表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
吸血少女ののんびり気ままなゲームライフ  作者: 月輪林檎
吸血少女の始まり

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

28/760

番外編

注)ユートピア・ワールドの最終話までの内容を含みます。本編には影響しない話ですので、読まなくても問題はありません。

 イベント終了から少しして、アカリエに一人の客が入って来た。


「いらっしゃいませって、ソルさん。こんにちは」

「アカリちゃん、こんにちは。ちょっと防具を直して欲しいんだけど、大丈夫かな?」

「はい。代わりの服はお持ちですか?」

「うん。更衣室借りて良い?」

「はい」


 ソルは、更衣室に入って服を着替える。そして、着ていた防具をアカリに渡した。


「結構消耗してますね」

「イベントで優勝したのは良いんだけど、ものすごく強い人と最後に戦ってね。互いにかすり傷を何度も負わせて負わされてを繰り返してたから、結構消耗しちゃったみたい」

「ああ、フレイさんですね。あの人も結構やり込んでいる人ですから」


 強い人と聞いて、アカリはすぐにフレイの事だと気付いた。


「そうなんだ。私とは違うゲームをやり込んでるのかな。まぁ、私もこのゲームをやり込んでるとは言えないけど」

「そうなんですか?」

「うん。休日の二日くらいしかまともに出来ないからね。恋人との時間もあるし」

「ほぇ~、恋人さんがいらっしゃるんですね。こちらにログインしているんですか?」

「ううん。買えなかったから。それとね。面白い子も見つけたんだ」


 そう言われて、アカリはすぐにある人物が頭を過ぎった。


「白い髪の赤い眼をした子ですか?」

「正解。知り合い?」

「幼馴染みです。可愛いですよね」


 アカリがそう言うと、ソルは、少し目を見開いてから寂しげに笑う。


「そうなんだ……大切にしてあげてね」

「えっ? あ、はい」

「それじゃあ、また来週取りに来るね。防具の修理よろしくね」

「はい! 任せてください!」

「うん」


 ソルは、アカリに手を振って、アカリエを出て行く。それを見送ったアカリは、ソルの防具を手に取る。


「何だろう? ハクちゃんに、何か感じたのかな? 今度、ハクちゃんにも訊こっと」


 アカリは裏に戻って、ソルの防具の修理をしに向かった。


────────────────────────


 ログアウトしたソル……日輪日向(ひのわひなた)は、ゆっくりと身体を起こす。


「あっ、もう終わりましたか?」


 日向が起きた事に気付いた恋人の和水舞歌(なごみまいか)が、ベッドの脇から声を掛けた。先程まで、ゲームに入っている日向の横で本を読んでいたようで、サイドテーブルに本を置いた。


「うん。優勝したよ。ブイ」

「おめでとうございます。日向さんでも苦戦はしましたか?」

「途中までは余裕だったかな。でも、途中で超強い人にあったよ。時間切れまで戦ったけど、決着が付かなかったんだ。本当に強かったなぁ。ジークさんみたいだった」

「そうなんですね。楽しそうで何よりです」

「それとね。さくちゃんみたいな子がいたんだ」


 舞歌の表情が驚いたように固まった。


「あっ、でも、見た目だけね。中身は、まだ分からないかな。でも、負けず嫌いな部分は、さくちゃんらしかったかも。腕を斬り飛ばされても、突っ込んできたしね」

「懐かしいですね」

「しかもね! 幼馴染みの子が金髪のエルフだったんだ。ちょっとあの頃を思い出して、寂しく感じちゃった」

「それはそうですよ。あれから十年経っても、傷は残ったままですから」


 舞歌は、日向の頭を優しく撫でる。日向は、嬉しそうに目を細めた。


「いつか、また会えると良いな……」

「そうですね……」


 日向と舞歌は、互いに微笑み合った。その心に今はいない友人の姿を思い描いて。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] しっかり恋人にもなる系の百合か!ますます楽しみ 作者さんの作品はこれが初めてだけど過去作と世界が一緒って感じなのかな。最初らへんで言ってたデスゲーム?っぽい事件の話かな、なんかシリアスっぽ…
[良い点] この章をありがとう [一言] 読んでみようと思います...次回は多分...
[一言] 彼らは死の苦しみを乗り越えなければなりませんが、それよりも悲しいのは、サクちゃんが生きているにもかかわらず、私が彼女の世話をすることも、話しかけることもできないことです。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