【魔聖融合】検証
古城エリアから砂漠エリアに転移した私は、空を飛んで二番目の砂漠エリアへと移動した。プレイヤーがいない場所を探して、そこに降りる。
「さてと、検証を始めますか」
闇霧の始祖は、天聖竜のいる精神世界でと言っていたけど、あそこでいきなり試すという勇気はないので、まずは当初の予定通り砂漠で行う事にした。光と闇を【操光】【操闇】で引き摺り出す。
そして、ある程度出したら、【魔聖融合】を発動して光と闇を融合していく。また色が反転するけど、今回はそのまま融合を続ける。闇霧の始祖が言っていた通り、融合を続けている間は収縮が起きる事はなかった。どんどんと融合を続けていく。私が少し動いても、融合が終わる事はない。
「融合を終わらせるには、私の意思が必要って事か。さっきは、すぐに逃げる方に意識を向けたから、融合について考えなくなったもんなぁ」
【魔聖融合】について、大分分かってきた。そのまま融合を続けていくと、それ以上融合が進まないところまできた。融合した光と闇の量は、バスケットボールくらいの大きさになっていた。
「う~ん……ヤバいかも」
多少、動いても問題ないのは検証済みだけど、融合を意識したまま、どこまで離れて良いのかは分からない。
若干賭けになるけど、【重力操作】で上空に重力を発生させて、いつもの三対の羽で空に向かって飛ぶ。【魔聖融合】を意識しながら飛んだけど、十メートル程離れたところで、私の制御から離れた。すぐに収縮が始まる。その勢いに私も巻き込まれそうになる。
「重力は上にしてるのに!」
仮にこれを空中でやったら、重力に関係なく上空に引き寄せられていくのだろう。【飛翔】も使って、全力で空の方向に飛ぶ。少しずつ離れていきつつ、融合場所を見る。収縮は周囲のものを全て取り込んでいるように見える。周囲の砂が取り込まれていくのと同時に、少し離れたところにいたランカクタスなども吸い込まれて消えていった。
「初期段階は、全てを飲み込むブラックホールみたいな感じなのかな。取り敢えず、あの状態なら爆発する事はないと」
そのまま収縮に抵抗していると、その中心に色が反転した物質が生まれた。テニスボールくらいの大きさのそれに、収縮で引き寄せられていたランカクタスが触れる。直後、古城で起こった爆発よりも遙かに大規模な爆発が起こった。安全圏まで離れたと思っていた私も、その爆発に巻き込まれる。周囲の色が反転して、次の瞬間には身体が崩壊した。
次に見えた光景は、オアシスだった。そのままギルドエリアに転移して、屋敷まで移動し、自分の部屋に置かれたベッドに身体を預けた。
「はぁ……やっぱり封印かな」
身体が崩壊すると思われる反転した爆発の範囲は、百メートル以上はあった。まだ広がり続けていたから、それが最大値じゃない。それに加えて、古城での私を襲った衝撃波を考えると、さらにそれよりも広いと思われる。
「あそこにいたプレイヤー大丈夫かな。予想よりも遙かに爆発範囲が広かったし……まぁ、良いか」
やってしまったものは仕方ないので、そこは考えないでおく。
「普通に環境の中にある光と闇で虚無は作れるから、無理に自分のを使う必要はないし……あっ、でも、天聖竜の居る場所じゃ環境に闇がないのか……てか、私の光と闇を環境中の光と闇に融合させたらどうなるんだろう……」
気になったらすぐ検証。さっきの今で砂漠にいくのは、何か気が引けるので、あまり人気がないであろう豪雨エリアに移動した。【水氷武装】で雨から避けつつ、エリアの端っこの方に向かう。
「ここでも光はあるね。よし」
誰も居ないのを確認して、自分の光と環境の闇を融合していく。すると、普通に虚無になった。逆でも同じ結果だった。
「つまり、私の中の光と闇を掛け合わせない限り、虚無にしかならないって事か。なるほどね。これなら、天聖竜との戦いでも虚無だけは使えそう。これなら良いかも。古城でレベル上げしよっと」
新しい検証で気分転換も出来たので、古城で【操光】【操闇】【魔聖融合】のレベル上げをしていく。一人でもある程度戦える事は分かっているので、皆を喚ぶことはない。自分の戦い方を磨くチャンスでもあるので、有効的に活用する。
その中で、ダークナイトとシャドウナイト以外のモンスターと遭遇した。黒いドレスを纏って、蝙蝠のような羽を生やした女性だ。サキュバスという名前のそのモンスターは、
妖艶に微笑むと目をピンク色に光らせた。
「…………えっ、何?」
光っただけで、何か変わった感じもない。サキュバスの方も、首を傾げながら何度も目を光らせている。取り敢えず、サキュバスの身体の中心に虚無を発生させる。それを察したのか、サキュバスは、即座に退いた。虚無の発生までに掛かる少しのラグを読まれた感じだ。融合の兆候とかが分かったのかもしれない。
そこに気を取られている内に、【電光石火】で背後に移動する。素早く抜いた隠密双刀に血を纏わせて刀にし、サキュバスに斬り掛かる。
私の攻撃が届く前に、サキュバスは闇に包まれた。その闇で刀が防がれる。【操闇】で開こうとしたけど、上手く開けなかった。向こうの方が、制御力が高い。暗黒魔法か何かかな。
一旦、サキュバスから距離を取る。そして、隠密双刀に纏わせる血液の量を増やしていき、【超圧縮】で密度を上げる。そして、光を操って光線のように、サキュバスに当てる。これだけでは、闇の繭からサキュバスを取り出す事は出来ない。でも、光が当たった場所が、少しだけ削れているのが分かる。
そこに向かって、【電光石火】の勢いを乗せて二刀を突き刺す。薄くなっていた繭に刀が突き刺さり、サキュバスの身体にも刺さった。
サキュバスの悲鳴が響く。ダメージで表情を歪めていたサキュバスは、また目を光らせた。今度は青い光だ。同時に、呪いの状態異常が掛かった。
「あの目は、状態異常を掛けるスキルか」
MPが減るけどそこは気にせず、刀から手を放し、サキュバスに組み付く。正面からになったけど、ここは仕方ない。影と血で身体を括り付けて、その首に牙を立てる。すると、いつもの血の匂いと味が口の中に広がり、何だかむず痒い感じが広がった。ぽかぽかするような、ぞわぞわするような、本当に何かむず痒い。それが気持ち悪い。
サキュバスは滅茶苦茶藻掻いて、私を引き離そうとするけど、この状態になれば、こっちのもの。サキュバスの血を全て吸いきって、サキュバスを倒した。
サキュバスからは、【魅了の魔眼】を手に入れた。ドロップアイテムは、魅了の魔眼、呪いの魔眼、夢魔の黒ドレスだ。これは、アカリにあげよう。
────────────────────
【魅了の魔眼】:MPを消費して、視界に入れた対象を確率で魅了状態にする。控えでも効果を発揮する。
────────────────────
相手を状態異常にさせる目を手に入れた。控えでも使えるのは有り難い。牙は、基本的に装備しないと使えないから。
「てか、これがピンクの光か。でも、魅了状態にならなかったなぁ……【魅了耐性】の効果ではないはずだし……」
耐性があっても、状態異常にはなるので、魅了状態にならなかった理由にならない。ここら辺は、闇霧の始祖に訊いたら分かるかな。今度報告する時に訊いてみよう。




