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吸血少女ののんびり気ままなゲームライフ  作者: 月輪林檎
真冬と真夏の吸血少女

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新スキルと防寒着

 バトルロイヤルイベントの翌日の昼。私は、昨日増えたスキルを確認していた。


────────────────────────


【血行促進】:血の巡りが良くなり、自然回復力が上がる。控えでも効果を発揮する。


【血液増加】:身体を巡る血液量が増加する。控えでも効果を発揮する。


【血液感知】:血液を感知する事が出来るようになる。控えでも効果を発揮する。


────────────────────────


 それぞれがどのように働くかの確認もしておかないといけない。正直、説明に書かれている内容だけがスキルの特性じゃないというのは、これまでの経験から判明している。さらに言えば、他のスキルとの相乗効果なども含めて検証をしておかないと、いざという時に利用しづらい。


「いつも通り、平原で確認……じゃなくて、まずはアカリエで防寒着を貰いに行かないと。ん?」


 アカリエに向かおうとしたら、メッセージが届いた。メッセージの送り主は、ラングさんだった。暇があったら、店に寄って欲しいという旨だった。


「アカリエの後に寄ろっと」


 予定を決めた私は、アカリエに向かう。中に入ると、店員NPCが受付に立っていた。


「こんにちは、アカリいますか?」

「はい。裏で作業をしております」


 そう言って、裏へと繋がるドアを手で指される。


「ありがとうございます」


 お礼を言って裏に入ると、アカリが作業をしている最中だった。その最中でも、私が入ってきた事には気付いて、作業を中断して、こっちを向く。


「いらっしゃい。ハクちゃんの防寒着は、そこのトルソーに飾ってあるよ」

「トルソー? そんなものも買ったの?」

「やっぱり、実際に飾れるとイメージが固まりやすいからさ。コーディネートって面でもね」

「なるほどね」


 取り敢えず、私の防寒着を確認するために、アカリが指さす方を見ると、本当にトルソーに飾られた服があった。白を基調とした服で、全体的に暖かいそうな生地で出来ている。裏地は、フリース生地みたいなものかな。それに外套に当たるコートにはファーが付いていて、冬用の服って感じがする。最大の違いは、ズボンが踝まである長ズボンになっている事だった。靴は、いつも通りの鋲付きブーツになっている。スパイクとして役に立つと思うけど、どこまで効果的かわからない。


「名前は、雪血姫の装具だよ」

「雪が付いただけ?」

「血姫の冬服とか血姫の防寒着とかより良いでしょ?」

「まぁ……」


────────────────────────


雪血姫の装具:断熱効果が強い素材が使われた防寒着一式。雪の意匠などが刺繍されている。

インナー:【HP上昇++】【物理防御上昇++】【魔法防御上昇++】【耐久力上昇++】【吸血強化+】【防寒】

上着:【HP上昇++】【物理防御上昇++】【魔法防御上昇++】【耐久力上昇++】【吸血強化+】【防寒】

外套:【HP上昇++】【物理防御上昇++】【魔法防御上昇++】【耐久力上昇++】【抵抗軽減】【撥水】

腰:【HP上昇++】【物理防御上昇++】【魔法防御上昇++】【速度上昇++】【耐久力上昇++】【撥水】

靴:【HP上昇++】【物理防御上昇++】【魔法防御上昇++】【速度上昇++】【脚力上昇+】【撥水】

下着:【吸血強化+】


────────────────────────


 アカリのレベルが上がったみたいで、追加効果の数が増えていた。


「血姫の装具は預かるね。こっちも強化しておきたいから」

「ありがとう。この【撥水】ってのは?」

「名前の通り。水を弾いて染みこませないって感じ。一応、豪雨エリアでも使えなくはないけど、混乱の状態異常は付くよ」

「なるほどね。不快感緩和って感じか」

「というか、撥水にしてないと寒冷ダメージが入るんだよね。水が染みこんで体温を奪うから。北とか寒いエリアでは、前を閉めておく事。上着とインナーには、【防寒】しか付けてないから、雪で湿るとそのまま体温奪うよ」

「【防寒】は、外部との遮断みたいなイメージ?」

「うん。気温に対するものって考えてくれれば良いよ」


 この話を聞く限り、本当に装備を入れ替えないと北エリアの攻略は出来ないと分かる。この感じだと、砂漠以南のエリアに来るかもしれない正反対のエリアは熱さ対策が必要になるかもしれない。火山とか溶岩とかのエリアがあり得るし。


