29 ーお姉ちゃんー
フブキ・ロン・ヴァ・ウィンタエア 17歳ー
年齢は俺とユキの1つ上で、当然ながら学年も1つ上。
腰まで伸びた白髪に、深海のような深い青の瞳。
ユキとは反対に歳の割に長身で、すらりと伸びた手足は、まるで白雪のように美しいと評判だ。
ついたあだ名は『幻想の女王』
ーすでに気付いていると思うが、彼女を表す言葉は一言で済む。
すなわち、『変態』である。それも超が付くほどのド変態だ。
妹であるユキを溺愛しており、部屋はユキの写し絵で埋め尽くされ、隙あらば唇を奪おうとする。趣味、特技、好きな食べ物はユキらしい。
ユキが入学する際、なぜ自分がユキと同じクラスではないのかと大真面目に学園長に抗議し(1分間に20回「学年が違うからです」と論破されたらしい)、 それならば留年すればいいじゃないかとテストに適当に回答し(仮に留年しても違うクラスにしますと脅され普通に回答したようだ)、せめてもの抵抗?でファンクラブを発足したりしたようだ。
…会員ナンバーは1番だと自慢されたが、自分が作ったなら当たり前じゃないか?
…このままでは残念すぎるーいや、手遅れかもしれないがー ので、良い所も紹介しておこう。
性格は冷静沈着で完全無欠(ユキが絡まなければであるが)。ユキ以上の完璧超人である(ユキが絡まなければであるが)。
成績は幼年学園から現在に至るまでトップクラスで、学園最優秀の獲得も1度や2度ではない。
魔導力は5。下級貴族にしては中々高く、さらに特筆すべきは紋章の多さである。水の属性紋を3つ獲得しており、戦闘では大瀑布の如き水を操り戦うという。1年度の学園対抗戦では広大な平原を水で満たし、海を作り出したという伝説が残されている。
入学当初、戦闘力の高さと優秀さから非常に人気があったが、何者にも等しく無価値であるという視線を向けるため、孤高の女王という称号を授けられていた。なお、一部の生徒からは非常に人気が高い。
ーが、それもユキが入学してくるまでの話である。
ユキの入学と同時に起こした様々な奇行から、幻想を粉々に打ち砕かれた生徒が続出。ついたあだ名が『幻想の女王』である。
なお、また別の趣味嗜好の生徒から、ユキ共々根強い人気を誇っている。
これが俺の知る、フブキ・ロン・ヴァ・ウィンタエアである。
…昔はこうじゃなかったんだけどなぁ。




