第十一話
「ブレイガード…」
「光さんのクローンを光希と同じ肉体年齢にまで培養育成し、クローンの脳を摘出し光希の脳を移植した。光希は助かったが、代わりに私は光さんのクローンを殺した。命や魂を感じ取る力を持つ宇宙人もいるが、光さんのクローンに果たしてその時、命や自我があったのか、私にはわからない…。だが、どんな罪を犯してでも光希を救いたかった。失いたくなかった…」
ブレイガードは一度俯くと、真っ直ぐに僕を見つめて言った。
「私のエゴで光希をここまで苦しめているとは思いもしなかった。どうか許してほしい…」
そう言って頭を下げるブレイガード。
「顔を上げてよ、ブレイガード」
「光希…」
「ごめんね、ブレイガード。僕何も知らなかった。ただ、命を救う為にお母さんのクローンに脳移植したって、それだけだと思ってた。ブレイガードは僕の為にやっちゃいけないことをしてくれたのに…」
僕はブレイガードの目をまっすぐに見つめながら、彼に心からのお礼を言う。
「ありがとう。ブレイガード。僕を助けてくれて。ブレイガードが罪を背負うと言うなら、僕も一緒に背負うよ」
「…光希。ありがとう」
「お礼を言うのは僕。何度言っても足りないくらい。本当の事を話してくれてありがとう」
僕はそう言って、ブレイガードに微笑む。
「…ああ。どういたしまして。良かった。光希に嫌われなくて」
「嫌いになんてならないよ。大好きだよ、ブレイガード」
「……」
「どうかしたの?」
「いや、なんでもない」
主人公にとって、ブレイガードは親友であり、兄のようでもあり、幼い頃亡くした父親のようでもある、そんなかけがえのない存在です。




