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吸血少女ののんびり気ままなゲームライフ  作者: 月輪林檎
吸血少女と最悪な環境

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心躍るお知らせ

「あら? 知らせが届いているわね」


 マップでも確認しようとしたのかメニューを操作していていたゲルダさんがそう言った。私もメニューを出す。すると、運営からお知らせが届いていた。見出しには、こう書かれていた。


『大型アップデート及び第三回イベントのお知らせ』


 これは、確認せざるを得ない。すぐに内容を見る。


『この度、One and Only Worldは、六月六日に大型アップデートを実施します。アップデート内容は以下の通り。

・新スキルの追加

・一部スキルの調整

・一部アイテムの調整

・一部攻撃と防御における調整

・既存エリアに新しい街の追加

・ストーリークエストの実装

・エンカウントボスの追加

・モンスターの追加

・細かい調整

また、六月二十日に第三回イベントを開催します。イベント内容は、第一回イベント同様のバトルロイヤルです。詳しい内容は、後日お知らせ致します』


 簡潔に抜き出すと、こんな感じだった。大型アップデートというだけあって、色々と大盛りで追加や調整がされている。それに、またバトルロイヤルのイベントが行われるらしい。多分、また優勝は出来ないだろうけど、自分がどれだけ強くなったか確かめるのには、打って付けだと思う。


「思ったよりも大型のアップデートね。特にストーリークエストとエンカウントボスの追加が気になるわ」

「私は、新しいスキルの方が気になりますね。今の私のスキル構成にシナジーがあるスキルだったら嬉しいですね。後は、統合出来るスキルとかが欲しいです」

「ハクの場合は、切実にそう思っているでしょうね。ただでさえ、【吸血鬼】関連で圧迫しているんですもの」

「そうなんですよね。後は、強化系のスキルも……」

「まぁ、頑張りなさい」


 唐突に来たお知らせの確認も終わったところで、私は、ゲルダさんの方を見る。


「ゲルダさんは、これからどうするんですか? 私は、まだ調べたい事があるので、図書館に戻りますけど」

「そうね。私は、地下の探索をしようかしら。【霊視】無しでも発見出来るものがあるかもしれないし」

「眼鏡貸しますか?」


 地下道の探索をするのであれば、霊峰の霊視鏡があった方が、絶対に捗る。


「それは、ハクのものよ。そう簡単に人に貸さないようにしなさい。人によっては、持ち逃げする可能性もあるんだから」

「ゲルダさんはしないじゃないですか」

「そういう事じゃないの。全く。信用してくれるのは嬉しいけど、気を付けなさい。さっきも言った通り、私は【霊視】無しでも分かる事を調べに行くわ。何か分かったら、メッセージで報告するから」

「ありがとうございます」


 ここでゲルダさんとは別れる事になった。私は、王家のコインについて調べるために、もう一度図書館に、ゲルダさんは、新しく発見したダンジョンである地下道を探索しに。元々一緒に行動する約束をしていたわけでもないし、二人でいる事に拘りはない。


「さてと、王家のコインについて調べるから、まずは砂漠についてかな」


 街に関しての文献はないから、調べるのは地図になる。砂漠の地図を取って中を開く。ここに王家のコインにもある紋章があれば、何かしらの手掛かりになるかもしれない。


「砂漠エリアは、オアシス以外、全部砂漠なんだ」


 地図帳を開いて最初に思ったのは、その事だった。まだ南の端の方は調べられていないけど、地図帳を見ると、何もない砂漠が広がっている事がよく分かる。ページを捲って、詳しく調べていっても、それは変わらない。それに、王家の紋章も出てこない。


「地図じゃ見つからないか……もしかしたら、他のエリアに関するものなのかな」


 取り敢えず、私が行った事のあるエリアの地図帳を調べて行くけど、特に新しい情報はなかった。唯一の情報と言えば、熱帯の地図に双刀の隠れ里がなかった事くらいだ。隠れ里と言うくらいだから、誰にもバレていなかったのかな。

