ  作者: 月輪林檎
世界を楽しむ吸血少女

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氷河エリアのお姫様

 その日の夜。明日は、特に何もないので、ちょっと遅くまで探索をしてみる事にした。探索するのは、猛吹雪エリアの次のエリアである氷河エリア。氷河エリアは、相変わらず足場が不安定そうな感じがする氷の上だった。


「【召喚・レイン】」


 さすがに、この氷の上をエレクに走って貰うのは厳しいと思うので、レインを召喚して二人で探索する事にする。


『お姉さん』

「ん? 何か見つけた?」

『この下に地面があるよ。二十メートルくらい下だけど』

「そうなの? じゃあ、まだ内陸部って事かな。下の地面がなくなったら、教えてくれる?」

『うん!』


 もしかしたら、氷山とかになっているかもしれないし。まぁ、そうなっていたら、ちゃんと陸地から離れていそうだけど。

 ついでに、【眷属召喚】で蝙蝠を十匹程出してマッピングをさせる。


「割と起伏があるんだね」

『あの山も全部氷だよ』

「みたいだね。陸地的には、起伏はない感じ?」

『うん。陸の方は平坦……というか、ちょっと下がってる感じだよ』


 つまり、最初にいた場所が一番高いところだったみたい。そこから海に向かって流れ出しているって感じかな。でも、次のエリアは氷点下エリアって名前だった気がするし、海には出ないのかな。

 そんな事を考えていると、正面からモンスターが来た。ゆっくりとこっちに近づいてきている。


「レイン」

『うん』


 レインがモンスターの動きを止めてくれる。【索敵】から得られる情報だと人型のモンスターだけど、抵抗しようとしている感じはない。拘束されたから動かないといった感じだ。

 少し警戒しながら近づいていくと、そこには氷で出来たようなドレスを着た女の子がいた。魔眼持ちかとも思ったけど、一向に発動する気配がない。

 ただただジッとこちらを見ている。戦う意志はなさそうな感じがする。


「レイン」

『良いの?』

「うん。何かあったら、お願いね」

『うん』


 レインに拘束を解いてもらう。自由になった女の子の名前は氷姫というらしい。氷姫に近づいて、眼を合わせる。私よりも背が低いから中腰くらいの姿勢だ。


「こんばんは」

『こ、こんばんは……』


 話し掛けてみたら、しっかりと返事をしてくれた。【索敵】はモンスターだと判断しているけれど、ちゃんと言葉が交わせるし、すぐに攻撃をしてくる事もない。


「あなたは、私に攻撃しないの?」

『は、はい……あ、あの……』

「何?」


 氷姫は少しもじもじしてから、頭を下げる。


『私を貰ってください』

「へ?」


 唐突な言葉に若干戸惑っていると、目の前にウィンドウが出て来た。


『氷姫がテイム可能です。テイムしますか? YES/NO』


 まぁ、ここはYESを押しておく。すると、名前を決められるようになる。氷姫は、長い髪に花の髪飾りを付けている。


「じゃあ、ヒョウカで。可愛い髪飾りを付けているからね」

『あ、はい。ありがとうございます』

「ところで、どうして急に貰ってくださいなんて言ったの?」


 あれが全てのプレイヤーに起こる事なのか特定のプレイヤーに対して起こる事なのかちょっと気になった。


『あ、えっと……あなたが私を支配する事が出来ると思ったからです。あ、あの……わ、私、戦闘は得意じゃないですけど……頑張ります!』

「そうなんだ。じゃあ、ギルドエリアで私の大切な人の作業を手伝って貰おうかな」

『が、頑張ります!』


 どうやら、私が【支配(水)】を持っているから起きたイベントだったみたい。しかも、戦闘じゃなくてギルドエリアとかのサポート特化みたいな子らしい。せっかくなので、進化したスノウと今テイムしたヒョウカのスキルを調べる。


────────────────────


スノウ:【矮小化】【氷炎】【竜王鎧】【竜王血】【竜王翼】【竜王咆哮】【竜王核】【第六感】【飛翔】



ヒョウカ:【水氷息吹】【氷結破砕】【温度低下】【冷血】


────────────────────


 低温管理が得意そうな子だ。スノウに関しては、大体分かっていた事なので驚きはない。


「なるほどね。ギルドエリアに、アカリって女の子がいると思うから、その子に指示を仰いで。ちゃんと知らせておくから」

『は、はい!』


 ヒョウカの頭を撫でてあげてから、ギルドエリアに帰し、アカリにメッセージを送っておく。これで、アカリがヒョウカに色々と役割を与えてくれると思う。ついでに、涼しい場所を作っておいて欲しいとも伝えておいた。アカリの研究が捗ってくれると嬉しいかな。


「さてと、ちょっと驚いたけど、探索を続けようか」

『うん。ヒョウカと同じ氷姫は攻撃しない?』

「う~ん……向こうから攻撃してこないなら、そうしようか」

『うん』


 レインと一緒に氷河エリアの探索を続ける。すると、氷姫には出くわさなかったけど、でかい氷の塊に出くわした。それもモンスターだ。名前はフロストゴーレム。巨大な氷で出来たゴーレムは、その場で直立不動となっていた。全身が氷で出来ているからこそ、レイン一人で完全に止められる。

 そうなれば、態々背中に登る必要もないので、足に噛み付いてフロストゴーレムの身体を飲み込んでいく。フロストゴーレムの体積が目に見えて減っていく。どんどんとフロストゴーレムの身体が減っていき、最終的にその全てが身体の中に入った。手に入れたスキルは既に持っているものだった。


「ふぅ……飲み応えはあったかな」

『一気にごっくんって出来ないの?』

「えっ……さすがに、私の身長の三倍くらいあったら、無理じゃないかな」

『お姉さんならいけるかと思ったのに……』

「私も基礎は人間だからね。もうちょっと口が大きければ大丈夫かもだけどね。それよりも、下はまだ地上?」

『うん。変わらず。でも、最初の方よりは氷が分厚くなってるよ』


 やっぱり下り坂になっていたみたい。私の【支配(水)】でも分厚い氷がある事は分かる。でも、下り坂になっているかは全然分からない。私よりも広い範囲を調べられるレインだからこそ、僅かな違いも感じ取れる。でも、まだ海までは出ていないらしい。やっぱり、地上だけで終わるのかな。

 そう思っていると、【索敵】に複数体のモンスターが反応する。その形は、完全にセイウチだった。フロストワルラスという名前のそのモンスターは、レインによって氷で拘束されているけど、鋭い牙を持っていて、かなり凶暴そうだ。それが三体集まっている。一体ずつ吸血していくと新しいスキルとして【断熱体】を手に入れた。


────────────────────


【断熱体】:環境変化による熱と冷気を一定まで断つ事が出来る。控えでも効果を発揮する。


────────────────────


 【適応】に似たような感じかな。これでより暑い環境や寒い環境でも過ごせるようになるかな。セイウチの脂肪による断熱効果が元になっているのかな。厚い脂肪とかの名前じゃなくて良かった。そんなスキルを手に入れたら、複雑な気持ちになるし。

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