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吸血少女ののんびり気ままなゲームライフ  作者: 月輪林檎
高く光へ昇り深く闇へ沈む吸血少女

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【始祖の吸血鬼】の吸血

 海を泳ぐ事になると思ったけど、レインが普通に私の周りから水を退けてくれたので、海底を歩いている。その中で、大蝙蝠も召喚して、空に飛ばしておいた。何だか、【使役(大蝙蝠)】の頃よりも、顔が怖いけど、どうせ傍にいるわけじゃないから、気にしないでおこう。


「レイン、大丈夫?」


 常に私の周囲一メートル程の水を退かしているので、レインの消耗はどんなものか確認する。因みに、レイン自身は、私の隣で浮いている。時折海の中に入る事もあるけど、水の精霊であるため、特に何も問題ない。


『大丈夫だよ。お姉さん一人分くらいなら、全然消耗しないから。それより、これってお姉さんの役に立つ?』


 そう言って、レインが水を使って白い粉を渡してくる。海で白い粉と言えば、一つしか思い付かない。


「塩だね。でも、粗塩かぁ……料理ぐらいしか思い付かないなぁ」


 一応、アカリが使うかもしれないので、レインに頼んで一定量採取しておく。まぁ、アカリが使わなかったら、フレ姉にあげれば良い。チョコレートケーキを作るくらいだから、調味料があったら、嬉しいはず。


「てか、よく塩を取り出せたね」

『うん。何か出来た』


 水氷操作で氷にも出来たりするくらいなので、温度を上げて水蒸気に変えたりする事も出来なくはないだろう。他の可能性としては、水溶性の成分を残して、水だけ取り出すみたいな事が出来るのかもしれない。その際に、残った水溶性の成分が残る感じかな。どちらにせよ、アカリの【調合】の役に立ちそう。


「おっ、モンスターが来た」


 【索敵】の範囲にモンスターが入ってきた。形的に、昼間にも戦ったマンイーターシャークだ。まぁ、あの時は、スノウが倒したから、正確に言えば、私は戦ってないのだけど。


『えい』


 反応していたマンイーターシャークが消えた。形すらも分かる【索敵】になったから、何が起こったかも分かってしまった。レインが、マンイーターシャーク周辺の水をマンイーターシャークごと圧縮して潰したのだ。水のある場所で、レインに敵うような相手はいないだろう。マンイーターシャークの素材が手に入る。


「ありがとう、レイン。でも、出来れば、私に近づけてくれると嬉しいかな。血を吸いたいから」

『あっ、ごめんなさい……』

「ううん。私を守ってくれたんだよね。ありがとう」


 しょんぼりとするレインの頭を撫でてあげる。前よりも痛みがない。因子の耐性が上昇した証だ。このまま魔聖因子になって、因子によるダメージを気にしないようになりたい。


『じゃあ、私は拘束に集中するね』

「うん。お願い」


 レインにモンスター達の拘束を頼んでいる間にも、スノウと大蝙蝠が倒したモンスターの素材が入ってくる。その中には、シーサーペントの物もあった。シーサーペントの肉、シーサーペントの牙、シーサーペントのヒレ、シーサーペントの血が手に入っている。


「本当にこの討伐クエストに関しては、ヌルゲーだなぁ」


 何もせずとも入ってくる素材でクエストは達成出来るので、お金稼ぎは問題ない。後は、吸血の方を確かめたいところだ。

 そんな事を思っていると、【索敵】に複数の反応があった。これは、サハギン達だ。こっちに向かって泳いできていたのだけど、その途中で止まった。てっきり三叉槍を投げられると思っていたのだけど、その様子もない。


『動きを止めたよ』

「あ、そういうこと」


 急に止まったから何事かと思ったら、レインが拘束してくれたみたい。いつまでも拘束させていると、レインが疲れるので、急いでサハギン達の元に向かう。すると、サハギン達は、身体が凍り付いて沈んでいた。なんで氷なのに沈んでいるのだろうと不思議に思ったけど、そもそも拘束しているのがレインなので、沈ませるのも浮かせるのも、レインの自由って事だろうと納得した。

 レインの気遣いで、背面だけ凍っていないので、吸血が出来るようになっている。そこに噛み付いて、血を吸う。コーラルタートル以上に臭い。藻の匂いの他に異常なまでの生臭さのようなものを感じる。魚特有の生臭さを百倍以上に濃縮しているかのような臭いに、全力で吐き出したいという気持ちを根性で抑えつけて血を吸って倒す。


『【始祖の吸血鬼】により、サハギンから【三叉槍】のスキルを獲得』


 一回でスキルが獲得出来た。その後も、次々に血を飲み干して、五体中四体からスキルを獲得出来た。この事から、吸血によるスキル獲得の確率が、本当に高くなっていると分かった。因みに、サハギンから得られた他のスキルは【水氷装術】【牙】【水泳】なので、全部経験値になっていた。


「サハギンは、潰しちゃって良いかな。他に良いスキルは持っていないと思うし」

『うん。分かった』


 ここで断定出来なかった事から、改めて、モンスターのスキルを調べておかないといけないという事が分かった。これからは、【真祖】以上にスキルの狙い撃ちが出来るようになったからね。


「ここら辺の海藻も集めていこうか」

『何か使うの?』

「分からないけど、アカリが使うかもね。私も少し気になるし」


 もしかしたら、ギルドエリアで栽培出来るかもしれないので、海藻を採ってみる。何気なしに採ってみた海藻の名前は、酸藻という名前だった。多分、現実にはない海藻だ。


「レインは、何か知ってる?」

『ううん』

「そう。まぁ、アカリが何かに使うでしょ」


 海藻を集めながら、レインが拘束してくれるモンスターを吸血していった。その中には、シーサーペントの姿もあった。蛇というよりも、竜のような姿をしていたけど、手脚はなくヒレになっていて、厳つい顔をしていた。こちらも、レインにより凍り付かされて沈められていた。

 シーサーペントからは、【毒牙】と【水鉄砲】を獲得した。それ以外は、既に持っているスキルだったので、経験値に変わった。またマンイーターシャークからは、【鋭牙】と【血狂い】を獲得した。この他は、やっぱり既に持っているスキルだったので、経験値に変わった。


────────────────────────


【三叉槍】:三叉槍の扱いに補正が入る。レベルが上がると、技を会得する。


【毒牙】:牙による攻撃に毒属性を付与する。


【鋭牙】:牙による攻撃の威力を上げる。控えでも効果を発揮する。


【水鉄砲】:高圧力の水を発射する。


【血狂い】:血液を飲む事でステータスを上昇させる。同時に意識を失い、自動でモンスターへと攻撃する。


────────────────────────


 こんな感じの効果だった。とうとう【血狂い】を手に入れてしまった。これは実際に使うのは危険なため、マンイーターシャークの吸血と持っているであろう血狂い蝙蝠への吸血でレベルを上げる事にする。

 そのまま一時間程海での戦闘をした後、海から引き上げて、クエストの報告をした。スノウと大蝙蝠のおかげで、沢山の素材を得たので、そこら辺のクエストを何度か受けて報告してを繰り返してお金を貯めていった。

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