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吸血少女ののんびり気ままなゲームライフ  作者: 月輪林檎
高く光へ昇り深く闇へ沈む吸血少女

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恐怖の幽霊

「取り敢えず、今みたいな感じで倒していこう。エアリーも拘束出来たら、お願いして良い?」

『お任せ下さい』


 こう返事をしたけど、ここからの戦闘でエアリーがモンスターを拘束する事はなかった。それはエアリーがサボっていたという訳では無く、ソイルの拘束が完璧だったからだ。その間、エアリーが何をしていたのかは、五度目の戦闘で分かった。

 【索敵】の範囲内に複数のケイブスパイダーの反応があったのだけど、私達が戦闘をしている間、そのケイブスパイダー達の動きが止まっていた。ケイブスパイダーの索敵範囲に入っている時でも同じく動きが止まっていた。


「エアリーって、もしかして一対一になるようにしてくれてる?」

『はい。余計なお世話だったでしょうか?』

「ううん。助かる。ありがとう」

『はい』


 それからケイブスパイダーを吸血で倒していって、【操糸】と【毒糸】を手に入れた。


────────────────────


【操糸】:糸を操る事が出来る。


【毒糸】:毒の糸を出す事が出来るようになる。


────────────────────


 他は、既に持っているスキルだったので、経験値になった。それから十回吸血をしたけど、新しいスキルは手に入らなかった。


「もう新しいスキルも手に入らなくなったし、近くに来たケイブスパイダーは倒して良いよ。他のモンスターは残しておいて。後、私の他のプレイヤーに迷惑を掛けないようにね。その人達周辺のモンスターは残して」

『うん……』

『分かりました』


 そう言った直後から、どんどんとケイブスパイダーの素材が集まってくる。他のプレイヤーも山脈エリアの洞窟にいるので、モンスターを狩り尽くすと、単純に迷惑になってしまう。普通ならそんな事を心配する事などないのだけど、今のソイルとエアリーを見ていると、やってしまいかねないと思ってしまう。


『お姉様、こちらの道を行けば、出口です』

「それじゃあ、反対は?」

『まだ先に続いています。ほとんどが行き止まりですが、一つだけ先に続いている通路がありますね』

「なるほど。それじゃあ、一度外に出る方向で行こうか」

『分かりました』

『うん……』


 洞窟の出口なる方向に移動する。ここの出口がどこに出るのか確認しておきたかった。マッピングの情報は、洞窟と山で別々になっているから、マップから確かめるのが難しい。実際に外に出ないと分からないのだ。

 進んでいく先から明かりが差し込んでくる。もうすぐ出口だ。洞窟から外に出ると、そこは山間部だった。目の前にある山は、頂上が雲に飲まれているので、昨日行った場所で間違いないだろう。


「山間部は、入口よりも高いんだ。まぁ、山と山が繋がっているから、そんなものなのかな」


 一応、スノウに乗っている時に、この周辺のマッピングは済んでいた。


「外の探索は後にして、洞窟に戻ろう」


 外の探索に移っても良いけど、エアリーが言っていた先へと続いている通路が気になる。この山脈の向こう側まで続いているのだとしたら、山を登って越える必要がないという事になる。まぁ、入り組んだ洞窟と起伏の激しい山脈どちらを選ぶかって訊かれても、即答出来ないくらいには悩むけど、私にはエアリーとソイルの案内があるから、洞窟の方が楽だ。

 洞窟に戻ってしばらく歩いていると、【索敵】が反応した。でも、エアリー達が倒す様子がない。


「この先にいるモンスターは、ケイブスパイダーじゃないの?」

『……?』

『私達は、何も感じていません。恐らく、地にも風にも触れないモンスターの可能性があります』

「地はともかく、風にも触れないモンスターなんて……あっ、幽霊?」

『その系列のモンスターである可能性は高いかと』


 実体を持たない幽霊系のモンスターであれば、風にも触れないというものにも納得がいく。


「捕まえられる?」

『出来ない……と思う……』

『ダメージならまだしも、拘束となると厳しいです』


 二人で捕まえられないのであれば、私の【影装術】で拘束するしかない。


「じゃあ、ちょっと行ってくる」

『周囲の警戒はお任せ下さい』

『任せて……』


 二人に周囲のモンスターを任せて、私は迫ってきているモンスターの元に向かって駆ける。ついでに、【電光石火】の急加速を試す。


「うわっ……!?」


 異常な速度で加速した。さすがに、雷になったと言えるような速度じゃないけど、完全に制御出来るとは言えない速度だ。というか、もはや高速移動の速度を超えていた。そんな速度で移動した私は、壁に激突しそうになる。

