表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/609

遺跡の中

 ステータス半減を受けてから、モンスターに襲われる事もなく遺跡に着く事が出来た。まぁ、【吸血鬼】に進化させる事が出来た時には、すぐそこまで来ていたので、運が良かったという感じではないかな。


「ふぅ……アカリに傘を強化して貰おうかな。遮光効果が高くなってくれたら助かるんだけどなぁ」


 ちょっとぼやきながら、目の前にある遺跡を見上げる。遺跡の高さは五階建ての校舎くらいの高さがあった。広さは、かなり広い。形的には、ピラミッドのように四角錐の形をしている。頂点付近には、中に入る事が出来る穴が空いている。


「あの中に入ったら、ステータスダウンも緩和出来るかな。太陽光によるだし、日傘でもある程度緩和出来ているし、あそこの中だったら、大丈夫なはず!」


 私は、遺跡に入るために、そこに繋がる階段を上がっていく。つまり、校舎の五階までの階段を上がっているような感じだ。


「はぁ……はぁ……スタミナ的なものが……あるのかな……疲れた……」


 息切れをしながら遺跡の中に転がり込む。あのまま外にいたら、アサルトバードの大群が襲い掛かってきそうだからだ。

 太陽光が遮られた結果、私の身体に力が湧き上がってきて、疲れも吹き飛んだ。


「ふぅ! 復活!! 本当に吸血鬼になった気分……」


 身体を伸ばして、軽く体操をする。たったの二、三分外にいただけだけど、身体が固まった感じがした。寝過ぎた時の怠さに似ている感じがする。


「暗いなぁ……灯りがないのは厳しそう……ん? でも、結構見えるなぁ……」


 普通に真っ暗な空間のはずだけど、私の視界では綺麗とまではいかなくても、灯りに頼らないといけない程視界が確保出来ていない訳では無かった。

 最初に暗く感じたのは、もしかしたら暗順応が間に合っていなかっただけだったのかもしれない。


「う~ん……私のスキルで、視界を確保出来る理由は……やっぱり【吸血鬼】かな」


────────────────────────


ハク:【剣Lv26】【短剣Lv22】【格闘Lv14】【魔法才能Lv8】【支援魔法才能Lv7】【吸血鬼Lv1】【夜霧Lv6】【執行者Lv22】

控え:【HP強化Lv21】【物理攻撃強化Lv18】【速度強化Lv20】【運強化Lv4】【脚力強化Lv29】【言語学Lv5】

SP:29


────────────────────────


 【吸血】を進化させた結果、【吸血】がなくなり、【吸血鬼】になった。レベルが高かった【吸血】がなくなったので、スキルポイントの計算が面倒くさくなった。一応、自分でも把握しておこうと思っていたけど、こういう形で出来なくなるとは思わなかった。


「メモしとけば良かった。普通に進化なんだから、元スキルが残るわけないし。まぁ、いいや」


 【吸血鬼】により視界が確保出来るおかげで、遺跡の中に進んで行く事が出来る。中はじめじめとした感じで、周囲が苔むしている。あまり気分の良い空間ではない。


「ダンジョンになっているとかないのかな? 今のところ、本当にただの遺跡だけど……」


 ちょっと歩いたら、下り階段を見つけた。躊躇いなく、そのまま下っていく。下も苔が沢山の通路がある。そこを進んで行くと、いきなり踏み込んだ床が、少し沈んだ。

 その直後、横の壁からのこぎりが飛び出してきた。即座にしゃがんだので、間一髪で避ける事が出来た。


「あっぶな……ギミック系の場所か。罠に気を付けないと。見極める方法とかないかな」


 私が踏んだ罠をよく見てみる。何かしら、分かりやすい違いがあるかもと思ったけど、そんな事は全く無い。他の床と何ら変わりなかった。


「見極め出来ないじゃん。反射神経が鍛えられそう……」


 罠の見極めが出来ない以上、慎重に歩いていっても意味が無いので、堂々と歩いていく事にした。その結果、次々と罠が起動していく。

 杭付きの落とし穴は、ゲームでよくある壁キックをする事で戻ってくる事が出来た。上から振り子の要領で振られてくる斧は、普通に横に移動する事で避けられた。壁から撃ち出されてくる矢は、血姫の装具が弾いてくれるので、顔付近に飛んでくるのを掴み取ったり避けたりするだけで良かった。

