第8話 恥ずかしい事件
人によっては、不快に感じる方もいるかもしれません。
新学期が始まり、早一週間が過ぎたある昼休み。
クラス内には、いくつかのグループが出来上がり、給食後の緩やかな時間を、それぞれ友人達と思い思いに過ごしていた。
理緒も杏子と二人、他愛のないおしゃべりに興じていた。
そんな時に事件は、起きたのだった。
「 変な事訊くけど、理緒は、くすぐったいの平気?」
「平気だと思うけど。なんで?」
「いやーちょっと、理緒が擽られるのに、どのくらい耐えらるか実験したくてねぇ」
杏子は、両手をわきわきしながら言う。
「ふーん。実験してみればいいじゃないか。おれは、平気だから」
「へー、じゃ、遠慮なくいきます」
と杏子は、 理緒の脇の下に手を入れ、くすぐる。
「ほ~ら、コショコショ~」
「 うひゃひゃ。やめてやめて 杏子」
「 いーや。まだまだー」
理緒は、足をバタバタとしながら暴れる。
杏子は、理緒の反応が、面白くて益々、くすぐった。
理緒は、杏子の魔の手から逃れようと、身をよじらせた瞬間。
ガッターン!!
教室に鳴り響く大きな音とヒラリと布が、捲れる感触。そして一瞬シンッとなる教室。
「 うっひょー」
「 ひゃー 林原さん。早く起きて〜」
同時に、男子の歓喜の声と慌てる女子の悲鳴が、椅子ごとひっくり返った理緒の耳に届いた。
「 林原のパンツ丸見え~」
一人の男子が、そう言うのが、聞こえた。
他の男子も色々、好き勝手な事を言っている。
ーーー穴があったら入りたい。
理緒は、そんな事を思いながらノロノロと起きてスカートを直す。
泣きたい気分で、椅子を元に戻す。
「 なんだよ。もう。隠すのかよ」
「そうだ」
「何言ってるのよ。バカ男子」
理緒は、クラスメイトの前で、パンツを見られるという失態を、おこしたあとで、何かを言う気になれず、机に伏せた。
しばらく女子のギャーギャーと非難轟々の声と男子達の「バーカ」「うるせー」等のしょうもない罵り声が響いていた。
このまま、何もしないでいると、
「 お前ら、いい加減にしろ! 」
涼が、怒鳴り声を上げた。
シンとなった教室を歩いて、理緒の元にくる。
「理緒。頭とか打ってないか?」
優しく涼に、訊かれて理緒は、伏せたまま
「 やれやれ、これに懲りて、悪ふざけは辞める事だな」
理緒は、再びこくこく頷いた。
涼は、苦笑いしながら頭をぽんぽんする。
「 理緒は、ドジなお姫様だな」
「 はあ、お姫様って誰が?」
理緒は、ガバリと起きて涼に訊く。
「 別に深い意味はないよ~」
涼は、手をポケットに入れて、へたくそな口笛を吹きながら、教室から出ていく。
「 ねぇ、教えろってば。涼」
理緒は、涼のあとを追いかける。
クラスメイトは、ポカーンと二人のやり取りを見ていた。
「 なんなの?あいつら 」
「さあ?」
今回の事件は、ほぼ私の体験です。
ですが、涼みたいな人はいませんでしたよ。