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第二話

 ーーピピピピツ。ピピピピッ。


 「う…ん…。ふあ…。昔の夢…かぁ…」


 スマホの電子音が鳴り響く中、カーテンの隙間から朝の日差しが差し込み、ベッドの上の僕の顔を照らす。

 僕は目を開きのろのろと、枕元で目覚ましアラームを鳴らし続けるスマホを手に取り操作して、ベッドから起き上がる。


 「ふあ〜。懐かしい夢を見たなあ…」


 あくびをしながら、二階にある自分の部屋を出て一階に下りる。


 「おじいちゃん、お母さん。おはよう」

 「おはよう、光希」

 「おはよう光希。もうすぐ朝御飯出来るから顔を洗って着替えてらっしゃい」


僕のお母さん須野原光すのはらひかる、そしておじいちゃん春日源二郎かすがげんじろうの二人がそれぞれ朝の挨拶を返してくる。

 おばあちゃんとお父さんはすでに亡くなっているので、この二人だけが僕の肉親。


 「はーい」


 僕はお母さんにそう返事をして洗面所に向かい顔を洗い、自分の部屋に戻って高校の制服に着替える。


 「はあ…。やっぱりこれは慣れないなあ…」


 いつか慣れるんだろうか。

 僕は目の前の姿見を見てため息をつく。

 姿見に映ったセミロングヘアの女子高生が僕とまったく同じタイミングでため息をつく。


 「女の子になってもう6年…。女子の制服は慣れないなあ…。なんか、ブラもまたきつくなってきたし…」


 適当に櫛で髪を梳かしながら、そう愚痴って僕は視線を胸元に向ける。

 中2の夏くらいから、無駄に大きくなったこれのせいでもう足元が見えない。おかげで階段の上り下りとか危なくてしょうがないよ…。


 「身長は全然伸びないのにこんな所ばっかり大きくなる…。中2の夏までは全然だったのに…」


 未だにギリギリ151センチしかない低い身長にこの無駄に大きな胸。

 本当に嫌で嫌でしょうがない…。


 ーー僕は小学4年生の途中までは普通の男子だった。

 …あの事件が起こるまでは。


 僕はもう一度ため息をつくと、一階に降りる。


 「着替えてきたよ。お母さん、ご飯」


 僕が顔を出すと丁度朝御飯が出来た所らしいので、ご飯をせがむとお母さんが少し怒った顔で、僕の側に歩いてくる。


 「光希。何度言ったらわかるの。身だしなみはちゃんとしなさい」


 そう言ってお母さんは僕の髪をくしで梳いて、髪に白いリボンを結わえる。


 「そんなのいいよ」

 「良くないわよ。女の子なんだから」


 なんでお母さんも女の子の友達もみんなして、僕をかわいく飾りつけようとするんだろう…。

 本当はこの髪だってもっと短くしたいのに、お母さんが許してくれない。


 「…僕は女の子なんかじゃないやい」

 「まだ言っとる。もう諦めんか」


 僕が抵抗の言葉を口にすると、おじいちゃんが呆れた顔で味噌汁を啜りながら言う。


 「いやだよ。それより元に戻れる機械作ってよ」

 「無理。わしの専門はビークルメカの開発」


 こう見えてうちのおじいちゃんはブレイガードのボディやサポートメカの元になったメカを設計開発した博士なのだ。

 ガ○ダムやマ○ンガーZみたいな人型巨大ロボットを作りたくて博士になった変人なんだ。


 「だったら孫の為に勉強するとかしてよ」

 「老い先短い年寄りに無茶言うんじゃないわい。それにしても、光希は昔の光に良く似てるのう」

 「親子ですからね」


 お母さんはそう言って笑うけど…。

 でも、それだけじゃないんだよね…。

 何と答えたものか、僕はおじいちゃんの言葉には何も返さず、お母さんにご飯を催促するのだった。

当たった宝くじで道楽に没頭するおじいちゃん。

一応複数の特許持ち。

親から受け継いだ小さな町工場を経営してました。

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