 そこで、私は更に【走壁】を発動して、激突寸前の壁を走る。すぐに目の前に新しいモンスターが見えた。半透明で青白い身体をした幽霊が現れた。手には、同じく半透明で青白い大鎌を持っている。名前は、フィアーレイス。

 私は、速度を制御出来ず、そのフィアーレイスに突っ込む。フィアーレイスの身体にぶつかった。フィアーレイスは、感電しながら吹っ飛んでいった。


「へ?」


 相手が幽霊という事もあり、当然のことながら通り抜けるものだと思っていた。でも、実際には、普通のモンスターと同じくぶつかった。


「な、何で? 【霊峰霊視】? それとも【天使】か【悪魔】? それくらいしか思い付かないけど、まぁいいや」


 【雷足】の方で使った高速移動でフィアーレイスに近づき、【影装術】で影を操り、フィアーレイスを拘束して吸血する。背筋がぞわっとするけど、問題なくフィアーレイスを吸えている。

 フィアーレイスは、拘束を解こうとしてくるけど、こっちの【影装術】の方が強いみたいで解けずにいた。そのまま全てを吸い尽くし、フィアーレイスを倒した。ドロップアイテムは、恐怖の霊魂という素材だった。


『【始祖の吸血鬼】により、【恐慌】を獲得。【怨念Lv50】を進化させるため、以上のスキルが収得不可能となります』


 新しいスキルを獲得した。


────────────────────


【恐慌】:攻撃に恨みと恐怖を乗せる。確率で、攻撃を与えた相手に呪いと混乱の状態異常を与える。


────────────────────


 呪いの状態異常攻撃に混乱が追加された。でも、控えでは効果を発揮しないから、まだ使いにくい。


「何だったんだろう? 【霊峰霊視】は見えないものを実体化させるんだよね。フィアーレイスは、最初から見えているから、その対象に入るのか分からないし……まぁ、【天使】と【悪魔】の説が強いかな。師匠に訊いてみよ。何でも知ってるし、ここ最近師匠のところに行けてないし」


 砂漠の地下にいたり、色々としていたから、師匠のところに通えていない。あまり行けていないから、師匠に怒られるかもだけど、そこは仕方ない。

 フィアーレイスを倒して、三十秒程待っていると、ソイルとエアリーがやって来た。


『ご無事なようで安心しました』

『怪我ない……?』

「大丈夫だよ。取り敢えず、私はフィアーレイスに触れられるみたいだから、援護だけお願いね」

『はい』

『うん……』


 私がフィアーレイスと戦う間、ケイブスパイダーが襲って来ないように援護を任せる。フィアーレイスには、まだ私が持っていないスキルがあるかもしれないからね。

 何度かフィアーレイスと戦いながら、先へと進んでいく。その中で、一応自分でも何故触れられるのか確認するために、目を閉じて戦ったりした。【第六感】と【索敵】頼りの戦闘は、嫌になるほどやったので、問題なく戦えた。

 この条件でもフィアーレイスに触れる事は出来たので、恐らく【霊峰霊視】効果ではないという風に考えられる。やっぱり、【天使】か【悪魔】かな。

 これが分かった時点で、ラングさんに【霊気】も外して構わないという旨のメッセージを送っておいた。

 そして、フィアーレイスから得られたスキルは、【威圧】【霊体】【霊血】だった。


────────────────────


【威圧】:自分より弱いモンスターを怯ませる。


【霊体】:霊の波長を持った身体になる。MPが上昇する。控えでも効果を発揮する。


【霊血】:霊の血液が流れる。MPと魔法攻撃力が上昇する。控えでも効果を発揮する。


────────────────────


 【天使】と【悪魔】で迷っているところに、ドンピシャで当てはまるスキルを手に入れた。既に霊に触れられる私には、必要ないスキルって思ってしまうけど、MPは上がるので助かる。

 【威圧】に関しては、吸血しやすくなるかもしれないという点で嬉しいけど、自分より弱いという条件が、どのようなものなのか分からないので、何とも言えない。今度検証してみる必要がある。

 そんなこんなで、エアリーの案内により、洞窟の最奥へと辿り着いた。

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