「それじゃあ、着替えるね」

「うん」


 血姫の装具から雪血姫の装具に着替える。すると、すぐに装備の違いによる変化に気付いた。


「暖かい」

「じゃあ、上手く出来てるね。しっかりと前を閉めて」


 アカリがコートの前のボタンを閉めてくる。普段が開けっぱなしだから、少し窮屈になったような感じがする。


「うん。白も似合うね。雪景色に溶け込むようにしてるから、他のプレイヤーからも見えにくくなってると思う。モンスターは、関係ないと思うから、そこだけ気を付けて」

「ありがとう」


 私がトラブルに巻き込まれているから、なるべく目立たないように白基調にしてくれたみたい。


「それじゃあ、ラングさんにも呼ばれてるから、行くね。この前渡した金額で足りてる?」

「うん。足りてるよ」

「分かった。じゃあ、またね」


 代金は、既に支払っていたので、このままラングさんの元に向かう。こっちも店員NPCが立っていた。


「ラングさんはいますか?」

「はい。ただいま呼んで参ります」


 NPCがラングさんを連れて戻ってくる。


「おう、嬢ちゃん。優勝したんだってな。おめでとう」

「ありがとうございます。それで、何の用なんですか?」


 さすがに、お祝いするためだけのために、私を呼ぶわけがないので、何の用なのかは気になる。


「おう。これだ」


 そう言って、ラングさんがカウンターに双剣を置いた。


「新しい双剣ですか?」

「おう。本当は、双血剣に組み込みたかったレインズナイフを使ったものだ。最近、もう一本仕入れる事が出来てな。せっかくだから、作ってみた。」


 新しく作られた双剣は、刃が直線になっている所謂直刀のような双剣だった。ほとんど同じ作りになっているけど、意匠が異なっている。月と太陽って感じかな。


「これは、【双剣】と【短刀】を紐付けしてある」

「【短刀】ですか?」


 【短刀】は取ってないので、まさか作って貰えるとは思わなかった。


「これから取るかどうかは分からないが、取った時にあったら良いと思ってな。名前は、隠密双刀『月影』と『日影』だ」


 名前を聞いたところで、詳細を見る。


────────────────────────


隠密双刀『月影』:月の意匠が彫られた短刀。月光石が刀身に使われている【攻撃力上昇++】【耐久力上昇++】【投擲速度上昇++】【吸収(月光)】【蓄積(月光)】【解放(月光)】【共鳴】


隠密双刀『日影』:太陽の意匠が彫られた短刀。陽光石が刀身に使われている。【攻撃力上昇++】【耐久力上昇++】【投擲速度上昇++】【吸収(陽光)】【蓄積(陽光)】【解放(陽光)】【共鳴】


────────────────────────


 追加効果は、双血剣と全然違う。何か特殊な追加効果が付いていた。


「これって……?」

「月光の方は、解放する事でMP吸収と速度強化する。陽光の方は、解放する事でHP吸収と攻撃力と防御力を強化する。ステータスを強化する事が出来る装備って事だな。因みに、この強化は、追加効果よりも上がる数値が上になっているはずだ。使っている奴を見た事ないけどな」

「そうなんですか?」

「ああ、なんて言っても、追加効果を三つも圧迫するからな。吸収するタイミングに関しては、装備している間となっている。態々刀身を出さなくても吸収してくれるぞ」

「なるほど……でも、陽光と月光って事は、吸収する時間が異なるんですね」

「ああ、そこら辺は上手く使っていく必要があるな」


 ちょっと面白い追加効果だった。最大値がどのくらいかを調べたり、色々としておきたい。まぁ、その前に【短刀】を取るかどうかが問題だけど。


「受け取ります。いくらですか?」

「百万Gだ」

「…………払います」

「悩んだな」

「いや、払えるんですよ。でも、出費が多すぎて……」


 双血剣や防寒着を買ったのもあって、大分出費が大きい。スキルレベル上げをしている時に、かなり稼いだけど、また無くなった。


「まぁ、頑張れ」

「はい。じゃあ、失礼します」

「おう。何か変えて欲しい追加効果とかがあれば言ってくれ」

「はい」


 一括で払って、隠密双刀を受け取り、北エリアへと向かう。スキルの検証も北エリアで行う事にした。早く行ってみたいし。

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