 一番困ったのは、後ろから転がってくる巨大鉄球だ。これに関しては、全力疾走で逃げるしかなかった。さすがに、鉄球を受け止めるのは無理。確実に潰される。


「まさか、考古学者みたいな事をするとは思わなかった……」


 死に到るような罠を潜り抜けて、四つの下り階段を下りていく。そうして着いた場所は、広い空間だった。そして、私の目の前にウィンドウが現れる。


『ボスエリアに移動しますか? YES/NO』


 どうやら、ここからボス戦みたいだ。普通なら、光源を用意して戦う事になるんだろうけど、【吸血鬼】のおかげで、視界は確保出来ているので、その心配はない。


「取り敢えず、やるだけやってみようかな」


 私はYESの方を選択する。転移して同じような場所に来た。見た目は同じでもエリアは違う。それに、一つ違う点もあり、目の前に剣を携えた鎧の騎士がいた。見た目的には、夜霧の執行者の小さい版みたいな感じがする。


「最悪同じように倒せるかな。出来れば、真っ向から倒したいけど」


 血染めの短剣を抜いて、鎧に近づいていく。すると、兜の目の部分が赤く光った。名前は、リビングアーマーというみたい。

 リビングアーマーは、私と対峙して、剣を構えてくる。夜霧の執行者と同じように、両手剣だ。これから夜霧の執行者と再戦するかもしれない時に役に立つかも。


「【アタックエンチャント】【スピードエンチャント】」


 向こうから攻めてくる前に、二つの支援魔法を掛けながら、リビングアーマーに向かって駆け出す。両手剣が振り下ろされてくるので、横に少し移動して避ける。最小限の動きで避けて、腕を斬りつける。夜霧の執行者よりも柔らかいからか、目に見えてHPが減る。それでも一割には届かないけど。


「削れるって分かるだけでも、やる気は出るね」


 後ろに抜けて行く私を追い掛けるように、両手剣で薙ぎ払いが来る。そこはしゃがんで避ける。そして、その膝裏に短剣を突き刺してから逃げる。さっきまで私がいた場所に両手剣が叩きつけられる。


「基本はヒットアンドアウェイかな。もっと速く動いて、すれ違いざまに次々当てる感じが出来れば……」


 【脚力強化】による急加速と急停止を繰り返せば、良い感じで動けるのではないかと考えた。片脚で溜めて、一気に踏み切る。リビングアーマーの横を通り過ぎる際、その胴体を斬りつけて、一気に抜ける。私が通った場所を遅れて、両手剣が振われる。

 そんな空振りを見つつ、もう片方の脚で急制動を掛けると同時に力を溜める。そして、そのまま力を解放して、さっきとは違う道筋ですれ違いざまに斬る。また、リビングアーマーの両手剣が振われるけど、空振りに終わる。

 これを繰り返していく。急制動が結構難しいけど、段々とコツを掴んできた。制動の際に、滑ってしまう距離が段々と短くなっていった。つまり、効率良く行動出来るようになっているという事。でも、溜めの時間は変わらない。最低一秒は溜める必要がある。

 そんな攻撃で赤ゲージまで減らすと、リビングアーマーが咆哮する。声は聞こえないから、身体の動きだけでそう分かる。行動パターンが変わる兆候だけど、取り敢えずこのままの戦い方を続ける。赤ゲージまで減らせば、【執行者】の効果でダメージが上がるから、このまま倒せるかもしれないからだ。

 ただ、そこまで上手くはいかなかった。私の目の前にリビングアーマーの両手剣が迫る。ギリギリで両手剣を白刃取りする。【格闘】を持っているからか、それでギリギリで受け止められたけど、そのまま振り抜かれたので、上に吹き飛ばされた。

 自由落下になったので、それを見越してリビングアーマーが、両手剣を突き出してくる。


「んっ!!」


 ちょっと気合いを入れて、血染めの短剣を両手剣の腹に当てる事で、横に滑るようにしてリビングアーマーの頭上に落ちる。その勢いを利用して、頭を蹴る。兜を蹴り飛ばせるかと思ったけど、人みたいに鎧と繋がったまま飛んでいく。

 地面に着地した瞬間に、両脚に力を溜めて、リビングアーマーに突っ込む。片脚よりも力強く突っ込む事が出来た。そのままの勢いで、背後に回る。


「【バックスタブ】」


 背中に突き刺すと、リビングアーマーの鎧が割れた。同時に、全身もポリゴンに変わった。

 ドロップアイテムがウィンドウで出て来る。鉄の鎧、死霊の魂×2が手に入った。


「……本格的に何に使うか分からないアイテムが手に入った。魂って、泥以上に何に使うか分からないなぁ」


 色々なドロップアイテムを手に入れているけど、どれもこれもどう使うのか分からない事が多い。そういうのは生産職にならないと予想も出来ないかも。どのゲームでも生産職はやらないし。アカリがやるからっていうのもあると思うけど。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] この章をありがとう
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