第三話
「行ってきまーす」
通学鞄を両手に持って家を出る。
「おはよう、光希」
「おはよう、ブレイガード」
うちの車庫から、スーパーカーモードで駐車してるブレイガードが僕に話しかけてくる。
ブレイガードは初めて出会った6年前からずっと一緒なんだ。
家の中には入れないので、僕の家の車庫に住んでる。
「今朝ね、昔ブレイガードがゴルン星人をやっつけた時の夢を見たよ」
「懐かしいな。そんな事もあったな」
「ブレイガードは何か夢を見た?」
「昨夜か?昨夜は一晩中艦○れをやっていた。丁度イベント最終日だったんだ」
「……もしかして、一晩中ゲームしてたの?」
「うむ。非番だったしな」
「…ブレイガード、ずいぶん地球の文化に馴染んじゃったね」
ブレイガードの車内をサイドガラスから覗き込むと、ダッシュボードに埋め込まれた画面でまだ、ゲームがピコピコ動いていた。時々BGMに混じって効果音やゲームキャラの声が、ガラス越しに聞こえてくる。
地球を守る正義のヒーローが徹夜でネトゲ…。
「うむ。地球の文化、特に娯楽は素晴らしい。最近は暇な時にネット小説を読んでるぞ。中々に面白い。異世界転生と言う概念は知らなかったからな」
「ああ、うん…。いくら今が平和でも暇って…。そんなだらけてて銀河警察本部に怒られない?」
「仕事はちゃんとしてるぞ?たまの息抜きも必要さ」
たまと言う割にはちょっとレベルが高すぎやしない?なんか画面に元帥って表示されてるんですけど…。
これこのゲームの最高ランクだって前に言ってたよね?
「…まあいいけどね。別にブレイガードの趣味にケチをつけたいわけじゃないし。息抜きは必要だよね」
「うむ。ん?少し待ってほしい。スタミナが回復した」
そう言って、新しいブラウザを立ち上げて他のソシャゲを始めるブレイガード。
…って、いくつブラウザ立ち上げてるのさ。どれだけソシャゲのかけ持ちしてるの。
「う、うん…」
内心呆れつつ返事を返す僕。
ブレイガードは日常生活だと時折、真面目に残念な大ボケをかましたりするんだよね…。
戦いの時はホント、理想のヒーローなのに。
まあそんなとこはご愛嬌かな。うん。何もかもが完璧な人なんていないからね。
ブレイガードはタカラが変形合体機構を考え、大河原邦男先生がデザインしたロボット達に良く似てます。
日本人好みの見た目で、この世界の子供達やロボ好きの大きなお友達に人気があります。