 ジャングルや東の森、湿地帯にも私の地図と違う点は一つもない。


「後は、昔の地図との比較かな」


 現在の地図にないのであれば、昔の地図には何かしら載っているかもしれないので、東の森から見ていく。


「やっぱりエリアは、街と違って大きく変化はしていないみたい。あまり開墾とかはしてないみたい」


 他の地図も見ていって、その考えが確信に変わった。エリアに関しては、どこもあまり変わっていない。砂漠も同じで、特に何も変わらない。


「う~ん……あっ、ファーストタウンみたいに、街の地図から調べた方が良かったのか。全然頭が回ってないなぁ」


 改めて、オアシスタウンから調べていく。オアシスタウンも最初は、小さい村みたいな感じから始まっていた。そこから今の形に広がって落ち着いたみたい。分かったのは、それくらいだ。


「王家の紋章はなし。手掛かりなしかぁ」


 まだまだ謎が解けない事が分かり、思わず天井を見上げる。


「下があるなら上もあれば、面白いのに」


 息抜きに、天井を見ながら歩いたけど、特に何もない。さすがに、上にも隠し書庫があるとかはないみたい。


「外は日も出てるし、今日も図書館で過ごそうかな。せっかく三階の本も読めるようになったわけだし」


 私は行った事のないエリア。西の豪雨地帯とかの地図を先に見ておけば、探索の役に立つ。そう思って、地図帳を手に取り中身を見ると、何故かモザイクで塗りつぶされていた。


「?」


 他にも行った事がないであろう地図帳を見る。その全てが、モザイクになっていた。


「……ゲームの仕様上、自分が行ったところの本しか読めなくなっているのかな。ネタバレ防止とかの対策って感じだと納得出来るかも」


 正直、先に情報収集するのも攻略の醍醐味だと思うけど、実際に歩いてみて欲しいのかもしれない。そんな制作者の思いが、この地図帳に表れているって考えれば、理解出来る気がした。

 それから魔物の本を読んでいった。こっちでも試しに、自分が戦った事のないモンスターの本を見ようとすると、モザイクになって、何も読めない状態になっていた。こっちも同じような理由だと思う。

 でも、これまで戦った事のあるモンスターについて知る事が出来るのは、有り難い事だ。これからの戦い方に影響してくるだろうし。


「それぞれのモンスターは、スキルを複数持ってる……それは、ホワイトラビットもスライムも例外じゃない」


 例えば、ホワイトラビットには、【脚力強化】の他に【聴覚強化】がある。それでも、私に捕らえられるのだから、レベルは1とかなのかも。まぁ、街の目の前に生息するモンスターだし、このくらいがちょうどいいのだと思う。


「これ、私にとっては、ものすごく有り難い情報だ。でも、あれだけ吸っていて、【脚力強化】とかしか手に入れてない。【吸血鬼】で獲得出来るスキルには、種類がある。もしくは、それぞれのスキル毎に確率が設定されている。【脚力強化】は、比較的高い確率だったとか……それなら納得いく。使用頻度の高いスキルの方が、確率が高いって感じかな?」


 ここら辺に関しては、これからも検証を続けていくしかない。始めてから結構経って、これなので、確率はかなり低いだろうけど。


「欲しいスキルを見つけて獲りに行きたいところだけど、今、これ以上スキルを増やしても育てられないし、もう少し後にしよう。取り敢えず、この情報はスクショっと」


 さっきゲルダさんもやっていた手法だ。私は、存在自体忘れていたけど。必要な情報は、スクショで撮っておいて、時が来たら活用する事にした。

 そんな風に本を読んでいると、ゲルダさんからメッセージが届いた。


『基本的に地図通りの地下道だった。一部に、増設された場所があったけど、鍵が必要だったから、ハクが行くと開くと思う。宝箱は無し。ジャングル方面へも鍵が必要だった。基本的に、【霊視】前提のダンジョンみたい。それと、地下道から地下書庫への梯子は消えていた。恐らく、時間制限付きだと思う。地上から行けるハクには、あまり関係ない事もかもしれないけど。地下道を探索する時は、地図のスクショと眼鏡を忘れないようにした方が良い。頑張って』


 成果は得られなかったみたい。やっぱり、【霊視】前提ダンジョンって感じになっているらしい。


「今度、私も行ってみて、報告しますっと。取り敢えず、これくらいにして、ログアウトするかな」


 いつもよりも少し早い時間だけど、一度ログアウトする事にした。夕飯の時間もあるしね。

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