雪原エリア
北エリアへと向かおうとした直後に、一つやらないといけない事を思い出した。それは、隠密双刀を収納するためにベルトを改良して貰う事だ。
「アカリ、注文があるんだけど」
「何?」
「ベルトをこれも納められるように出来る?」
「何これ? 新しい双剣?」
「そう。【短刀】にも紐付けされてる双剣。双血剣と同じで、ちょっと特殊な感じ」
「へぇ~、十分待って」
アカリは、私から腰装備を受け取ると、テキパキと改良していく。
「一応、これで完成かな。何か不具合があったら教えて。血姫の装具の方で、もう少し良い感じに出来るかとかも試しておくから」
「ありがとう」
アカリがベルトに付けてくれたホルスターに、隠密双刀を仕舞う。その場でジャンプなどをして、隠密双刀が落ちたり、双血剣が落ちたりしないか、動きを阻害してこないか確認する。
「うん。大丈夫そう」
「良かった」
「それじゃあ、改めて行ってきます」
「うん。いってらっしゃい」
アカリに手を振りながらアカリエを出て、ファーストタウンの北門に向かう。そのまま北の平原を抜けていくと、段々周囲に雪が積もり始めた。そして、すぐに一面の銀世界が広がる。
「わぁ……現実でも見た事ない景色だ。ゲームでは、何度も見た事があるけど」
我ながら情緒がないと思う。吐く息も白くなっていた。現実でもゲームでも、このくらいの雪になったら、かなり寒いのだけど、今は全然そんな事ない。アカリの防具が、しっかりと周囲の冷気から守られている。
「さてと、少しだけスキルを整理しよっと」
せっかくなので【短刀】のスキルを取るついでに、新しいスキルがないか確認する。
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ハク:【武芸百般Lv31】【短剣Lv78】【短刀Lv1】【双剣Lv68】【牙Lv18】【武闘術Lv39】【真祖Lv47】【血液武装Lv51】【操影Lv30】【操砂Lv5】【使役(蝙蝠)Lv43】【突進Lv18】【空力Lv1】【未来視Lv21】【感知Lv42】
控え:【剣Lv69】【魔法才能Lv46】【水魔法才能Lv15】【支援魔法才能Lv45】【血行促進Lv1】【血液増加Lv1】【血液感知Lv1】【操泥Lv1】【HP強化Lv70】【MP強化Lv35】【物理攻撃強化Lv73】【物理防御強化Lv50】【魔法防御強化Lv35】【神脚Lv55】【器用さ強化Lv41】【運強化Lv66】【身体能力強化Lv1】【視覚強化Lv51】【聴覚強化Lv51】【腕力強化Lv32】【握力強化Lv17】【顎強化Lv16】【執行者Lv73】【剛体Lv18】【不動Lv17】【疾走Lv28】【軽業Lv21】【身軽Lv1】【見切りLv28】【毒耐性Lv30】【麻痺耐性Lv7】【呪い耐性Lv1】【沈黙耐性Lv4】【暗闇耐性Lv1】【怒り耐性Lv8】【眠り耐性Lv1】【混乱耐性Lv32】【気絶耐性Lv1】【竜血Lv45】【登山Lv8】【防鱗Lv28】【毒霧Lv10】【毒液Lv8】【酸霧Lv2】【暴食Lv16】【飲み込みLv10】【狂気Lv8】【吸収Lv16】【貯蓄Lv17】【擬態Lv25】【超音波Lv4】【夜霧Lv25】【言語学Lv51】【古代言語学Lv1】【現代言語学Lv1】
SP:344
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ソルさんとの戦闘で、戦闘に関するスキルが軒並み上がった。ソルさんが格上だったという事や、一時間半もの間、ずっと戦い続けたという事もあって、成長率が良い。特に武器系と【血液武装】と【未来視】のレベルが跳ね上がった。
そして、ようやく【身体能力強化】の条件を満たして、取る事が出来たのとソルさんが教えてくれた【空力】と【言語学】から派生した【古代言語学】と【現代言語学】を取った。これで、色々な謎が解けるようになるかもしれない。これに関しては、また今度調べる。
「【操砂】と【操泥】は……入れ替えた方が良いかな? ここにあるのは、砂って言うよりも泥だし」
一応、【操砂】と【操泥】を入れ替えて、雪原の中を進んでいく。木々も少し生えている。木の上とかにモンスターがいる可能性もあるので、そこら辺も注意して歩く。
