第十三話
「ああ、いやね、この体ってどうなんだろうって考えちゃって」
「どう、とは?」
「ああ、うん。あのさ、僕って赤ちゃん普通に産めるのかな、とか。出産って女の人の脳みそじゃないと耐えられないとか聞いたことがあったような。あといつか男と結婚とかしないといけないのかな、とか。そもそもお母さんのクローン体なら僕自身の遺伝子はどうなんだろうとか。まあ僕が男を好きになるわけないし、脳みそが男の女の子なんてみんな嫌だろうなって。ちょっとそんな事を考えちゃった」
僕が笑いながらそんなくだらない事を話すと、ブレイガードは真剣な表情で返してきた。
「そんなことはない!!私ならイケるぞ!!」
…はい?ああ、ブレイガードなりの小粋なジョークだね。
「ふふ。ありがとう。だったら、ブレイガード。女の子にした責任取って僕の事、お嫁さんにしてくれる?なーん」
「わかった。責任を取ろう」
「て…。今、なんて言ったの?」
「だから、私が責任を取って光希を嫁にする」
僕の他愛もない冗談に大真面目にそう答えるブレイガード。
じょ、冗談だよね?本気で言ってないよね?
「またまたあ。それにブレイガードはロボットでしょ。結婚なんて」
「この体は借り物だ。本体は宇宙船でコールドスリープさせてある」
「へ?いやいやいや、ちょっと待って」
「少し待っててくれ。すぐに本体でここに戻ってくる」
ブレイガードの両目から光が消え、ブレイガードの体から白い光が抜けて天高く昇っていく。
「えっ!?ちょっと、ブレイガード!?」
両目から光が消えたブレイガードは僕に何も答えてくれなかった…。
3話目終了。