「取り敢えず、【感知】に反応はなしか。【血液感知】は、当然ながら反応なし。こっちは、控えでも発動するんだよね。【感知】も控えで発動してくれると良いのに。ここら辺は、次のアプデに期待かな」
そんな独り言を呟きながら歩いていると、【感知】が反応する。蝙蝠を召喚して、その方向に先行させる。超音波がする場所に向かって、黒百合を投げつける。すると、【感知】の反応が消えた。どうやら倒したみたいだけど、戦闘が終わった証であるドロップアイテムとかの表示が出てこない。
「バグ? いや、さすがにそんな事はないよね」
何故だろうかと考えていると、蝙蝠がどんどんと超音波を出してくる。同時に、【感知】も次々に反応していった。その数は、全部で二十くらい。
「……リンクかな。倒すもしくは攻撃すると周囲にいる同名モンスターを呼び寄せる感じ? まぁ、二十匹くらいなら、どうにかなるか。【共鳴】」
黒百合を手元に戻して、白百合も抜いて、向かってくる群れに向かって駆け出す。予想通り、向かってきているのは、全部兎のモンスターだった。白い体毛だけど、小さな角が生えているから、ホワイトラビットとは違う種という事が分かる。
私を見つけた雪兎達の角が、氷で覆われて伸びる。そして、自慢の脚力で、一気に飛び掛かってくる。角を向けてきた体当たりを軽く避けつつ、首に黒百合を突き刺す。すると、一気にHPが無くなって倒れた。集団で来る分、一匹一匹のHPは低いみたいだ。弱いのは良いけど、出血させる事が出来ないから、相手の血を【血液武装】に利用出来ない。
これを考えて、私は飛び掛かってくる雪兎を蹴りで倒しながら、双血剣を仕舞って、隠密双刀を抜く。こっちには、【状態異常確率上昇(出血)】が付いていない。なので、出血させる必要がない相手には、ちょうどいいかもしれない。
体当たりをしようとしてくる雪兎を避けて、首に右手で持った月影を突き刺す。一応、これで倒せるか心配だったけど、問題なく倒す事が出来た。後は、同じ作業の繰り返し。攻撃を避けて、ひたすら倒すだけだ。
ソルさんとの戦闘を経験したせいか、雪兎の動きが読みやすい。【双天眼】があるにしても、ここまで相手の動きが見える事はなかった。あの速度の戦闘と一手間違えれば死ぬという状況は、私を更なる高みに登らせていた。
「結構苦戦すると思ったけど、全然そんな事ないなぁ。まだ弱い分類のモンスターだからなのかな」
次々に倒していると、一つ気付いた事があった。最初二十匹くらいだった雪兎の数が、さらに増えていた。
「あっ、最初のリンクだけじゃなくて、次々にリンクするんだ……面倒なモンスターだなぁ。でも、スキル上げには使えるかも」
雪兎の厄介なところは、次々に増えていく数だと分かった。数が増える毎に、戦闘の時間も延びていくから、段々と集中力が切れていく。そのせいで被弾が増えて、対応出来なくなり、一気に倒されるという感じかな。
まぁ、長時間戦闘には慣れているので、私は全く問題ない。夜霧の執行者の時は三時間も嫌な感覚と闘ったし、ついこの間は、一時間半も死と隣り合わせの戦闘を続けていた。そう簡単には、私の集中力も切れない。
隠密双刀と蹴りで、次々に雪兎を屠っていき、計六十匹くらい倒して、ようやく終わった。ドロップアイテムは、雪兎の毛皮、雪兎の角、雪兎の血だった。血を飲んでいないので、血もドロップした。
「雪と同系色だから、ちょっと見にくいな。【感知】があって良かった」
【感知】のおかげで近くならどこにいるのか、すぐに分かるというのは、この雪兎戦で助かる点だった。
「普通に使える。切れ味も問題なし。後は、投擲速度がどこまで上がっているか検証したいな」
そう思いながら歩いていると、蝙蝠が超音波を出した。一回だけなので、一体いる。【感知】も使って、居場所が完全に分かったので、その方向に向かって思いっきり月影を投げた。すると、今まで投げた事のない速度で、月影が飛んでいった。野球の球でも、あそこまでの速度は出ないのではと思うような速度だった。
月影が飛んでいった先にいた雪兎が倒れて、また雪兎が群れを成してやってきた。
「兎の繁殖力、恐るべし」
【共鳴】で月影を戻して、再び雪兎の群れと戦いに向かう。




